【生産財メーカーにおけるQFD演習】

対象製品が生産財の場合には,生産財自体の品質と生産財が産み出す製品の品質との両面を考える必要があり,ここでは生産財におけるQFDの手順を示してあります.生産財が対象である場合は製品品質特性の展開から始め,生産財が産み出す製品の品質特性を確保するための生産財の在り方を考えます.

 

【内 容】

1.生産財の選定

2.製品品質特性の展開

3.生産財品質特性の展開

4.製品品質特性*生産財品質特性展開表の作成

5.ユニット・部品の展開

6.ユニット・部品品質特性展開表の作成

7.生産財品質特性*ユニット・部品品質特性展開表の作成

8.QC工程表の作成

 

1.生産財の選定(所要時間30分)

 

生産財選定は,次のステップで行います.

1―1 事前準備(10分)

1―2 対象生産財の選定(20分)

以下にステップを説明します.

 

1―1 事前準備

Step1.グループの編成

1)グループを5〜6名で編成します.

2)グループメンバーにはできることならば,生産財の設計担当者,生産財が産み出す製品に精通している人,品質管理部や品質保証部の人を選定するとよいと思います.

Step2.自己紹介

1)特定(例えば,自分が一番若いと思える人)のメンバーから時計回りに自己紹介(名前,所属,専門など)をします.

Step3.グループ・リーダーの選出

1)リーダーの役割は,グループ討議の進行係と意見の調整,まとめをします.

 

1―2 対象生産財の選定

Step1.テーマ候補の抽出

1)演習で取り上げる対象生産財の候補を各自で発案します.

2)提案された対象生産財について、共通認識が得られるか検討し,候補を3つ位に絞り込みます.

Step2.対象生産財の決定

1)絞り込まれたテーマ候補について,投票などで対象生産財を決定します.

2)決定されたテーマ(生産財)が産み出す製品についての知識があるかなどを検討します.

 

【ポイント】

1)演習で取り上げるテーマ(対象生産財)には,その生産財が産み出す製品についての知識もあるものが望まれます.

2)共通認識が得られる生産財を選定します.

3)生産財をテーマに取り上げる場合には,生産財自体の品質と生産財が産み出す製品の品質の両方を考慮に入れる必要があります.

 

2.製品品質特性の展開(所要時間60分)

 

製品品質特性の展開は,次のステップで行います.

2―1 製品品質特性の抽出(10分)

2―2 製品品質特性のグルーピング(20分)

2―3 製品品質特性展開表の作成(30分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

2―1 製品品質特性の抽出

Step1.製品品質特性の抽出

1)対象生産財が産み出す製品の品質特性を抽出します.

2)対象生産財が産み出す製品を思い浮かべ,その製品の品質特性を思い付くままに列挙します.

例:パンチプレスを生産財とした時,産み出される製品は様々な部品が想定されますが,「穴精度」「穴位置精度」「R精度」などの製品品質特性が抽出されます.

3)抽出した製品品質特性をラベルに記述します.

Step2.製品品質特性の確認

1)抽出された製品品質特性の測定単位が明確であるかを確認します.

2)抽出された製品品質特性が製品の品質特性として重要な特性であるかを確認します.

 

2―2 製品品質特性のグルーピング

Step1.ラベルの一覧化

1)模造紙を用意し,製品品質特性ラベルを一覧できるように貼り並び替えます.

2)計測目的が全く同じラベルは重複を避けて破棄します.

3)重複していると考えられるラベルを破棄する場合には,表現にとらわれず記述者の確認をとって破棄します.

Step2.製品品質特性ラベルの群化

1)計測方法が似ていると感じたラベルを4〜5枚ずつに群化します.

2)頭の中にカテゴリーを作らず,要求内容が似ていると感じたラベルを4〜5枚ずつのグループに分けます.

3)抽象のレベルが高いラベルと低いラベルが混在していることを確認しながらグルーピングします.

Step3.上位ラベルの作成

1)各ラベル群について,各群を代表すると考えられる品質特性表現を見つけて,新たなラベルに青インクのペンで製品品質特性を記述します.

