【豆知識(Part1:QCの基本編)】

この豆知識は他に【豆知識(Part2:QFD編)】【豆知識(Part3:サービス編)】【豆知識(Part4:新製品開発編)】などがあります.ここでは以下の10アイテム用意しました.

 

1.管理の考え方

2.統計量(R,S,V,s)の物理的な意味

3.原因と結果の使い分け

4.維持と改善

5.設計品質と適合品質

6.品質管理と品質保証

7.事実による管理

8.設計的アプローチと解析的アプローチ

9.QC七つ道具

10.ブレーンストーミングの4原則

 

1.管理の考え方

品質管理における「管理」とはP・D・C・Aのサイクルを事実に基づいて回して行動することです.

ここで,Pとは「計画(Plan)する」ことです.Dとは「実施(Do)する」こと,Cとは「確認(Check)する」こと,Aとは「処置(Act)する」ことです.

このPDCAというサイクル自体は,普段の生活でも意識せずに行っていることですが,事実に基づいてこのサイクルを回すことが大切なのです.

例えば,旅行するという行動を考えましょう.どこに旅行するのか計画(P)を立てます.そして,計画通りに旅行(D)します.さらに,計画した旅行が良かったのかどうか,旅行しながら確認(C)します.そして,良くなければ次の旅行の計画をする時に,是正処置(A)をするはずです.

普段の行動でも,このPDCAのサイクルは回していますが,事実(データ)を基にして,このサイクルを回している人は少ないと思います.事実を記録し,データを残し,データから次の行動へと繋げていくことが管理なのです.

PDCAのサイクルを円で描いた時,この円は接地する所がなければ前進しません.このPDCAの輪が回転するための接地面として事実(データ)が位置づけられています.

ちなみに,「かんり」には「管理」以外に「監理」という言葉もあります.この「監理」は「皿かん」といって,お皿の上に乗っているものを眺めていることであり,「管理」とは異なります.

 

2.統計量(R,S,V,s)の物理的な意味

管理活動を行うためにはデータ(事実)が必要です.データには定性データと定量データがありますが,数値で表される定量データがよく用いられます.

収集されたデータを集約すると,平均値のように位置を示す統計量と,標準偏差のようにばらつきを示す統計量が求められます.

ばらつきを示す統計量としては,範囲(R:Range),平方和(S:Sum of squares),分散(V:Variance),標準偏差(s:standard deviation)があります.

R(範囲)という統計量は最大値と最小値の差として求められます.この差が大きければばらつきが大きく,この差が小さければばらつきは小さいと考えられます.しかし,このRという統計量はデータがいくつあっても2つのデータしか使用していません.

そこで,収集されたデータ全てを使用してばらつきを表す統計量を考えました.この時に平均値を使って,得られた個々のデータと平均値との差を使うことにしたのです.この差のことを「偏差」といいますが,この偏差の合計が大きければばらつきも大きく,合計が小さければばらつきも小さいと考えられます.

しかし,偏差を合計すると必ずゼロ(0)になってしまいます.そこで,この偏差を二乗して面積で考えることにしました.つまり,合計面積が大きければばらつきが大きく,合計面積が小さければばらつきも小さいと考えるのです.

この統計量がS(平方和)です.平方和を正確に書くと偏差平方和となります.文字通り偏差を平方(二乗)して,和(合計)を求めるのです.この平方和はという統計量は,ばらつきを分解する時などに用いられます.

このS(平方和)という統計量は,データの数(サンプル・サイズ)の影響を受けます.つまり,データの数が大きければSの値は大きくなり,データの数が少なければSの値は小さくなります.これでは一概にばらつきの大きさを比べることができません.

そこで,平均面積にすることを考えました.つまり,平方和をデータの数で割って,平均面積を求めるのです.この平均面積がV(分散)という統計量です.このVを使って,ばらつきについての検討をします.

しかし,この分散という統計量も,平方和という統計量も二乗して求めた統計量ですから,単位を考えると単位も二乗になっています.元の単位がメートル(m)であれば,平方和や分散の単位は平方メートル(u)になってしまいます.そこで,この分散の平方根を求め,元の単位と同じ単位でばらつきを示す統計量としたのです.

これが標準偏差です.ですから,標準偏差は分散の平方根として求められます.

 

3.原因と結果の使い分け

管理活動を進めるためには,原因と結果の因果関係を把握することも重要です.PDCAのサイクルの処置(A)行動ですが,事後処置と未然処置があります.

事後処置はものごとが起こってから処置をすることで,未然処置とは「ころばぬ先の杖」のことです.

