【豆知識(Part3:サービス編)】

この豆知識は他に【豆知識(Part1:QCの基本編)】【豆知識(Part2:QFD編)】【豆知識(Part4:新製品開発編)】などがあります.ここでは以下の10アイテム用意しました.

 

1.提供財(有形財と無形財)

2.暗黙知と形式知

3.サービスの特徴

4.サービス業の分類

5.サービスの分類

6.サービスの品質

7.サービスの品質と業務

8.サービスの品質特性

9.サービスのQFD

10.サービスの品質保証

 

1.提供財(有形財と無形財)

企業が提供する財貨を提供財といいます.この提供財は有形財と無形財に分けることができます.有形財は文字通り形が有り,触ることができる財貨です.無形財も文字通り形が無く,触ることができない財貨です.

無形財であるサービスも有形財である製品でも,その提供するモノの品質を測定するという観点から共通した側面があります.有形財は,tangible(触知できる)であるために,生産後に品質を測定することは容易にできますが,無形財は,intangible(手に触れられない)であるため,かつ生産と消費が同時に行われるため,生産後に品質を測定することが困難と考えられています.

しかし,ホテルのサービスである「ベッド・メーキング」などを考えると,サービス生産後にその品質を測定することは可能です.全てのサービスが同時・同一空間で,生産と消費が行われるわけではありません.ホテルの「ベッドメーキング」,航空機の「座席」などはサービスを生産した時と,顧客がそのサービスを消費する間には時間があります.

生産と消費が同時・同一空間で行われるサービスは接客サービスです.多くのサービスは有形財と同様な提供が行われるので,この種のサービスについては製造業で行われている品質管理の考え方がそのまま適用できます.

とはいえ,サービス業には,その特殊性が存在し,特殊性を考慮した品質保証の考え方が必要となります.その特殊性とは接客サービスに代表される,顧客と同時・同一空間で生産と消費が同時に行われるサービスが持っている性質です.

 

2.暗黙知と形式知

サービス企業が提供するサービスは無形財であるため,その技術や知識を企業内に蓄積することが難しいと考えられます.技術や知識自体も無形財ですから,サービスの品質を考えるということは無形財の品質を考えることと同じことです.そのため,技術とは何か,知識とは何かを考える必要がありますが,ここでは知識について考察したいと思います.

野中郁次郎氏は「知識創造企業」という本の中で,「知」についてマイケル・ポランニーの「暗黙知(tacit knowledge)」と「形式知(explicit knowledge)」に分けて考えることを推奨しています.そして,日本企業の知識創造の特徴は暗黙知から形式知への変換にあると結論づけています.

形式知とは「文法にのっとった文章,数学的表現,技術仕様,マニュアル等に見られる形式言語によって表すことができる知識である.この種の知識は,形式化が可能で容易に伝達できる.」と説明されています.「形式的・論理的言語によって伝達できる知識である」とも説明しています.

暗黙知とは「人間一人ひとりの体験に根ざす個人的に知識であり,信念,ものの見方,価値システムといった無形の要素を含んでいる」と説明されています.「特定状況に関する個人的な知識であり,形式化したり他人に伝えたりするのが難しい」とも説明しています.この暗黙知が日本企業の競争力の源泉であり,西洋人にとって日本的経営が謎となった理由であろうと推測しています.

さらに,共同化(socialization),表出化(externalization),連結化(combination),内面化(internalization)の4つの知識変換モードによって知識が想像されるといっています.共同化は暗黙知から暗黙知への変換で,表出化は暗黙知から形式知への変換,連結化は形式知から形式知へ,内面化は形式知から暗黙知への変換です.

知識という無形財を伝達する場合,大学の先生が本に書いたものは形式知です.形式知は,その記述の仕方にも影響しますが,比較的しやすい方法です.しかし,暗黙知を伝達することが難しいのです.日本には「見習い」という言葉があり,「身体で覚えろ」と言われます.いわゆるカン・コツの類は暗黙知であり,形式的な言葉で説明できるものではありません.

しかし,暗黙知にのみをこだわるのではなく,形式知で説明できる部分を確実に整備しておくことが大切なのです.サービスのQFDで行われる要求品質展開表の作成や業務機能展開表の作成は,まさに形式知を形式知として整理する方法と考えられます.形式知の部分を整理して,そして暗黙知の部分をどのように伝えるのかを考えるべきだと思います.