2)各群の4〜5枚の品質特性ラベルが全体で何を要求しているのかを考えラベル化します.

3)新たに作成したラベルを各群の上に貼り,各群4〜5枚の品質特性ラベルの代表であることが分かるように,4〜5枚のラベルを鉛筆で括ります.

4)青インクで作成したラベルについても同様に群化し,更なる上位項目を赤インクのペンで作成します.

 

2―3 製品品質特性展開表の作成

Step1.製品品質特性の一次項目の転記

1)製品品質特性のグルーピング結果を作表・転記して,製品品質特性展開表を作成します.

2)展開表シート(縦型)を用意し,製品品質特性展開表の一次項目の欄に赤インクで作成したラベルを一つ転記します.

3)転記する順番は問いませんので,適当な順序で転記します.

Step2.製品品質特性の二次項目・三次項目の転記

1)一次項目の欄に転記した赤インク・ラベル群の中の青インク・ラベルを二次項目の欄に転記します.

2)その青インク・ラベル群の中の黒インク・ラベルを三次項目の欄に一つずつ転記します.

3)黒インク・ラベルを全て三次項目の欄に記入したら,二次項目の欄に三次項目の下の線を延長して,二次項目の欄に他の青インク・ラベルの項目を転記します.

4)全ての二次項目(青インク・ラベル)が転記できたら,一次項目の欄に二次項目の下の線を延長します.

5)全ての赤インク・ラベルについて同様に転記します.

 

【ポイント】

1)生産財が産み出す製品の品質を考え,製品品質特性を展開することから始めます.

2)生産財の品質も大切ですが,生産財が産み出す製品の品質が確保できなければ,生産財自体の価値は無いに等しいことになります.

3)示した手順では三次項目まで展開することを仮定していますが,項目数が少ない場合には二次項目の展開で作成してもかまいません.

4)構想図に示したように,製品に対する要求品質展開表が存在していれば,製品品質特性と製品に対する要求品質との関係を把握しておくことも必要です.

 

3.生産財品質特性の展開(所要時間60分)

 

生産財品質特性の展開は,次のステップで行います.

3―1 生産財品質特性の抽出(20分)

3―2 生産財品質特性のグルーピング(30分)

3―3 カ産財品質特性展開表の作成(10分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

3―1 生産財品質特性の抽出

Step1.仕様書・図面からの抽出

1)対象生産財についての図面や仕様書を準備します.

2)仕様書・図面などから対象生産財の品質特性を抽出します.

Step2.基本機能からの抽出

1)生産財の機能系統図を準備し,基本機能の達成レベルを考えて品質特性を抽出します.

2)要求される基本機能の達成レベルを実現しているかをどのように測定するのかを考えて特性を抽出します.

3)生産財についての機能系統図が作成されていない場合には,仕様などからの抽出を中心にします.

 

3―2 生産財品質特性のグルーピング

Step1.生産財品質特性のラベル化

1)抽出された生産財品質特性について,その計測単位などをチェックします.

2)生産財品質特性をラベルに転記します.

3)生産財品質特性ラベルを一覧できるように模造紙に方向を揃えて貼り付けます.

4)重複している生産財品質特性ラベルを取り除きます.

Step2.ラベルのグルーピング

1)ラベルに記述された品質特性の測定目的を考えて,似ていると思われる品質特性を4〜5枚ずつに群化します.

2)全てのラベルについて群化が終わったら,各群を代表する品質特性名を考えて新たなラベルに記述します.

3)始めに作成したラベルを新たに作成したラベルの下に重ね,新たに作成したラベルだけが見えるようにします.

4)新たに作成したラベルについても,同様にグルーピングします.

 

3―3 生産財品質特性展開表の作成

Step1.展開表の作成

1)展開表シート(横型)を用意し,始めに作成したラベルの内容を三次項目の欄に転記します.

2)三次項目の一群を示す品質特性名を二次項目の欄に転記します.

3)他の三次項目,二次項目も転記します.

4)二次項目の一群を示す品質特性名を一次項目の欄に転記します.

5)他の群についても同様に展開表に転記します.