例えば,夏になると蚊が出てきて,人を刺します.蚊に刺されてからかゆみ止めを塗るのは事後処置です.蚊に刺されないように防虫剤を撒くのは「ころばぬ先の杖」,未然処置です.さらに,蚊がわかないようにドブなどを清掃する方がもっとよいはずです.

ここで,蚊に刺されるというのは結果です.何故蚊に刺されるかというと,蚊が発生するからです.蚊が発生しているというのが原因です.つまり,蚊が発生するという原因がなければ,蚊に刺されるという結果は得られないのです.蚊が発生するという原因を除去してしまえば,蚊に刺されるという悪い結果を得ることはありません.

管理活動においては,原因を追求して,原因に対して処置行動することによって,悪い結果に至らないような未然処置を講ずるという考え方が大切です.

原因と結果の関係を整理するツールとして,QC七つ道具の中に「特性要因図」という道具があります.この特性要因図では,解っている原因を図に示して書き出すということが大切です.さらに,アクション(処置)をとることができるレベルの原因までさかのぼって,原因を追求することが大切です.「原因は解っているけれど,どうすればよいのか解らない」というのは,原因が解っていないのです.処置行動をとることができるレベルまで原因を追求して,始めて原因が解ったということになるのです.

原因を追求するための方法としてブレーンストーミングがあります.ブレーンストーミングを使って,処置行動がとれるレベルまで原因を追求しましょう.

 

4.維持と改善

管理活動には,ある一定の水準を保つための維持管理活動と,よりよい水準に引き上げるための改善管理活動があります.どちらの活動も管理活動ですからPDCAのサイクルを回す活動です.

維持活動では,一定の水準が維持されているのかを管理するのですから,一定の水準から外れた場合には,その外れる原因を追求し,原因を除去する処置行動がとられます.このためには,QC七つ道具の中の「管理図」が用いられます.この管理図の中でも管理用管理図といわれる管理図が用いられます.

管理用管理図では,現状の品質水準と,処置行動をとるべき限界の水準である管理限界が示されており,この管理限界から外れた場合に,処置行動をとることになります.

一定の水準を維持するためには作業の標準化が必要で,標準(S)を実施(D)し,標準が守られているかを確認(C)し,標準が守られていなければ処置(A)行動をとるというSDCAのサイクルを回すという考え方もあります.

一方,改善活動では,現状のレベルを引き上げるわけですから,どのレベルまで引き上げるのかという目標を設定します.そして,この目標へ到達するための改善案を考え,改善活動を計画(P)し,実行(D)し,計画通りの実行で目標へ到達したか確認(C)し,目標へ到達していない場合には処置(A)行動をとるというPDCAのサイクルを回します.

改善活動によって改善がなされた場合には,その新しい作業のやり方を標準とするように,標準を変えます.そして,新たな標準によって新たなレベルが維持できるように,維持活動をする期間に入ります.

この維持の活動と改善活動が繰り返して行われることが大切であり,改善活動のみを繰り返すと,いわゆる「モグラ叩き」的な活動になりますから,注意が必要です.

維持活動と改善活動は,お互いに矛盾する活動です.改善するという活動は標準を変える活動ですし,維持するという活動は標準を変えない活動です.このお互いに矛盾する活動を繰り返して,現状のレベルを向上することが必要なのです.

 

5.設計品質と適合品質

管理活動の対象である品質には様々な品質がありますが,基本としては2つに分けて考えることが必要です.一つは設計品質(quality of design)で「製造の目標としてねらった品質(JIS Z 8101)」です.もう一つは適合品質(quality of conformance)で「設計品質をねらって製造した製品の実際の品質(JIS Z 8101)」です.

設計品質は設計図面や仕様書などに記載されています.適合品質は製造品質とも言われ,出来上がった製品を測定することによって設計品質にどれだけ適合しているかで評価されます.設計品質はばらつくことはなく,適合品質は必ずばらつきを持つことになります.

例えば,ボールペンを製造して販売することを考えてみましょう.生産するボールペンの軸の長さや軸の径,キャップの長さや穴の径など,様々な寸法が図面に示されています.これらの寸法はばらつくことはありません.そして,実際に金型などを準備してボールペンを製造し,出来上がった軸やキャップの寸法を測ると,図面通りの寸法になるものもありますが,ばらつきが生じます.ほぼ図面通りの製品が出来上がり,図面に書かれた規格に収まっていれば一応良品ということになります.

適合品質(製造品質)というのは,ねらいである設計品質にどれだけ適合しているかであり,設計品質に合致していれば合格ということになります.しかし,規格の幅が広く設計されていた場合に,規格通りに作っても「品質が良い」とは言われません.

