【ISO対応のためのQFD演習】

ISO9000シリーズの認定を取得するために品質展開の考え方を利用する手順が示してあります.ISOの要求項目と企業に現存する業務機能,業務が遂行される必要性と保証項目の関係から,効率よく認定を取得する方法であり,狭義の品質機能展開を活用しています.

 

【内 容】

1.演習準備

2.取得シリーズの検討

3.要求項目の展開

4.業務機能の抽出

5.業務機能展開表の作成

6.品質保証項目の抽出

7.業務機能*保証項目展開表の作成

8.業務機能*ISO要求項目展開表の作成

 

1.演習準備(所要時間20分)

 

演習準備は,次のステップで行います.

1―1 事前準備(10分)

1―2 ISO関連知識の調整(10分)

以下にステップを説明します.

 

1―1 事前準備

Step1.グループの編成

1)演習では1グループを5〜6名で編成します.

2)グループメンバーにはできることならば,品質管理部や品質保証部の人と各部署の業務を把握している人を選定するとよいと思います.

Step2.自己紹介

1)特定(例えば,自分が一番若いと思える人)のメンバーから時計回りに自己紹介(名前,所属,専門など)をします.

Step3.グループ・リーダの選出

1)リーダの役割は,グループ討議の進行係と意見の調整,まとめをします.

 

1―2 ISO関連知識の調整

Step1.用語の確認

1)ISO8402の用語などについて話し合いを行い.知識レベルの調整をはかります.

2)共通認識が得られない用語については,原文でチェックします.

 

【ポイント】

1)ISO独特の用語については,充分に討議し意味合いを理解し合う必要があります.

2)共通認識が得られない用語については,原文をチェックする必要があります.

 

2.取得シリーズの検討(所要時間20分)

 

取得シリーズの検討は,次のステップで行います.

2―1 ISO9000シリーズの違いの確認(10分)

2―2 取得シリーズの決定(10分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

2―1 ISO9000シリーズの違いの確認

Step1.要求項目の整理

1)品質システム要求事項を用意します.

2)ISO9001〜9003の要求項目を整理します.

Step2.要求項目の確認

1)各シリーズで要求される項目の違いを確認します.

 

2―2 取得シリーズの決定

Step1.企業規模の想定

1)対象企業の取扱い製品を規定します.

2)対象企業の顧客を想定します.

3)対象企業の規模を想定します.

Step2.取得シリーズの決定

1)対象企業に有利なシリーズは何番であるのかを討議します.

2)取得目的を明確にします.

3)対象企業が取得するシリーズを決定します.

 

3.要求項目の展開(所要時間45分)

 

要求項目の展開は,次のステップで行います.

3―1 キーワードのマーキング(20分)

3―2 ISO9000要求項目の展開(10分)

3―3 ISO要求項目展開表の作成(15分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

3―1 キーワードのマーキング

Step1.作業分担の決定

1)リーダーを中心にマーキングの方法を決めます.

2)マーキングする要求項目の分担を決めます.

Step2.キーワードのマーキング

1)各自で担当する要求項目の説明文を読解します.

2)文章の係りや受けの関係を理解します.

3)説明文が分解できるように,キーワードをマーキングします.

 

3―2 ISO9000要求項目の展開

Step1.キーワードのラベル化

1)マーキングしたキーワードを単文化します.

2)単文化した言葉をラベルに転記します.

Step2.ラベルの整理

1)要求項目の上位項目を一次項目として記述します.

2)一次項目の次に二次項目を記述します.

3)各二次項目に関連するラベルを抽出して,各二次項目に対応するラベルを並べ,系統図的に表わします.

4)キーワードの抜けがないかチェックします.

 

3―3 ISO要求項目展開表の作成

Step1.展開表の作成

1)展開表を用意し,ラベルの内容を三次項目の欄に転記します.

2)三次項目の一群を示す二次項目を転記します.

3)他の三次項目,二次項目も転記します.

4)二次項目の一群を示す一次項目を転記します.

5)他の群についても同様に展開表に転記します.

Step2.展開表のチェック

1)下位項目の集合によって上位項目が示されているかチェックします.

2)上位項目の表現が正しくなければ訂正します.

 

4.業務機能の抽出(所要時間60分)

 

業務機能の抽出は,次のステップで行います.

4―1 組織の検討(10分)

4―2 業務の流れの把握(20分)

4―3 QA上の業務機能の抽出(30分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

4―1 組織の検討

Step1.現存組織部門の抽出

1)現存する組織の部門名称をラベルに記入します.

2)部門名称ラベルを配置して組織図を作成します.

Step2.組織形態の確認

1)組織形態が製品別事業部組織か,職能別組織か,マトリックス組織かなどを明らかにします.

2)部門名称から各部門の職能が明らかになるかを検討します.

 

4―2 業務の流れの把握

Step1.業務の分掌

1)市場調査から製造,販売,アフター・サービスまでの業務の大分類項目をラベルに記入します.

2)ラベルに記入した大分類項目と組織の部門の関連を把握します.

3)業務の大分類が組織の部門で分掌できているかチェックします.