Step2.展開表のチェック

1)上位の品質特性が下位の品質特性群で表せられるかチェックします.

2)上位の品質特性を示すために必要な下位の品質特性があれば必要な品質特性を追加します.

 

【ポイント】

1)生産財自体の品質特性を展開します.

2)品質特性の抽出には,仕様・図面などから抽出する方法と,生産財の機能系統図から抽出する方法があります.

3)品質特性は測定単位が明確になっている尺度であり,品質特性名を思い付いたときに単位(ディメンジョン)が何であるのかも考えます.

4)生産財自体の品質特性と生産財が産み出す製品の品質特性を混同しないようにします.

5)品質特性の上位項目は品質要素と考えることもでき,上位項目については単位が存在しない場合があります.逆に単位が存在しなければ,品質特性ではなく抽象のレベルを具体化して品質特性を考えることができます.

 

4.製品品質特性*生産財品質特性展開表の作成(所要時間80分)

 

製品品質特性*生産財品質特性展開表の作成は,次のステップで行います.

4―1 製品品質特性*生産財品質特性二元表の作成(20分)

4―2 対応関係の記入(30分)

4―3 製品品質特性と生産財品質特性のチェック(20分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

4―1 製品品質特性*生産財品質特性二元表の作成

Step1.二元表の大きさの検討

1)製品品質特性展開表と生産財品質特性展開表を用意します.

2)二つの展開表の展開次数から,一次項目同士の二元表を作成するのか,二次項目同士の二元表を作成するのか,三次項目同士の展開表を作成するのかを決定します.

3)演習では一次項目か二次項目で二元表を作成することにします.

Step2.製品品質特性展開表の転記

1)品質表シートを用意します.

2)品質表シートの縦軸(品質表シート左側)の欄に,決められた次数の製品品質特性展開表を転記します.

Step3.生産財品質特性展開表の転記

1)品質表シートの横軸(品質表シート上方)の欄に,決められた次数の生産財品質特性展開表を転記します.

 

4―2 対応関係の記入

Step1.記入方法の確認

1)対応関係の付け方について,リーダーを中心に検討します.

2)対応関係の強さを3段階で付けるのか,5段階で付けるのかなどを話し合います.

3)演習では◎:対応が強い,○:対応がある,△:対応を考慮する必要があるの3段階とします.

4)対応関係付けの方向としては,製品品質特性の狙い値である設計品質が定められた時,どの生産財品質特性によって設計品質を確保できるかという方向で考えます.

Step2.対応関係の記入

1)定規を用意します.

2)製品品質特性から考えて,関連が深いと考えられる生産財品質特性を探し出します.

3)製品品質特性とどの程度関連が深いかを考慮して,◎○△の記号を升の中に記入します.

 

4―3 製品品質特性と生産財品質特性のチェック

Step1.対応関係の集中度によるチェック

1)対応関係の◎○△の記号が集中している製品品質特性を探し出します.

2)その製品品質特性の特性表現について抽象のレベルが高すぎないかを,他の製品品質特性表現と比較し,必要があれば訂正します.

3)対応関係の◎○△の記号が同じ所に付いている製品品質特性がないかをチェックします.

4)同様に,生産財品質特性についても対応関係の集中度,抽象のレベル,他の品質特性との関係をチェックします.

Step2.重要製品品質特性と重要生産財品質特性のチェック

1)二元表の全体を見渡して,重要と考えられる製品品質特性をチェックします.

2)重要製品品質特性に対する生産財品質特性が存在するかをチェックします.

3)同様に生産財品質特性からも製品品質特性をチェックします.

4)製品品質特性や生産財品質特性が不足している場合は,それぞれ追加します.

 

【ポイント】

1)生産財の場合には,生産財自体の品質と,生産財が産み出す製品の品質との両者に着目することが必要であり,製品品質特性*生産財品質特性展開表を作成することが重要です.

2)製品品質特性だけでなく,製品に対する要求品質の展開表も時間があれば作成して製品要求品質と生産財品質特性との二元表を作ることも意味があります.

3)製品品質特性*生産財品質特性展開表を活用することによって,生産財が産み出す製品の状況から生産財のあるべき姿を描き出すことが大切です.