 

3.サービスの特徴

サービスという言葉の本来の意味は「奉仕」です.しかし,サービス業におけるサービスは無形の財貨と考えることができます.サービスは「ただ」ではなく,価値を持っています.一般の言葉でサービスというと「ただ」というイメージがありますが,ここでは価値があり,顧客が対価を支払うサービスを考えます.

サービスはintangibleであるために,品質管理上,様々な問題が発生します.例えば,サービスという無形財は,「無形性」,「非貯蔵性」,「不可逆性」,「一過性」などの基本的な特性があります.無形であるがゆえに,データが取りにくいという側面が派生します.一過性であるがゆえに,同時・同一空間での提供が必要になります.不可逆性があるがゆえに,1つのことが失敗すると全ての評価がゼロになります.

「無形性」というのは文字通り形が無いという性質です.人間の行為として目に見えるサービスもあります.「ベッド・メーキング」という行為の結果を目で見ることはできますが,ベッド・メーキングというサービス行為は,通常顧客の目に触れられることはありません.

「非貯蔵性」というのは貯蔵ができないという性質です.ベッド・メーキングも終わり,清掃作業も終わり,顧客を迎える状態になっているホテルの部屋を考えてください.その部屋は顧客に使用されて,始めて商品となり,価値を産み出します.1998年3月10日に準備された部屋が当日販売できなかった場合に,翌日の1998年3月11日に販売することはできますが,1998年3月10日の部屋を貯蔵しておいて販売することはできません.

有形財であれば365個作って,それを売れるまで貯蔵することが可能です.今日売れなかった製品は,明日も販売が可能です.しかし,1室しか保有していないホテルは1年間に365の部屋を売ることが可能ですが,貯蔵できないために,1日売り損ねたら,その日の空室は後になって売ることができないのです.演奏会のチケットも,航空会社の座席も同じです.機会損失を覚悟しなければならないのです.

「不可逆性」というのは元に戻すことができないという性質です.サーカスや演奏会を考えてください.サーカスの空中ぶらんこ,息を呑んで観客は見守っています.失敗した時にやり直すことはできません.演奏会の演奏で,一箇所間違えたからといって,もう一度始めからというわけにはいきません.床屋さんにいって,髪の毛を切りすぎたからといってもとの長さに戻すことはできません.サービスは元には戻すことができないという性質があります.

「一過性」というのは時系列で一方向に過ぎていってしまう性質です.「不可逆性」という性質と非常に近寄っていますが,時が過ぎてしまえば過去に戻って売れないということです.「非貯蔵性」とも関連しますが,一過性であるがゆえに貯蔵ができないのです.まさに「真実の瞬間(moment of truth)」なのです.

以上の特徴から,サービス業ではサービス提供以前における準備が大切です.従業員訓練もそうですが,サービす提供現場に出る前の準備が重要です.ある航空会社では,準備室に大きな鏡を設置して,お客様の所に出る直前に服装がチェックできるようにしているそうです.お客様の前に出てからでは遅いのです.

 

4.サービス業の分類

業種の分類については様々な見解がありますが,第1次産業と第2次産業以外の産業をサービス産業とする考え方が一般的のようです.第1次産業とは,鉱業,農業,漁業など,自然界から得たモノを提供する産業です.第2次産業とは,製造業,建設業など,自然界から得たモノに加工を加えて提供する産業です.

サービス産業は第1次産業と第2次産業以外の産業であるために,その範囲は多岐に渡っています.また,サービス産業は基本産業の副次的な産業と考えることもでき,サービスが新たなサービスを産み出しています.

例えば,ホテルは元来,旅行客が身体を休めるために発生したサービス業です.ホテルというサービス業が存在するために,ベッド・メーキングを専門にする職業が生まれました.さらに,ベッドのシーツを専門に洗濯する職業が生まれました.このようにサービスは新たなサービスを産み出します.

 

5.サービスの分類

サービス業が提供するサービスは次の15カテゴリーに分類できます.

1)専門技術の提供 2)専門知識の提供

3)労働力の提供 4)物の提供

5)情報の提供 6)場所の提供

7)信用の提供 8)娯楽の提供

9)安全の提供 10)精神的・心理的満足感の提供

11)便益の提供 12)健康・美・清潔の提供

13)物の移動 14)人の移動

15)時間の短縮

これらのサービスは全て無形であり,サービス業が提供する財貨と考えられます.これらのサービスが単独で提供される場合もありますが,通常は2つ以上が組み合わされて提供されます.