例えば,ボールペンの軸の長さが135.0±5.0mmと設計図面に書いてあったとします.この通りにボールペンを製造したとすると,長さが130.0mmのものから140.0mmのものまでばらついたものができることになります.もし,キャップがこのような状態であれば,ブカブカなキャップやキャップができないキャップができることになります.

適合品質が設計品質通りであることは当然ですが,ばらつきを小さくすることが何より大切なことです.製造品質のばらつきが小さいことが品質が良いことの何よりの証なのです.

さらに,設計品質自体が良いのかも問題になります.設計品質はばらつくことはありませんが,ねらいの品質自体が悪くては,製造品質のばらつきがなくても品質が良いとは言われません.

例えば,ボールペンの軸の長さや径というのは,「書きやすい」あるいは「持ちやすい」長さや径であることが必要です.「書きやすい」ということ,あるいは「持ちやすい」ということを前提にして,長さや径が決められるべきです.「疲れない」ということを前提に設計されるかも知れません.

いずれにしても,顧客の要求に合致した設計が必要となります.顧客の要求を無視した設計をすれば,製造品質は良くても出来上がった製品を市場が受け入れてくれません.そのために設計品質自体を良くすることが必要です.

このために,QFD(品質機能展開)では顧客の要求を要求品質として捉え,この要求品質から企画品質を設定し,顧客の要求に合致した設計品質が設定できる仕組みを考えています.

1950年代に日本に導入されたQCでは設計品質と適合品質の2つに品質を分けて考えていましたが,その後日本で進められた品質管理によって,企画品質,要求品質という考え方が生まれ,日本の製品の品質が向上したのです.

 

6.品質管理(quality control)と品質保証(quality assurance)

日本語は膠着語(こうちゃくご)といわれています.膠着語とは文字通り「くっつけて」使われる言語です.その意味で粘着語とも言われています.品質管理という言葉は「品質」という言葉と「管理」という言葉がくっつけられて出来ている言葉です.

すると,「品質」という言葉と「管理」という言葉の間には,どのような言葉が入るのでしょうか.「品質を管理する」のか,「品質の管理」なのか「品質による管理」なのか,様々な言葉を入れることができます.英語では「control of quality」「control by quality」「control through quality」など,ofなのか,byなのか,throughなのかが問題になった時期があります.

日本では「品質を通じた管理」という解釈が正しいと言われています.平たく言えば「品質による管理」となります.それでは,品質によって何を管理するのでしょうか.実は品質を通じて「工程」を管理するのです.提供財を生産するプロセスである工程を管理するために,工程からサンプルを収集し,このサンプルからデータを得て,工程に対して処置行動(アクション)をとるのです.

現在稼働している工程が,現状のままでよいのか,是正処置をとる必要があるのかについて,工程から得られる情報を基に判断し,工程に対してアクションをとるのです.このことによって,未来にアクションをとることになります.工程が産出した製品は結果であり,過去の産物です.この過去の産物を調べて(検査して)不良品を取り除くという作業は過去に対してアクションをとっていますが,不良品が産出されないように工程にアクションをとるということは,未来に対してアクションをとるということです.

それでは,品質保証の方はどうでしょうか.「品質を保証する」というように理解すれば,品質保証は行動もしくは活動のようですが,実は品質保証を目的と考えた方が理解しやすいと思います.品質を保証するという目的のために,品質管理という活動をするのです.

日本工業規格(JIS)の定義によれば,品質管理とは「買手の要求に合った品質の品物又はサービスを経済的に作り出すための手段の体系(JIS Z 8101)」とあります.JISの定義は,このあとにも文が続いていますが,「体系」という言葉で締めくくられています.一方,品質保証とは「消費者の要求する品質が十分に満たされていることを保証するために,生産者が行う体系的活動(JIS Z 8101)」とあります.品質保証の定義は「活動」という言葉で締めくくられています.

すると,品質管理は体系で,品質保証は活動ということになりますが,私は,品質保証は目的で,品質保証するために品質管理という活動をすると理解すべきと考えています.

ちなみに,「ほしょう」は「保証」の他に同音で「保障」「補償」があり,意味が異なります.英語では「assurance」の他に,「guarantee」「compensation」「warranty」などがあります.などと書いたのは「security」に保証の意味があるからです.日本語の同音では「歩哨」がありますが,これは別な話です.

 

7.事実による管理

管理とは事実(データ)に基づいてPDCAのサイクルを回すことだと説明しました.それでは,事実とはどのように示されるのでしょうか.データにはどのようなものがあるのでしょうか.