4)製品品質特性*生産財品質特性展開表から生産財品質特性に対する設計品質を設定することも必要であり,この手順には含まれていませんが実際にはこの二元表を用いて生産財の設計品質を設定すべきです.

5)重要度の変換については,この手順には含めていませんが,製品品質特性重要度から製品品質特性と生産財品質特性との対応関係を用いて生産財品質特性重要度を求めることができます.

6)生産財品質特性重要度を求めて重要な生産沿い品質特性について他社比較を実施し,設計品質を設定するという考え方で重点指向することも考えられます.

 

5.ユニット・部品の展開(所要時間90分)

 

ユニット・部品の展開は,次のステップで行います.

5―1 ユニット・部品の抽出(40分)

5―2 ユニット・部品系統図の作成(30分)

5―3 ユニット・部品のチェック(20分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

5―1 ユニット・部品の抽出

Step1.ユニット・部品名の抽出

1)生産財の構成について,生産財を構成するサブシステム,サブシステムを構成するユニット,ユニットを構成する部品へと展開します.

2)生産財をどのように分割して製造するのかを考えて,ユニット・部品名を抽出します.

3)対象とする生産財が大きいものである場合には,サブシステム名も抽出します.

Step2.ユニット・部品名のチェック

1)抽出されたユニット・部品名について,共通の認識が得られているか確認します.

2)部品間,ユニット間を繋げるインターフェスについても確認します.

3)部品レベルでの特性値,ユニット・レベルでの特性値なども考察しておきます.

 

5―2 ユニット・部品系統図の作成

Step1.ユニット・部品名ラベルの作成

1)抽出されたユニット・部品名をラベルに転記します.

2)ユニット・部品名ラベルを一覧できるように模造紙に方向を揃えて貼り付けます.

3)重複するユニット・部品名ラベルが存在する場合には,ユニット・部品名を具体化して違いが分かるようにします.

Step2.ユニット・部品のグルーピング

1)ユニット・部品の組立順序を想定して,関連が深いユニット・部品名ラベルを5〜6枚集め,全てのラベルを5〜6枚に群化します.ただし,電子部品のように多数の極小部品で小さな部品が作られているものについては細分化せずにユニット・レベルの名称だけでかまいません.

2)部品の組み合わせによってユニットが構成され,ユニットと部品,ユニットとユニットによってサブシステムが構成されるはずですから,始めに作成したラベルでユニットの構成を整理します.

3)全てのラベルについて群化が終わったら,各群に何を組み付けることによって製造が進むかを想定して,ユニットや部品の構成グループを形成します.

Step3.ユニット・部品系統図の作成

1)ユニット・部品の群化の結果を系統図にまとめて,ユニット・部品系統図を作成します.

2)系統図に表す場合には組立順を想定し,フレームなどの中核部品に組み付けていく過程を表現するようにします.

 

5―3 ユニット・部品のチェック

Step1.品質確保状況のチェック

1)ユニット・部品系統図にまとめられた個々のユニットや部品の品質状況をチェックします.

2)ユニットや部品の単体の状態で,品質上に不安があるユニットや部品を明確にします.

3)ユニットや部品の単体の状態で,品質が確実に確保され,安定供給されているユニットや部品も明確にします.

4)ユニットや部品を組み立てた時に確保しなければならない品質についてもチェックします.

5)サブシステムがある場合には同様に品質面をチェックします.

Step2.原価面・納期面のチェック

1)ユニットや部品の単体の状態で,原価面・納期面に不安があるユニットや部品を明確にします.

2)ユニットや部品の単体の状態で,原価面・納期面が確実に確保され,安定供給されているユニットや部品も明確にします.

3)サブシステムがある場合には同様に原価面・納期面をチェックします.

 

【ポイント】

1)生産財を構成するサブシステム,ユニット,部品を展開し,各単体としての品質状況を明確にします.

2)構成部品一覧表でもよい場合には無理に展開表にする必要はありません.

3)部品を組み合わせることによって新たな品質特性が生成されますから,この特性が確保できているかを確認することが必要です.

