
脳科学研究センターは、1996年に学術研究所の研究施設として開設されて以来、継続的に研究活動を進め、2007年4月からは開設された脳科学研究所の1研究センターとして設置されました。
本研究センターでは、「全人教育」の理念を創り出し、それを受け継ぐ人間とはそもそもどのような存在であるかを問い、それを明らかにするには人間を人間たらしめている脳の働きを知らなければならないとの立場に立ち、学部を越えた学際的視点から脳機能の解明に取り組んでいます。
本研究センターは、次の4部門から構成されており、脳の理解をめざす研究を推進し、教育や次世代産業に役立てていきたいと考えています。
私たちの知性とは何か?それを創り出す脳のメカニズムについて研究を行い、研究成果を世界に発信しています。この部門の特徴は研究の学際性です。脳生理学者、実験心理学者、計算論的神経科学者などが協力・提携して、脳研究を統合的に進めています。研究の中心は脳の高次機能です。行動の発現と調節機構や、記憶情報の処理機構などについて先端的な研究実績がありますが、今後は“知”を支える“情”と“意”の面も含めて、総合的に知性の実現機構を追及します。
認知、思考、行動決定など、ヒトの高次脳機能を研究するために、非侵襲的にヒトの脳活動を計測することが主目的です。そのために、脳活動を画像化し計測できるMRI装置を導入し、fMRIを撮像・解析することで、脳が担う高次機能の仕組みについて研究を開始しました。ヒトの言語・認知機能の研究や、脳機能発達の研究も展望されます。教育への応用も可能ですので、多くの方々の研究活動への参入を期待しています。
生物の社会的行動にかかわる現象を対象として、脳の機能と対比しながらそのメカニズムを明らかにしていく研究を行っています。学術研究所ミツバチ科学研究センターとも連携して、主に社会性昆虫を用いて、学習行動や社会行動が神経系の遺伝子制御とどのようにかかわっているのかを追求する研究を進めていきます。
脳は、哲学、倫理、宗教、心理学などの分野からも探求されなければなりません。意識と意識下の関係、生命と文化観、生命と個体の関係などが研究対象となりますが、さらに、最近の脳科学の成果が、われわれの生命観・生活観にどのように影響するかを検討し、将来の人間の社会像を展望しながら、脳科学のあるべき姿を提案することも重要な研究活動の方向です。