サービスの提供からサービスを分類すると,人対機械サービス,機械対人サービス,人対人サービスに分けられます.人対機械サービスとは,人が機械に対してサービスを提供することで設備保守サービスなとがあります.機械対人サービスは機械が人にサービスを提供することで遊園地の乗り物などがあります.自動販売機,キャッシュ・デスペンサーなども機械対人サービスの代表です.人対人サービスは人が人に対してサービスを提供するのですが,「真実の瞬間」がもっとも問題とされるサービスです.

 

6.サービスの品質

有形財である製品も無形財であるサービスも,提供されるモノの基本は機能です.有形財も無形財も機能を考えることによって,その提供財がどのようなモノであるかが明らかになります.提供財の機能が明らかになれば,その機能の達成レベルによって品質が明らかになります.

例えば,「情報を処理する」という機能を考えたとき,どのような情報をどのように提供するのかを考えると品質が明確になります.「正確な情報を処理する」ということを考えると情報の正確性が品質となります.同様に,「情報を迅速に処理すする」ということを考えると処理の迅速性が品質となります.このことから明らかなように,機能表現の名詞を修飾する言葉,動詞を修飾する言葉を考えると品質が明確になります.

この分析には「期待・ニーズ分解シート」が用いられます.「期待・ニーズ分解シート」では,シートの中央に機能を表現する欄があり,ここには機能表現の対象を名詞で記入し,作用を動詞で記入します.そして,中央の機能表現部分から下には機能表現の名詞部分と動詞部分をそれぞれ具体化したものを記述します.

例えば,「情報を提供する」という機能表現が中央に記述されていたとします.すると,「情報」という名詞で示された言葉は抽象のレベルが高いので,具体的に「数値」「音」「香り」「動画」「言語」などの名詞を記述します.同様に,「提供する」という動詞で示された言葉は抽象のレベルが高いので,具体的に「伝達する」「記録する「「転送する」などの動詞を記述します.

中央の機能表現部分から上には機能表現の名詞部分とどうし部分のそれぞれを修飾する言葉を記述します.「情報」という名詞を修飾する言葉として「正確な」「最新の」「タイムリーな」などの言葉が考えられ,「正確な情報」「最新の情報」「タイムリーな情報」など,情報がどのような情報であることが必要かが具体的になります.「処理する」という動詞についても修飾する言葉として「迅速に」「正確に」「瞬時に」などが考えられ,「迅速に処理する」「正確に処理する」「瞬時に処理する」など,どのように処理すべきかが具体的になります.

これらの修飾語を抽出する際に,名詞部分と動詞部分を具体化した「数値」「音」「動画」などの名詞や「伝達する」「記録する「「転送する」などの動詞にも着目すると多くの修飾語が考えられます.そして,抽出された修飾語が,企業が保証すべき品質であり,管理すべき品質なのです.

企業は,情報を処理する際に情報の「正確性」「最新性」「適時性」を保証すべきですし,処理の「迅速性」「正確性」「瞬時性」を保証すべきなのです.

この考え方はサービスという無形財のみならず,有形財である製品についても同様のことが言えます.有形・無形を問わず提供財は必ず機能を持っているはずですから,対象とする有形財の機能を考え,「期待・ニーズ分解シート」を用いて分析すれば,対象品の品質が明確になります.

 

7.サービスの品質と業務

サービス企業において品質管理を始めるには,当該企業が提供するサービスと,サービスの品質は何かを,まず明確にすることが必要です.提供するサービスは何かを明確にするには,提供すべき機能を明らかにすることです.適切な機能表現を見つけることによって提供するサービスが明らかになります.

そして,提供するサービスの品質を明らかにするためには,「期待・ニーズ分解シート」を活用して,機能表現の名詞部分と動詞部分を修飾する言葉を明らかにすることです.これらの修飾語が明らかになれば,サービスの品質が明らかになり,管理すべき品質特性が明確になります.

しかし,管理すべき重要な品質特性が定まっても,サービス企業の場合には提供現場での同時・同一空間でサービス提供が行われます.そのため,その品質特性がどの業務と関連しているのかを明確にしておく必要があります.何故かというと,有形財である製品の場合は,顧客に提供する機能を物に体化して提供するのですが,サービスという無形財の場合は,提供する機能を人が行動することによって提供することが多いからです.