4)社内で常識と考えられているユニットや部品の名称が,企業の発展に伴って常識ではなくなっている場合が多く,名称などを再確認することも大切です.

 

6.ユニット・部品品質特性展開表の作成(所要時間70分)

 

ユニット・部品品質特性の展開は,次のステップで行います.

6―1 ユニット・部品品質特性の抽出(30分)

6―2 ユニット・部品展開表の作成(20分)

6―3 ユニット・部品品質特性展開表の作成(20分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

6―1 ユニット・部品品質特性の抽出

Step1.仕様書・図面からの抽出

1)対象生産財についての細分化された単位の図面や仕様書を準備します.

2)ユニットや部品の仕様書・図面などから対象ユニット・部品の品質特性を抽出します.

Step2.ユニット・部品系統図からの抽出

1)ユニット・部品系統図を準備し,各ユニット・部品で重要な品質特性を抽出します.

2)ユニット・部品を組み合わせることによって生成される新たな品質特性も抽出します.

Step3.ユニット・部品品質特性のラベル化

1)抽出されたユニット・部品品質特性について,その計測単位などをチェックします.

2)ユニット・部品品質特性をラベルに転記します.

3)ユニット・部品品質特性ラベルを一覧できるように模造紙に方向を揃えて貼り付けます.

4)重複するユニット・部品品質特性ラベルを取り除きます.

 

6―2 ユニット・部品展開表の作成

Step1.ユニット・部品名の転記

1)展開表シート(縦型)を用意し,二次と書かれてある部分を部品と書き換えます.

2)ユニット・部品系統図を準備し,部品と書き換えた欄に一つのユニットの部品名を転記します.

3)一次と書かれてある部分をユニットと書き換え,ユニット名を転記します.

4)同様の手順で全てのユニット名と部品名を転記します.

5)ユニット名と生産財品質特性との対応関係がとれるように展開表を作表します.

Step2.品質特性数のチェック

1)各ユニットと各部品について,重要品質特性がどの位の数あるのかをチェックします.

2)ユニット・部品品質特性ラベルの一覧から,ユニット・部品展開表の部品に対応する品質特性ラベルを取り出し,部品名の横に貼り付けます.

3)ユニットについても同様にユニット・部品品質特性ラベルの一覧から,ユニット・部品展開表のユニットに対応する品質特性ラベルを取り出し,ユニット名の横に貼り付けます.

4)各部品と各ユニットの品質特性がどの位の数あるのかを数えてユニット・部品展開表の各欄にメモします.

 

6―3 ユニット・部品品質特性展開表の作成

Step1.展開表の作成

1)新たな展開表シート(縦型)を用意し,三次と書かれてある部分を品質特性と書き換え,一次をユニット,二次を部品と書き換える.

2)ユニット欄にユニット・部品展開表の始めのユニット名を転記し,部品欄はとばして品質特性欄にユニットとして重要な品質特性をラベルから転記します.

3)転記したユニットを構成する部品を部品欄に転記し,その部品の品質特性を転記します.

4)他の部品についても同様に部品名を部品欄に転記し,その部品の品質特性を品質特性欄に転記します.

5)他の群についても同様に展開表に転記します.

Step2.展開表のチェック

1)ユニット・部品に抜けがないかチェックします.

2)ユニットの品質特性を確保するために必要な部品の品質特性があれば必要な品質特性を追加します.

3)部品の品質特性だけでなく,ユニットの品質特性と他の展開表との対応関係がとれるようになっているかチェックします.

 

【ポイント】

1)ユニット・部品品質特性展開表はユニット・部品展開表の右に品質特性が並記されたものであり,ユニット・部品の名称を展開したユニット・部品展開表に,各ユニットと各部品の品質特性を関連付けて展開表にしたものです.

2)ここではユニット・部品展開表を作成した後に,再度ユニット・部品品質特性展開表を作成するという重複する形で手順を示しましたが,内容が理解できたら直接ユニット・部品品質特性展開表を作成してかまいません.

3)ユニット・部品品質特性展開表では,機能展開表と同様に上位の項目との対応関係がとれるように展開表を作成する必要があります.