Step2.業務フローの設定

1)業務の大分類項目を,市場調査からアフター・サービスまでの時間の流れ順に並べます.

 

4―3 QA上の業務機能の抽出

Step1.作業分担の決定

1)リーダーを中心に業務機能表現を検討します.

2)抽出する業務機能の分担を大分類項目の単位で決定します.

Step2.業務機能の抽出

1)原始データ変換シートを用意します.

2)担当する業務の大分類項目を記入し,その業務を遂行するのに必要な業務機能を具体的なレベルで,機能表現によって抽出します.

3)抽出した業務機能の中で,特に品質保証(QA)に関係あるものに○印を付けます.

 

【ポイント】

1)組織形態は官僚組織と呼ばれる階層化された組織が一般的ですが,中でも製品別事業部組織,職能別組織,マトリックス組織など,どのような組織で企業が運営されているのかを明らかにする必要があります.

2)組織内における部署名が,当該部署が担当する仕事を的確に表している言葉で表されているのかを確認することも必要です.

3)業務機能は業務を実施する対象と,その業務対象に対してどのように作用するのかを対にして表す必要があります.

4)抽出された業務の中には,品質を保証することを目的に実施される業務以外に,生産性を向上させることを目的とした業務もありますので,これらの違いを認識することも大切です.

5)抽出された業務と,その業務を遂行する組織の部門名との関係を把握するためにも業務の名称を明らかにすることが必要です.

 

5.業務機能展開表の作成(所要時間60分)

 

業務機能展開表の作成は,次のステップで行います.

5―1 業務機能のグルーピング(40分)

5―2 業務機能展開表の作成(20分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

5―1 業務機能のグルーピング

Step1.業務機能ラベルの作成

1)業務機能の抽出の演習で抽出された業務機能をラベルに転記します.

Step2.業務機能ラベルのチェック

1)業務機能ラベルを一覧できるように模造紙に方向を揃えて貼り付けます.

2)重複する業務機能ラベルを取り除きます.

3)ラベルに記述されている言葉が「名詞+動詞」の機能表現になっているかチェックします.

Step3.業務機能のグルーピング

1)業務機能の名詞の部分に着目して,関連が深いと感じられるラベルを集めます.

2)業務機能の名詞の部分でのグルーピング結果を階層図にまとめます.

3)業務機能の動詞の部分に着目して,関連が深いと感じられるラベルを集めます.

4)業務機能の動詞の部分でのグルーピング結果を階層図にまとめます.

 

5―2 業務機能展開表の作成

Step1.業務機能の追加確認

1)業務機能の名詞の部分と動詞の部分を組み合わせて,業務機能の不足がないかチェックします.

2)チェックの結果,業務機能として必要なものをラベルに転記します.

Step2.業務機能系統図の作成

1)業務機能表現の中で,業務対象の展開結果に高次の業務作用を膠着させて業務機能の系統図を作成します.

2)業務対象を中心にした系統図が作成できたら,業務の作用言語を膠着させて,業務機能系統図を完成させます.

Step3.業務機能展開表の作成

1)展開表シートを用意します.

2)業務機能系統図を展開表の形に転記します.

3)下位項目から上位項目の方向に,業務の抜けがないかチェックします.

 

【ポイント】

1)業務機能は名詞(対象)と動詞(作用)を用いて表現します.

2)業務機能の展開は対象を展開した後,作用を展開します.

3)各業務機能に対して,日常の負荷工数を見積もることも大切です.

 

6.品質保証項目の抽出(所要時間70分)

 

品質保証項目の抽出は,次のステップで行います.

6―1 品質保証項目の抽出(50分)

6―2 保証項目展開表の作成(20分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

6―1 品質保証項目の抽出

Step1.業務目的の明確化

1)抽出した各業務機能の目的についてリーダーを中心に討議します.

2)業務機能の抽出の際に担当した大分類項目の単位毎に,業務の目的を明確にしていきます.

Step2.品質保証項目の抽出

1)明確にした業務の目的の中で,品質に関する保証を目的として遂行される業務を抽出します.

2)抽出された業務機能が,どのような品質を保証するための業務であるのかを明確にします.

Step3.保証項目のラベル化

1)抽出された保証項目をラベルに転記します.

 

6―2 保証項目展開表の作成

Step1.保証項目のグルーピング

1)ラベルを一覧できるように模造紙に方向を揃えて貼り付けます.

2)重複する保証項目ラベルを取り除きます.

3)保証内容が似ていると感じられるラベルを集め,4〜5枚ごとの群にします.

4)各群が全体で,どのような品質を保証しようとしているのかをラベルに記入し,各群の所に貼り付けます.

5)保証項目が多い(100枚以上ある)場合には,群を代表するラベルについてもグルーピングします.

Step2.保証項目展開表の作成

1)展開表シートを用意します.

2)保証項目のグルーピング結果を展開表の形に転記します.

3)下位項目から上位項目の方向に,保証項目に抜けがないかチェックします.

 

【ポイント】

1)品質保証には「品質を確保する」「品質を確認する」「品質を証明する」という機能が必要です.

