【12月のトピック:Rdb−QFD】

98年12月のトピックは,「Rdb−QFD」を取り上げました.このトピックは今年の6月から毎月18日までにアップしてきましたが,今回のトピックはクリスマス・イブのアップとなり,今年の最後のトピックです.今年の8月のトピックで多少書いたことですが,今年一年の締めくくりとして,21世紀へ向けた私の一つの提言でもあります.いつも記述していることですが,このトピックは毎月アップデイトしていく予定です.取り上げて欲しいテーマがありましたら,遠慮なくお申し出でください.また,過去のトピックを読みたい方は,文末の一覧から選択して読むことができます.

 

1.Rdb−QFDとは

営業が顧客の情報を収集して開発・設計に伝達し,設計が設計した図面を元に試作し,試作結果を確認して生産準備をするというような製造プロセスは時代遅れになっています.今は確実な製品が生産できる設計をする時代になっています.設計段階で品質保証を終える時代です.このための具体的な方法論としてのRdb−QFDを紹介します.

Rdbとはリアルタイム・データベースの略称です.RdbとはJITのように,必要な情報を必要な時に提供できるデータベースのことです.リアルタイム処理でなければデータベースとは呼べないのです.QFDとは品質機能展開の略称で,QFDとは提供財の品質ネットワークと提供財の品質を確保するための業務のネットワークとの総称です.

QFDにおける提供財のネットワークとは,顧客の要求から始まり,技術特性へ変換し,具体的な部品の製造工程までを一貫した情報の網のことです.QFDにおける品質を確保するための業務のネットワークとは,人間が業務として行っている作業を機能表現を用いて具体的なレベルまで記述することです.

以上のことから,Rdb−QFDとはリアルタイム・データベースを用いた品質機能展開のこととなります.このデータベースはQFDの実施によって得られた情報のデータベースです.

Rdb−QFDの実施によるメリットとしては,コンカレント開発を可能にします.そして,設計段階での品質保証を可能にし,開発期間が短縮されるます.顧客の要求に即答できる体制が整備されますし,棚卸し作業が不要になります.

なぜRdb−QFDが必要かというと,設計した後,設計審査をし,技術検討した後に製造する時代は終わったからです.物を製造してから検査して品質を保証する時代から,製造工程で品質を保証する時代に移行しているのです.物を製造してから検査するのでは,不良品を作ることになってしまいます.また,検査をするということは,不良品を作るということが前提になっているのです.その結果として,製造工程で品質を保証する時代から,設計段階で品質を保証する時代に変わったのです.それもリアルタイムに.

 

2.設計段階での品質保証

製造段階で不良品ができないような設計をすることが必要になりました.ICなどは製造工数より検査工数の方が時間を必要とします.海底ケーブルなどは製造した後検査することが不可能です.製造した後に検査することが不可能な場合もありますし,工数がかかりすぎる場合もあります.製造過程で品質を保証してしまう方が高効率なのです.

更に良いのは,設計段階で品質を保証することです.製品の品質の多くが設計時に作り込まれることは誰でも理解できます.しかし,設計段階で品質を保証するといわれていても,設計審査などが行われているのが現状です.設計審査は必要なのでしょうか.

設計審査とは,「製品の設計品質およびそれを具現するために計画された製造・輸送・据付・使用・保全などのプロセスについて,客観的に知識を集めて評価し,改善点を提案し,つぎの段階に進みうる状態にあることを確認する組織的活動の体系」といわれています.設計審査は,提供する財貨を生産する過程に関門をもうけて,確実に生産を進めるために考えられた方法と思われます.設計審査は,1960年代アメリカがアポロ計画の推進に当たって適用し,有効性を発揮した方法です.

ですが,設計審査は本当に必要なのでしょうか.設計審査をするということは,設計に不備があるということが前提です.設計に不備がなければ,設計が終了した時点で製造に移行できるはずです.不具合をなおす設計変更は撲滅すべきではないでしょうか.そこで,設計審査なども無くして,確実に品質保証できる仕組みが必要となります.Rdb−QFDは,設計段階から品質を保証するための具体的な方法です.

 

3.一括処理とリアルタイム処理

データ処理には,一括処理とリアルタイム処理があります.一括処理は,仕事を貯めておいて一括で処理するやり方です.リアルタイム処理は,仕事の発生毎に処理するやり方です.一括処理は,人間が効率よく仕事を進めるための処理方法と考えられますが,一括処理では仕事の進捗が遅くなります.

ではどのようにすればよいのでしょうか.仕事を貯めて処理するのではなく,リアルタイムに処理することが必要てす.資材部門では,リアルタイムに在庫量が把握されていなければなりません.なぜかというと,棚卸しの時だけしか在庫が正確に把握できないというのは資材部の職務怠慢と考えられるからです.