データは大別すると定量データと定性データに分けられます.

定量データ:数値データ・量的データともいわれ,数値で表されるもの.

定性データ:言語データ・質的データともいわれ,言語で表されるもの.

さらに,定量データは計数値と計量値に分けられます.

計数値(attribute, discrete data):離散量ともいわれ,数えて得られる値.

計量値(variable, continuos data):連続量ともいわれ,測って得られる値.

一般的に,数値で示されたデータは事実を表していると思われています.ですから,「データを示せ」というと数値データと思われがちです.実際に測定して得られる数値データは事実である場合が多いのです.では,数値で表すと何故事実と判断されるのでしょう.

示されたものごとが事実であるためには,個人の主観が入っていないことが条件の一つです.言葉を変えれば,客観的であることが求められているのです.

それに加えて,示されたものごとが実証可能であるということが条件となります.つまり,実証可能で,客観的であれば,事実を示していることになります.言語データであっても,この条件が満たされれば,事実を表すことができます.

「この車は素晴らしい」という言語情報は,事実かどうか分かりません.しかし,「この車の全長は4970mmです(実は日産シーマの全長)」という言語情報については,長さを再度測定することによって事実かどうかを実証することができ,客観的なことです.「素晴らしい」というような表現は主観的な表現で,人が異なれば「素晴らしい」というかどうか分かりません.ですから,実証が不可能です.

言語情報であっても,それが実証可能で客観的な表現のものであれば,定性データとして取り扱うことが可能です.

これらのことに注意して,事実に基づいて管理することが大切です.

 

8.設計的アプローチと解析的アプローチ

管理活動を進める方向としては,悪さ加減を捉えてその悪さを引き起こす原因を調べ,その原因を除去することによって良い方に導くやり方があります.この方向は解析的アプローチといわれています.もう一つの方向は,あるべき姿を設定して,その姿に到達するにはどのようにすべきかを考えていくやり方で,設計的アプローチといわれています.

解析的アプローチでは,ブレーンストーミングによって得られた情報を特性要因図などにまとめて主原因を絞り込み,悪さを引き起こす真の原因を解析によって求めて維持・改善を図ります.

設計的アプローチでは,あるべき姿を先に決める必要があります.例えば,QFD(品質機能展開)は設計的アプローチの代表とされていますが,QFDでは顧客の要求を要求品質として捉え,この要求品質を顧客の望むレベルにすることが,あるべき姿と考えています.そして,顧客の要求を満たすために何をなすべきかを考えていくのです.

品質管理活動において行われてきた従来のやり方は問題解決型のアプローチで解析的アプローチです.その後,方針管理などが導入され,課題達成型のアプローチも考案されていますが,このアプローチは設計的アプローチです.

方針管理などでは,トップの方針として,いつまでにどのようにありたい,という姿が方針として示されるため,問題解決のアプローチではないアプローチが必要となったのです.あるべき姿と,現在の状態の差を問題として捉え,この問題を解決すると考えれば,問題解決型のアプローチによって,維持・改善を図ることも可能ですが,適材適所に必要なツールを使う方が効果的だと思います.

 

9.QC七つ道具

管理活動を効率よく進めるために,様々な道具(ツール)が考えられています.QC七つ道具は品質管理活動を効率よく進めるための道具集です.QC七つ道具の七つの道具とは,特性要因図,チェックシート,ヒストグラム,パレート図,グラフ(管理図),散布図,層別の七つです.

層別は考え方であるとして,グラフと管理図を別の道具として七つと数える考え方もあります.パレート図も散布図もヒストグラムもグラフではないかという意見もありますが,一般的には始めに書いた七つをQC七つ道具としています.

特性要因図(cause and effect diagram)は石川馨先生が考えられた道具で,石川ダイヤグラムとか,その形から魚の骨(フィッシュ・ボーン)ともいわれています.特性要因図は,結果である特性と,その結果を引き起こす原因の中でも特に特性に影響している要因との関係を魚の骨のような形に示したものです.真ん中に示した左から右に引かれる線は魚の背骨にあたり,工程を示しています.そして,その工程に影響する要因を言語データで示していきます.

チェックシート(check list)はデータを収集するために用いられる道具です.数値データをいちいち書かなくてもすむようにチェック・マークのみでデータがとれるように工夫されたもの,不具合の発生場所が一目で分かるように絵や図にチェック・マークを記入するものなど,様々なチェックシートが設計され,データの収集に使われています.