そこで,サービス産業においては,業務の機能の展開である業務展開表を作成し,品質要素展開表とのマトリックスをとることによって,品質特性と業務との関連を明らかにすることが行われています.

業務機能は,日常の業務を洗い出し,その機能は何であるかという観点から抽出される場合と,サービス提供において保証すべき基本業務機能から展開して抽出していく場合があります.日常業務から業務機能を抽出した場合には,要求品質展開表の作成時と同様にKJ法的グルーピングを行って,業務展開表を作成することになります.

業務機能の表現は,機能であるため一般の機能表現と同様に名詞と動詞を用いて表現します.業務である以上,行動としてなすべき事柄は動詞で表現され,何に対してなされるかについては名詞で表現されます.業務機能を名詞と動詞で明確に表現することによって,業務を与えられた人間は自分が何をすべきかを明確に理解することができます.

展開された業務機能について,その機能を人が果たすべきか,機械などに体化して果たすべきかを検討することも大切です.「物の移動」というサービスの中に,郵便配達というサービスがあります.従来,「郵便物を配達する」という機能は人間が行っていました.古くは「飛脚」が走って配達していたのですが,鉄道が進んでからは遠くまで運ぶ途中まで電車が運び,個別配達を郵便屋さんが行っていました.

しかし,最近ではe-mailが登場し,郵便物を瞬時に配達してくれます.さらに,内容を検索して個人郵便の仕分けまでしてくれるようになっています.抽出された業務機能を本当に人間が行わなければならないのか,機械に代替できないかを考察することは非常に大切なことです.「郵便物を瞬時に配達する」という機能と品質を,人間が実現することは難しいということが理解して頂けると思います.

それでも,人間が提供した方が良いと考えられる機能,現状では人間でなければできない業務機能があります.コストの面から人間の行動で提供した方が好ましい機能もあります.これらの機能については,その品質を考えることが必要です.現在顧客が求めているものが,機能からその品質に移っているからです.

有形財である「時計」の価値について調査したことがありますが,時計の機能である「時刻を表示する」という機能に対して,顧客は30円ほどの価値しか認めていません.時計が「時刻を表示する」ことは当たり前で,「正確な時刻を正確に表示する」という「正確性」に価値を求めているのです.

サービスについても,「期待・ニーズ分解シート」を用いて,業務機能から品質を考え,抽出された品質を保証し管理することが必要です.

 

8.サービスの品質特性

サービス企業において品質管理を実施する場合においても,管理特性としての品質特性を明確にすることは必要なことです.このサービスの品質特性は,サービスの品質が明らかになれば簡単に抽出できます.サービスを明らかにし,その機能を考え,「期待ニーズ・分解シート」を用いて品質を明らかにするのです.そうすれば,品質特性は簡単に抽出できます.

それでも,サービス業の場合には品質の測定が困難であるということがよくいわれ,品質特性の抽出が難しいと言われています.そこで,品質特性となりそうな言葉をみつけて品質要素として抽出することが行われます.しかしながら,実際にサービス企業において品質展開を実施し,関係者に集まってもらって品質要素を抽出すると,かなり品質特性が抽出できることも事実です.

品質特性と言う言葉と品質要素という言葉の違いですが,品質特性はその測定方法や単位などが明確になった状態を指す言葉で,品質要素は品質特性になりそうな言葉の状態の時を指す言葉です.例えば,接客サービスでは笑顔で接することが大切だということで,笑顔で接しているかどうかを測る特性を考えなくてはいけません.そこで,「笑顔度」とか「ニコニコ度」など品質特性になりそうな言葉を探して,これを品質要素とします.

しかし,「笑顔度」「ニコニコ度」といっても,実際にどのように測定し,単位は何であるのかが明確ではありません.そこで,IEの稼働分析のWS(瞬間観測法)を用いて,観測者がサービス提供現場を調査し,接客時に笑顔で接客していたか,笑顔でなかったかを瞬間観測すると,笑顔であった時の観測回数がサンプリングによって求められます.すると,この「笑顔率」は品質特性となり,測定方法も明らかで単位は(%)となります.

サービスの特殊性が強調されて,サービスの品質は測定しにくいといわれますが,実際のサービス業では測定している品質特性も多く実在し,品質要素のレベルで抽出したものであっても,話あっていくうちに測定する方法や測定可能な品質特性が抽出されます.大切なことは,品質特性や品質要素という言葉にとらわれず,品質要素でも品質特性でも書き出してみるという作業が必要です.