 

7.生産財品質特性*ユニット・部品品質特性展開表の作成(所要時間80分)

 

生産財品質特性*ユニット・部品品質特性展開表の作成は,次のステップで行います.

7―1 生産財品質特性*ユニット・部品品質特性二元表の作成(20分)

7―2 対応関係の記入(30分)

7―3 生産財品質特性とユニット・部品品質特性のチェック(20分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

7―1 生産財品質特性*ユニット・部品品質特性二元表の作成

Step1.ユニット・部品品質特性展開表の転記

1)品質表シートを用意します.

2)品質表シートの縦軸(品質表シート左側)の欄に,ユニット・部品機能展開表を転記します.

3)ユニット・部品品質特性展開表はユニットと部品の異なるレベルの項レと生産財品質特性展開表との二元表を作成することになりますので注意します.

Step2.生産財品質特性展開表との結合

1)製品品質特性*生産財品質特性二元表を用意し,ユニット・部品機能展開表を転記した品質表シートの横軸(品質表シート上方)に,製品品質特性*生産財品質特性展開表を結合します.

2)製品品質特性展開表が大きい場合には,製品品質特性展開表を折り曲げて,生産財品質特性展開表とユニット・部品機能展開表との二元表の形にします.

 

7―2 対応関係の記入

Step1.記入方法の確認

1)対応関係の付け方について,リーダーを中心に検討します.

2)対応関係の強さを3段階で付けるのか,5段階で付けるのかなどを話し合います.

3)演習では◎:対応が強い,○:対応がある,△:対応を考慮する必要があるの3段階とします.

4)対応関係付けの方向としては,生産財品質特性の狙い値である設計品質を確保するために,どのユニット・部品品質特性が重要であるかという方向で考えます.

Step2.対応関係の記入

1)定規を用意します.

2)生産財品質特性から考えて,重要と考えられるユニット・部品品質特性を探し出します.

3)生産財品質特性の設計品質をどの程度確保できるのかを考慮して,◎○△の記号を升の中に記入します.

4)対応関係を◎○△の記号で付ける方法ではなく,生産財品質特性の設計品質を実現するためにユニット・部品品質特性の値がいくつであるべきかの数値を記入する方法もあります.

 

7―3 生産財品質特性とユニット・部品品質特性のチェック

Step1.対応関係の集中度によるチェック

1)対応関係の◎○△の記号が集中している生産財品質特性を探し出します.

2)その生産財品質特性名の抽象のレベルが高すぎないかを,他の生産財品質特性名の表現と比較し,必要があれば訂正します.

3)対応関係の◎○△の記号が同じ所に付いている生産財品質特性がないかをチェックします.

4)同様に,ユニット・部品品質特性についても対応関係の集中度,抽象のレベル,他の品質特性との関係をチェックします.

Step2.重要生産財品質特性と重要ユニット・部品品質特性のチェック

1)二元表の全体を見渡して,重要と考えられる生産財品質特性をチェックします.

2)重要生産財品質特性に対するユニット・部品品質特性が存在するかをチェックします.

3)同様にユニット・部品品質特性からも生産財品質特性をチェックします.

4)生産財品質特性やユニット・部品品質特性が不足している場合は,それぞれ追加します.

 

【ポイント】

1)対応関係を付ける欄には,◎○△の記号を付ける方法もありますが,生産財の品質特性に対する設計品質を実現するために必要なユニット・部品品質特性について設計値を記入するという方法もあり,後者の方が実用的です.

2)生産財を構成する単体部品が生産財品質特性に影響する場合と,部品が組み合わせられたユニットとしての特性が生産財品質特性に影響する場合があり,前者の特性は部品製造のQC工程表に盛り込まれ,後者は組立工程のQC工程表に盛り込まれます.

3)部品単体の品質が確保されていても,他の多くの部品と組み合わせられることにより,新たに重要な品質特性が生成されますので,この特性を見落とさないようにすることが重要です.

 

8.QC工程表の作成(所要時間60分)

 

QC工程表の作成は,次のステップで行います.