営業部門では,顧客の要求をリアルタイムに収集していなければなりません.なぜかというと,顧客の要求に即答できる体制を整備しておくことが必要だからです.製造部門では,製造工程の工程能力をリアルタイムに把握していなければなりません.なぜかというと,設計部門が次期製品の設計をする際に,現場の状況がわからなければ設計することができないはずだからです.技術部門では,最新技術情報をリアルタイムに把握していなければなりません.なぜかというと,製造部門へのサポート,設計部門へのサポートができなければならないからです.

では,リアルタイム処理は可能なのでしょうか.コンピュータ関連の急激な進歩によって,低価格で多量の情報を迅速に処理できるようになったことにより可能と考えられるのです.ワードプロセッサーを考えてみましょう.従来の書類作成では,書類をタイプライターで作成していました.この当時の入力文字訂正作業はたいへんでした.電動タイプライターができて,文字訂正作業が大幅に軽減されました.その後,スペル・チェッカーができ,文字の入力後に入力した文字を自動でチェックしてくれるようになりました.そして,現在では文字を入力した時点でスペルをチェックしてくれるようになっていますし,正しいスペルに自動的に訂正してくれるようになっています.

設計業務に関しても同様な考え方が適用できると思います.設計図に設計値を入力した時点で,その設計値で製造可能かを判断できるようになります.更に,設計変更においても,その設計変更によるメリット・デメリットが設計段階で検討できるようになります.設計図面が完成した後に,図面の検討をするというバッチ処理ではなく,設計図を作成する時点で検討するというリアルタイム処理が必要ですし,リアルタイム処理が可能な時代になっているのです.

 

4.製品のライフサイクルと需要予測

製品にはライフサイクルがあります.製品のライフサイクルとは,

1)導入期:製品を市場に投入し,製品が市場に出回り始める時期,

2)成長期:製品の知名度が増大し,製品が市場に出回る時期,

3)飽和期:製品を必要とする人達の多くが製品を手にする時期,

4)衰退期:製品を多くの人が手に入れ終わる時期,

の期間を経て,製品が市場での寿命を終えるという考え方です.この製品ライフサイクルがあるために,市場に常に新しい製品を投入する必要があるのです.

しかし,ある製品がライフサイクルの寿命に来ていることを予測することは可能でしょうか.未来を予測することはできませんから,需要を予測することはできないのです.とはいえ,未来の予測は,近過去から近未来を予測する程度なら可能なのです.今の体重から,明日の体重を予測すれば,まず間違えることはないのです.そこで,実験計画法におけるEVOPと同様の考え方を適用することができるのです.

現状から少し離れた点を予測する程度であれば,予測が大幅に外れることはありません.ただし,近過去から近未来を予測するには,リアルタイムにデータが更新される必要があります.今の状況が瞬時に必要なときに得られるから予測ができるのであって,今の状況についてのデータを,これから取るのでは予測することはできません.そのために日常管理が重要になるのです.

日常管理によって日常のデータが蓄積されていれば,変化点をすぐに発見できます.日常のデータがあれば,どこに問題があり,未来を予測するための情報として,どの管理データに信頼性があり,どの管理データに信頼性がないかもリアルタイムに把握できます.信頼性のあるデータを用いれば,重要予測の精度を向上することができます.

品質管理上のデータのみでなく,経営管理上のデータも日常蓄積しておくことが必要です.現状を正しく理解しておくことが,正しい意思決定につながり,将来に対して正しく判断することを可能にするのです.正しいデータがコンピュータに蓄積されていれば,コンピュータが多くのデータを自動的に解析して,正しい将来予測をデータから実施してくれます.ただし,解析のソフトと正確な情報(データ)入力は必要です.

 

5.品質とばらつき

品質がよいということは「ばらつき」がないことです.ですから,ばらつきをゼロにすることが品質管理の目的です.品質管理で対象とする品質は2つあります.一つは設計品質でねらいの品質ともいわれています.もう一つは適合品質で製造品質,出来栄えの品質ともいわれています.

 そして,従来の品質管理の対象は適合品質が中心でした.しかし適合品質が向上しても設計品質が悪ければ製品は商品になりません.そこで品質を向上するために,ばらつきを発生させる原因を追求することが必要となります.ばらつきを発生させる原因としては,原材料,製造工程,設備,作業者,作業環境などが考えられます.