ヒストグラム(histogram)は計量値で得られたデータの全体を把握するために,使われる道具で棒グラフの一種です.得られた計量データを10〜13位に区切った範囲に分けて,その数を集計し,棒グラフを作成します.このグラフに規格値などを書き入れると,出来上がった製品が規格に対してどのようにできているかなど,一目で把握することができます.

パレート図(Pareto diagram)はイタリアの経済学者パレート氏が考えられた道具で,重点志向する時に使われます.80−20原理といわれるパレートの原理があり,問題の80%は20%のわずかな項目で占められているといわれています.この図は,問題の件数や金額の大きい順に項目を並べ替えて作成した棒グラフと,累積件数や累積金額を示す折れ線グラフ(これをパレート曲線という)とからできています.パレート図は縦対横の比を2:1にとると見やすいといわれています.この図はIEの分野ではABC分析といわれています.

グラフ(管理図)(graph)には,棒グラフ,折れ線グラフ,帯グラフ,円グラフ(パイ・チャート),レーダー・チャート,など様々なグラフがあります.時系列データには折れ線グラフ,割合を示すためには面積グラフである棒グラフ,円グラフ,帯グラフなどが用いられます.そして,バランスを見るためにはレーダー・チャートがよく用いられます.示したい内容を分かりやすく理解してもらうために適切なグラフを選択することが必要です.

管理図(control chart)は,時系列データを用いて製造工程が安定しているかどうかを把握するために使われます.管理図は,その目的から管理用管理図と解析用管理図に分けられます.また,取り扱うデータの種類から様々な管理図が考案されています.日本の管理図はシューハート氏の考え方を支持し,3σ限界を理論的な根拠にしています.

散布図(scatter diagram)は2変数間の関係を示すために描かれる図です.2つの変数を縦軸と横軸にとり,得られたデータを打点して作成します.この図から,1変数の数値が大きくなるにつれて,他の変数の数値も大きくなっているなどの関係があるかないのかを把握します.

層別(stratification)は読んで字のごとく,データをいくつかの層に分けることです.しかし,単にいくつかの層に分けるのではなく,意味ある層に分けることが必要です.この意味ある層というのは,分けたことによってアクションがとれる層のことです.機械別,作業者別,作業方法別,原材料別などのように,データの共通点や特徴を持ついくつかのグループに分けることです.

これらの道具は知っているだけではなく,実際に使って使いこなすことが必要です.道具を知っているということと,道具を使えるということには大きなひらきがあります.是非,知っているだけではなく,使えるようになって欲しいものです.

 

10.ブレーンストーミングの4原則

ブレーンストーミング(brainstorming)は発想法の一つで,オズボーン氏らによって考えられたといわれています.諺に「3人寄れば文殊の知恵」というのがありますが,問題の解決や,課題を達成する場合,一人で考えるのではなく,関連する人達に集まってもらって知恵を出し合うための方法です.

ただし,単に意見を出し合うだけでは井戸端会議と同じになってしまいます.そこで,「批判厳禁」「自由奔放」「質より量」「他人の尻馬に乗る」という4つの決まり事を守って発想することになっています.

批判厳禁:他人の意見やアイディアを批判しない.

自由奔放:突飛な発想でも歓迎し,自由に発言させる.

質より量:内容よりも量を求め,多くの意見を抽出する.

他人の尻馬に乗る:他人の意見に便乗して自分の意見を継ぎ足して良い.

ブレーンストーミングでは,以上の4原則を守って,参加者全員が自分自身の頭を強襲して,アイディアを出します.

とはいっても,日本の社会では力関係から,上司などの意見に右往左往する人達がいます.力関係の強い人の存在によって,自由奔放が守れず,束縛が起こることがあります.これを避けるために,ブレーン・ライティングという方法もあります.これは,発言ではなく,発言する内容を紙に書く方法です.このブレーン・ライティングの代表的な方法として,635法があります.

635法は6人の人が,3つのアイディアを5分間で書くという方法です.A4サイズの用紙を縦に置いて,左右に2分割,上下に9分割して,この用紙を6枚用意します.テーマを決めた後,5分間で3つのアイディアを用紙に6人がそれぞれ記入します.5分経ったところで,用紙を回して他人が書いたアイディアを参考にしつつ新たに3つのアイディアを記入します.また,5分経ったら用紙を回して5分間に3つのアイディアを記入します.このようにすると,30分で108のアイディアがでてきます.

本当?????

 

この豆知識は他に【豆知識(Part2:QFD編)】【豆知識(Part3:サービス編)】【豆知識(Part4:新製品開発編)】などがあります.