2)保証項目は対象と,対象に対する作用を体言止めなどの名詞形で表現します.

3)保証する対象を「製品品質」とし,対象に対する作用を「適合性」とすると,「製品品質の適合性」が保証項目となります.

4)保証する対象としては,「製品品質」「使用品質」「設計品質」「開発テーマ」「生産技術」など,様々な項目が考えられます.

5)保証対象に対する作用の項目としては,「確実性」「的確性」「定時性」「永続性」「容易性」など,様々な項目が考えられます.

6)これら2つの項目を組み合わせることによって,当該企業が保証すべき保証項目を抽出することができます.

7)保証項目の階層化が困難な場合には,無理に展開表にする必要はありません.単に保証項目の一覧表でよいと思います.

 

7.業務機能*保証項目展開表の作成(所要時間70分)

 

業務機能*保証項目展開表の作成は,次のステップで行います.

7―1 業務機能*保証項目二元表の作成(20分)

7―2 対応関係の記入(30分)

7―3 業務機能のチェック(20分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

7―1 業務機能*保証項目二元表の作成

Step1.二元表の大きさの検討

1)業務機能展開表と保証項目展開表を用意します.

2)二つの展開表の展開次数から,一次項目同士の二元表を作成するのか,二次項目同士の二元表を作成するのか,三次項目同士の展開表を作成するのかを決定します.

3)演習では一次項目が二次項目で二元表を作成することにします.

Step2.業務機能展開表の転記

1)品質表シートを用意します.

2)品質表シートの横軸(品質表シート上方)の欄に,決められた次数の業務機能展開表を転記します.

Step3.保証項目展開表の転記

1)品質表シートの縦軸(品質表シート左側)の欄に,決められた次数の保証項目展開表を転記します.

 

7―2 対応関係の記入

Step1.記入方法の確認

1)対応関係の付け甫」里弔い董ぅ蝓璽澄爾鮹羶瓦妨‘い靴泙后%

2)対応関係の強さを3段階で付けるのか,5段階で付けるのかなどを話し合います.

3)演習では◎:対応が強い,○:対応がある,△:対応を考慮する必要があるの3段階とします.

4)対応関係付けの方向としては,各業務機能の遂行によって,保証項目が確実に保証できるのかを考えます.

Step2.対応関係の記入

1)定規を用意します.

2)業務機能から考えて,保証できると考えられる項目を探し出します.

3)業務機能の遂行による保証の程度を考慮して,◎○△の記号を升の中に記入します.

 

7―3 業務機能のチェック

Step1.対応関係の集中度によるチェック

1)対応関係の◎○△の記号が集中している業務機能を探し出します.

2)その業務機能の機能表現について抽象のレベルが高すぎないかを,他の業務機能表現と比較し,必要があれば訂正します.

3)対応関係の◎○△の記号が同じ所に付いている業務機能がないかをチェックします.

Step2.重要業務機能のチェック

1)二元表の全体を見渡して,重要と考えられる業務機能をチェックします.

2)重要業務機能に対する日常の負荷工数を推定します.

3)重要業務機能に充分な時間が費やされているかを検討します.

 

【ポイント】

1)二元表は全体が把握できる程度の大きさにします.

2)機能重要度を日常の負荷工数から類推することもできます.

3)重要業務機能に充分な時間がかけられていないことが多いのです.

4)管理面の業務機能に抜けがないかをチェックすることも必要です.

 

8.業務機能*ISO要求項目展開表の作成(所要時間70分)

 

業務機能*ISO要求項目展開表の作成は,次のステップで行います.

8―1 業務機能*ISO要求項目二元表の作成(10分)

8―2 対応関係の記入(30分)

8―3 業務機能のチェック(30分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

8―1 業務機能*ISO要求項目二元表の作成

Step1.ISO要求項目の転記

1)ISO要求項目展開表と新たな品質表シートを用意します.

2)品質表シートの縦軸(品質表シート左側)の欄に,業務機能*保証項目展開表と同次数のISO要求項目展開表を転記します.

 

8―2 対応関係の記入

Step1.対応関係記入の準備

1)ISO要求項目を記入した品質表シートの上部の展開表に,業務機能を転記するか,業務機能*保証項目展開表を折り曲げて仮止めして二元表を完成します.

2)対応関係付けの方向としては,各業務機能の遂行によって,ISO要求項目を満たすことができるのかを考えます.

Step2.対応関係の記入

1)定規を用意します.

2)業務機能から考えて,ISOの要求項目を満たすと考えられる項目を探し出します.

3)業務機能の遂行によるISO要求項目の充足の程度を考慮して,◎○△の記号を升の中に記入します.

 

8―3 業務機能のチェック

Step1.ISO要求項目に対する業務機能の有無のチェック

1)二元表全体を見渡して,ISOの要求項目を充足するための業務機能が存在しているかをチェックします.

 

【注】

この演習を行う際に使用します各種の演習用シートは,日本規格協会から出版されている「QFDガイドブック」に添付されています.さらに,この「QFDガイドブック」にはQFDの支援ソフトがCD−ROM版でついており,図表入りで詳細な説明がしてあります.