これらが一定であれば,ばらつきは起こらないと考えられるのです.しかし,ロット内変動とロット間変動の違いを認識することも必要です,ロット内変動というのは,納入ロットの中における品質特性のばらつきのことで,ロット間変動というのは,納入ロット間に存在する品質特性のばらつきのことです.ばらつきを発生させる原因を追求し,対策を実施するアプローチは解析的アプローチと呼ばれています.そして解析的アプローチに有効な方法として特性要因図があります.

適合品質が向上しても設計品質がよくなければ,製品は売れません.日本では解析アプローチの繰り返しによって,品質確保を実現しました.その結果,気づいたことは設計品質の大切さであり,設計的アプローチが大切だということです.この設計的アプローチというのはあるべき姿を描いて,あるべき姿に到達するために,何をなすべきかを考えるやり方です.そして設計的アプローチの典型的方法として品質機能展開(QFD)があります.

企業は顧客の満足を得ることが重要ですから,顧客の要求把握からスタートし,この顧客要求を実現するための具体的方法が品質機能展開です.品質機能展開は,品質展開と狭義の品質機能展開の総称ですが,狭義の品質機能展開が今後重要な役割を果たします.製品のばらつきを起こす原因のうち,最終的に問題となるのは人の介在であり,人の問題を早期に解決しておくことが必要です.

人が原因によるばらつきをなくすために,人が何をしているのかを明確に記述することが必要になります.人のしていることを業務機能として展開することが狭義の品質機能展開です.そして,人が行う業務の80%はルーチン・ワークです.このルーチン・ワークはコンピュータによるソフト化が可能であり,コンピュータの指示に従って行動することによって,ばらつきを無くすことができます.

コンピュータが人に指示を出すためには,コンピュータに情報を入力しておく必要があり,必要な情報をリアルタイムに引き出せる状況にしておくことが必要です.このコンピュータに蓄積された情報から,変化点を管理することによって,ばらつきの発生を防止するのです.製造工程内では,変化の過程をリアルタイムにバーコードを用いて情報伝達を行います.

 

6.変化点管理

全ての関連事項に変化がなければ,製品品質のばらつきは発生しないはずです.例えば原材料のばらつきがゼロ,作業環境のばらつきもゼロ,機械は一台の機械しか使用せず供給電力も高度に安定しているなど,全ての生産に影響を及ぼすと考えられる要因のばらつきがゼロであれば,結果としての製品品質のばらつきもゼロになるはずです.製品に影響する何らかの要因がばらつくから,結果としての製品品質もばらつくのです.製品品質に影響するほどの変化が事前にわかっていれば,製品品質のばらつきをゼロにおさえることが可能になります.

そのためには,製品品質に影響を及ぼす変化の時点(ポイント)をリアルタイムに察知して,アクションをとることが必要となります.しかし,製品品質に影響すると考えられる全ての要因を人間が管理することは不可能です.従来の品質管理では,重点指向して重要管理項目を人間が管理しました.製造プロセスからデータを収集し,管理図等に打点することによって変化点を管理していました.

しかし,重要な管理項目のみの管理では,不良率の単位はパーセント(%)までが限界と思います.製造現場の不良率がパーセントのオーダーであれば,市場での不良発生は当然の結果となります.そこで,原材料のロットが何時変わったか,製造条件で設定された条件が何時変更してしまったか等の情報がリアルタイムに把握できれば,対処することが可能であり,不良率もPPMのオーダーにすることが可能です.

では,どのように変化点を管理するのでしょうか.製造ロットの異なる材料が現場に運搬された時点で,今までと製造ロットの異なる材料であるという情報を製造現場に伝達することが必要です.製造条件が変更された時点で,今までと製造条件が変わったという情報を製造現場がリアルタイムに認識できる仕組みが必要です.製造ロットの異なる供給部品が搬入された時も,今までと異なるロットの供給部品であるという情報が製造時点で現場が認識できる仕組みが必要です.

しかしこれらの情報を人間が伝達していたのでは,生産スピードに追いつきません.そこで様々な変化情報をリアルタイムにコンピュータに入力し,リアルタイムにコンピュータから情報を出力して現場に伝達する仕組みを確立することが必要となります.このために,製造現場ではバーコードを活用した情報管理が必要になります.バーコードは読み取りの正確性,記録できる情報量などの面で最適な情報伝達媒体と考えられます.

 

7.バーコードによる情報管理

小売店の店頭ではPOSシステムを導入して販売時点での情報管理を行っています.POSシステムとはPoint of Saleシステムのことで,キーイン方式のレジスターではなく,自動読み取り方式のレジスターによって情報を処理する仕組みのことです.販売時点で収集された情報は,単に金銭授受業務の合理化だけではなく,仕入れ,配送の活動に利用されています.POSシステムでは店頭商品に貼り付けられているバーコード・シンボルが用いられていますが,このバーコードが工場内の情報管理に活用されています.工場内で採用されるバーコード・システムでは社内ネットワークを構築し,データベースと連動するバーコード・システムを作り,バーコードの手動読み取り,自動読み取りを各所で行うことがなされています.