事実,実際にサービス企業で収集しているデータはどのようなものがあるかを挙げてもらうと品質特性が多数抽出されます.サービス提供現場に近い人に集まってもらうと,かなり具体的な品質特性が抽出できるものです.これら両面から品質特性を抽出して品質要素展開表を作成すると,要求品質の抜け落ちもチェックできます.これは,品質要素から逆に要求品質を考えるという作業によって,要求品質の漏れをチェックするのです.

 

9.サービスのQFD

企業が顧客に提供するサービスに対する確実な品質の保証と新製品開発期間の短縮化という厳しい要求に対して,品質展開はこの両者を実現する設計的アプローチとして様々な企業に適用されています.

要求品質展開表とは,顧客の要求する品質を抽象のレベルで階層構造化し,系統的に展開した表です.この要求品質展開表を用いて新サービスの開発が可能となります.サービス産業において,何故品質展開が有用であるのかというと,「サービスは無形であるために測定が困難である」とか,「サービスの善し悪しをどのように評価すればよいのか分からない」という問題に答えるからです.

サービスという無形財は,「非貯蔵性」,「無形性」,「不可逆性」,「一過性」などの特性によってデータが取りにくいという側面をもっています.しかし,品質展開を実施することによって,どのような特性を収集すべきか,どの業務によって実現すべきかが明らかになります.このためには,狭義の品質機能展開である業務機能の展開が重要となります.

業務機能の展開とは,サービス企業が顧客に提供するサービス業務について機能表現を用いて表現し,この業務の階層構造を構築して展開表の形に整理することです.簡単にいうと,サービス現場で提供される仕事の機能を明確にして一覧表にすることです.

これらの業務は顧客の要求に合致するように実施されなければなりません.そこで,顧客の要求と業務の関係を把握することが必要になりますが,顧客の要求に合致しているのかどうかを測定する尺度が必要になります.この尺度を品質特性とか品質要素と呼んでいます.この品質特性と業務の関係を把握し,かつ品質特性と顧客の要求の関係を把握しておけば,顧客の要求に合致した業務を明確にすることができます.さらに,顧客の要求する品質を保証することも可能になります.

そこで,サービスのQFDでは,顧客の要求する品質を展開した要求品質展開表と品質特性展開表の二元表を作成し,さらに,品質特性展開表と業務機能展開表の二元表を作成します.要求品質展開表と品質特性展開表の二元表は一般的に品質表といわれています.この品質表を用いて,顧客の要求に対して企画品質を設定し,この企画品質を実現する際に重要な品質特性を明らかにします.

さらに,重要な品質特性に強く関連する業務機能を抽出するために,品質特性展開表と業務機能展開表の二元表を用います.この二元表から抽出された重要業務について,業務マニュアルを整備し,業務マニュアル通りにサービスを提供することになります.

この一連の流れを展開表とマトリックスを用いて進めていく考え方がサービスのQFDです.

 

10.サービスの品質保証

サービス業における管理活動の中で,重要な管理活動は品質管理ですが,この品質管理活動の目的は品質保証です.品質管理という活動によって達成されるものは,提供するサービスの品質の保証です.サービスの品質を保証するといことは,顧客の要求に合致するサービスを提供するということです.

顧客の要求は様々な形で社内に持ち込まれますが,意見やクレーム,評価,要望など内容も様々です.そのため,顧客から収集された要求を原始データとし,この原始データを具体的な行動に繋げることができるように分類・整理する必要があります.また,要求は品質に関連する事柄もありますが,価格に関する要求や機能に関する要求も混在していますので,このことについても分類・整理する必要があります.

このために,サービスにおける品質機能展開の実施が必要になります.市場の要求をサービス提供側で管理できる特性に変換し,品質表を作成して市場の世界を企業側の世界に変換するのです.これらの品質特性の中からとくに重要な品質特性を選んで重点指向をして管理特性を抽出していくという考え方です.

サービス企業では,サービスの生産と提供が同時・同一空間で行われるため,実際にサービスを提供する業務との関わりが大切になります.そのために,業務展開表を作成し,品質要素展開表と業務展開表とのマトリックスから重要業務を抽出することによって,重点業務をみいだすことになります.これら一連の過程を踏むことによって,顧客の要求を満足させる品質保証が実現されます.

 

この豆知識は他に【豆知識(Part1:QCの基本編)】【豆知識(Part2:QFD編)】【豆知識(Part4:新製品開発編)】などがあります.