8―1 重要ユニット・部品の抽出(20分)

8―2 製造工程制御要因の抽出(20分)

8―3 QC工程表の作成(20分)

以下,各ステップの作業手順を説明します.

 

8―1 重要ユニット・部品の抽出

Step1.重要ユニット・部品の抽出

1)生産財品質特性*ユニット・部品品質特性二元表から重要ユニット・部品を抽出し,重要な生産財品質特性に対する設計品質に強い関係があるユニット・部品品質特性が含まれるユニットや部品を抽出します.

2)抽出されたユニットか部品を一つ選定し,ユニットであればどの構成部品を基軸に製造するのか,部品であればどのように製造するのかを決定します.

3)ユニットであれば,基軸となる部品に対して他の構成部品をどの順序で組み付けていくかを検討し,部品であれば,製造工程の概略を考察します.

Step2.製造治工具・設備の検討

1)製造作業に必要な治工具や設備を検討します.

2)製造に用いられる設備や治工具を勘案して,製造工程で重要となる品質特性を検討します.

Step3.工程表の作成

1)基軸となる部品からどのように他の構成部品を組み付けるかのユニット・部品製造工程を,工程表に用いられる記号,▽○□などを用いて製造工程表を作成します.

2)具体的な製造工程を思い浮かべて,停滞,加工,運搬,検査の記号を用いてユニット・部品製造工程表を作成します.

3)ユニット・部品製造工程表を作成する際には,製造時の設備や製造手順,検査時の測定機器や測定方法などを検討し,運搬に使用する機器や停滞時の荷姿も検討します.

 

8―2 製造工程制御要因の抽出

Step1.管理特性の抽出

1)ユニット・部品工程中で管理すべき結果系の品質特性を抽出します.

2)この品質特性はユニット・部品品質特性展開表に記述されている特性と製造工程を検討した時に新たに発生した特性です.

3)抽出された品質特性が結果系の特性かをチェックします.

4)最終工程まで組立が進んでしまった時には測定できない特性があるかチェックします.

Step2.製造工程制御要因の抽出

1)製造工程の作業者が組立時に制御可能な要因系の管理項目を抽出します.

2)この管理項目は製造工程において品質特性を確保するために制御可能な項目です.

3)品質特性を制御するために必要な要因が抽出されているかチェックします.

 

8―3 QC工程表の作成

Step1.製造工程表の転記

1)QC工程表シートを用意します.

2)QC工程表シートの工程欄に製造工程表の初めの工程記号と工程番号を転記します.

3)第2工程以降の工程記号と工程番号は,品質特性と管理項目についての転記が終了してから順次転記します.

Step2.品質特性の転記

1)転記した工程において管理すべき品質特性を記入します.

2)記入した品質特性を誰が何時,どのように管理するのかを考えて,管理方法欄に管理する方法を記入します.

3)関連する標準類や特記事項があれば,それぞれ必要な欄に記入します.

Step3.管理項目の転記

1)品質特性を転記した同一工程において管理すべき管理項目を転記します.

2)記入した管理項目を誰が何時,どのように管理するのかを考えて,管理方法欄に管理する方法を記入します.

3)管理項目を制御することによって,品質特性がコントロールできるかをチェックします.

Step4.QC工程表のチェック

1)すべての工程について,工程記号の転記,品質特性の転記,管理項目を転記します.

2)作成したQC工程表について,各工程における管理項目と品質特性の因果関係が明らかであるかチェックします.

 

【ポイント】

1)ユニット製造の工程表は基軸となる構成部品を工程の中心に記入します.

2)組み立てることによって新たに発生する品質特性が存在することに注意します.

3)製造工程内でしか測定できない品質特性に注意します.

4)品質特性は抽出されやすいのですが,原因系の管理項目が抽出しにくいのです.ドライバーの締め付けトルク値などが原因系の管理項目となります.

 

【注】

この演習を行う際に使用します各種の演習用シートは,日本規格協会から出版されている「QFDガイドブック」に添付されています.さらに,この「QFDガイドブック」にはQFDの支援ソフトがCD−ROM版でついており,図表入りで詳細な説明がしてあります.