バーコードによる情報管理は,商品管理だけではなく,顧客管理,従業員管理,在庫管理,品質管理などにも拡大利用されています.POSシステムが導入されている店の商品には,バーコードが印刷されているか,貼り付けられています.商品が購入されると,レジ係りがバーコードをPOSターミナルのスキャナで読みとります.読み取られた商品の情報は,店に設置してあるストアコントローラと呼ばれるコンピュータに瞬時に伝達されます.

ストアコントローラには,商品に関する価格や商品名,商品区分などの情報が事前に入力されており,瞬時にレジ係りの手元のレシートが打ち出されるようになっています.同時に購入された商品に関する売上情報も,ストアコントローラに記録されており,販売数量や在庫量の情報が瞬時に更新されます.店内で収集された情報は本部や流通センターなどのコンピュータにオンラインで伝達されます.本部,流通センターなどでは,収集されたデータを基に在庫量の調整,商品の仕入れ,配送の管理,売れ筋商品の把握分析,消費者行動分析などに役立てています.

製品を生産するためには原材料や労働力が必要ですが,情報もなくてはならないものの一つです.生産に必要な情報は,図面に記述されたり,仕様書に記述されたり,作業指示書,作業標準書,製品規格,検査規格,作業伝票,QC工程表,治工具管理規定,QA表など様々なものに記述されています.作業者や現場の監督者は,これらの情報を頭と身体の中に知識や経験としてしまい込み,さらに現場の状況の変化を管理図などで把握しながら生産活動を日々続けているのが現状です.このような状況では,1000個に1つ,あるいは1万個に1つの不良品が出来ても当然と考えられます.

しかし,必要な情報が必要な時に,必要な量だけ入手することができれば,不要な情報を覚える必要がなくなります.そこで,人間が判断しなければならない時に,必要な情報を瞬時に提供する仕組みがあれば,人は楽に作業できるようになると考えられます.人の判断が必要かどうかを見極め,人の判断が必要な時に,その必要な情報を提示する仕組みとして,バーコードを用いた情報管理が利用されるのです.

実際にどのように使用されているのでしょうか.資材が工場に搬入される時点で,搬入される資材の情報が入力されたフロッピー・ディスクとともに,バーコードの付いたパレットに納入される仕組みができています.工場のあらゆる場所に設置されたスキャナによって,工場内を移動する資材,納入部品,仕掛品,製品は,その所在場所がコンピュータに瞬時に入力されます.

生産プロセスでは,どの資材を使用してできた仕掛品であるかの情報をバーコードに出力して仕掛品に添付し,出来上がった製品にもバーコードが貼り付けられます.これらの情報も瞬時に読み取られたバーコードからコンピュータに入力されますので,仕掛品,製品の履歴が瞬時に判読できます.

資材の消費スピード,仕掛品の生産スピード,製品の生産スピード,製品の在庫量なども瞬時に正確な情報が得られるのです.正確な在庫量,正確な消費スピードが得られ,そして搬入のリード・タイムも発注先別に予測できますので,無駄な発注がなくなります.コンピュータの前に立てば,必要なものが何処にあるのか瞬時に検索でき,探し回るという無駄な作業はなくなります.棚卸しの作業などもバーコードをスキャナで読み込むだけで済みますが,棚卸し作業自体が不要になります.

 

8.各部門の活動とRdb−QFD

Rdb−QFDはリアルタイム・データベースを用いた品質機能展開ですが,構築したデータベースは様々な部門の活動を支援します.一方で様々な部門からの正しい情報(データ)入力を必要とします.営業部門が収集した情報,設計部門の意図する情報,生産部門の活動情報,資材・購買部門の情報などが必要です.これらの各部門の情報が一元化されていることが必要であり,部門単位で保有されているデータがリンクされなければ,データベースとは呼べません.

8.1 営業活動とRdb―QFD

営業が注文を取ったら,取った時点で要求情報が更新され,企画品質設定表に情報が入力されることが必要です(POSのように).受注時点でMRPを活用して材料の所要量を算出し,JITで材料の発注をかけることができます.営業の情報は要求品質展開表に蓄積され,企画品質設定表の情報がリアルタイムで更新されていくため,市場の変化がリアルタイムに把握できます.

