ミツバチの分業=働き蜂の一生
働き蜂は群が必要とするほとんどの仕事をしますが,この仕事の種類は成虫になってからの日数を追って変化していきます.おおまかに内勤と外勤とに分かれていますが,内勤の間では,育児(ミルク分泌),造巣(蜂ろう分泌),貯蜜(酵素分泌)の3つが体の生理状態の変化を伴う大きな流れとなります.また外勤蜂が一番日齢の進んだものとなることで,働き蜂が減りにくい分業構造となっています.
また内勤のうちは24時間体制で仕事をしますが,何交替かあるようで,1匹あたりの労働時間は6−8時間程度という観察があります.外勤蜂は日中は花に通い,夜間は巣の中でじっとしている(休息?)ことが多いようです.

ミツバチの日齢分業の流れ

掃除:羽化後−5日

 

巣房の掃除をします.あとは休んでいるか,仕事を探しているか...(もっと日齢が進んでも掃除はよくする仕事の一つです)

育児:3−12日

 

花粉を食べてミルクの分泌ができるようになると,幼虫の世話をします.女王蜂に餌のローヤルゼリーを与えるのもこのころです
巣作り:8−16日

蜂ろうの分泌が盛んになり巣を作ります.また蛹になる直前の幼虫の巣房に蓋をします

貯蜜係:12−18日

外勤蜂が集めてきたハチミツを受け取って,巣房に貯えます

門番:16−24日
他の巣から蜜を盗みに来た蜂(盗蜂といいます)や外敵を巣門で見張っていて迎撃します

 

外勤蜂:20日−

 

 

 

 

 

 

 

蜜や花粉を集めに花に通います.また巣を冷やすための水を集めてくるものもいます  

イラスト:吉村雅楽

*春や秋の標準的な分業の進行を示しています.日齢は季節や,群の状態,仕事の有無(流蜜の有無,働き蜂の構成の変化)などによって大幅にずれることがあります.また個体差も大きく,特定の仕事を長期間し続けるものや,死体運びなど特殊な仕事に従事するものもいます.