この情報を活用すれば,市場のトレンドを予測することが可能ですが,このシステムにはエキスパート・システムを活用する必要があります.営業は加工・変換した情報を社内に持ち込むのではなく,データ(顧客の生の声)を社内に報告することが大切です.社内に持ち込まれた生の声はエキスパート・システムによって分析され,社内の開発や設計,製造などにリアルタイムに伝達されます.営業としても生産状況や在庫状況などがリアルタイムに入手できますので,営業活動の武器となります.

8.2 設計活動とRdb―QFD

CADで設計図面を書いたとき,ワードで文章を作成すると自動的にスペルチェックがかかるように,製造現場の工程能力から,その設計で生産が可能であるのかをチェックできるようになります.例えば,CADを用いて設計図面を作成している時点で,寸法公差が現状の製造現場のどの機械を用いて製造すれば製造が可能かをリアルタイムにチェックできます.

デザイン・レビューはリアルタイムに実施されます.品質上の問題,コスト上の問題,技術上の問題,信頼性上の問題などについてリアルタイムに検討されるようになります.過去のクレーム情報や不具合発生情報もデータ・ベースに記録されているため,設計段階でリアルタイムにデザイン・レビューが行われます.現状の生産現場の情報もリアルタイムに入手できるため,生産現場が生産し易い設計をすることが可能となります.

設計変更が必要になった時,その設計変更が何時から可能であるのかもリアタイムに把握できるようになります.変更が必要な部品の在庫がどれだけ残っているのか,発注停止を何時行えるかなどの情報もリアルタイムに入手できます.設計変更に関係する製品が,その時点で製造現場で生産されていれば,リアルタイムにアラームで報せ,生産を続けるべきかの判断が迅速に行えるようになります.

8.3 生産活動とRdb―QFD

データ・ベースへの情報入力は人手によらずに,センサーと自動計測器を用いて入力されます.生産現場に問題が発生すれば,リアルタイムで作業者にポケベルかアラームでコンピュータから警告されます.自動計測によって産出物の状況が計測されていますので,リアルタイムに製造工程の状況を把握することができます.

異常の予測もソフト化によって可能であり,警戒限界を持った管理図が自動的に作成されていると考えての管理が可能となります.資材のロットがどの時点から変わるかについのて情報がリアルタイムに製造現場に伝達されますから,変化点管理が容易になります.生産過程での変化情報については,バーコード・システムを用いてリアルタイムにコンピュータに入力されます.設計変更の必要が生じた場合の生産ストップの指示等が,迅速にコンピュータで管理されます.

8.4 購買活動とRdb―QFD

資材,購入部品,仕掛品,製品などの正確な在庫量がコンピュータの前に行けば瞬時に把握できるようになります.どの資材・購入部品がどのようなスピードで消費されているのかをコンピュータが自動的に計算し,割り出された発注先のリード・タイムを考慮して,発注すべき資材・購入部品を自動的に表示してくれます.

発注担当者は,コンピュータが指示した資材や購入部品を本当に発注すべきかの判断だけをすればよいことになります.設計変更が必要となったことで,生産停止が予想される製品に関連する資材や購入部品に対しては,警告の形での発注がコンピュータから指示されます.類似もしくは共通資材に関しては,素材展開表の情報を活用して,最適な発注計画がコンピュータより得られます.

資材・購買担当者は棚卸しをしなくても,何時の時点でも正確な在庫状況を報告でき,コンピュータ内情報と実在庫情報が一致している状態になります.設計変更が生じた時点で,死蔵在庫の見積や,発注停止の処置が瞬時に行えます.営業情報からの需要予測の結果を考慮し,死蔵在庫をミニマムにする発注を行うことができるようになります.

 

9.Rdb−QFDの進め方

Rdb−QFDは全社的な仕組みであり,一部の部門で実施するものではありませんから,取組に際しては全社レベルでの合意を得ておくことが必要であり,長期的な構想計画と関連して導入すべきです.とはいっても,一番問題が大きい部門から実施し他部門へ広げるか,必要性を十分認識している部門から導入し,他部門へ広げることも考えられます.

例えば,生産部門で導入し,購買部門,設計部門,営業部門へと拡張するのが一般的です.また,コンピュータを導入し,一部門でのデータが蓄積されている場合には,ネット・ワーク化を考察することで,Rdb−QFDとリンクすることも考えられます.

Rdb−QFDは以下の11のステップを踏んで実施されると考えられますが,以下のステップ以外の考え方もあります.

Step1.狭義の品質機能展開の実施(業務機能の分析).

Step2.ルーチンワーク業務の特定.

Step3.ルーチンワーク業務のソフト化.

Step4.製造工程の詳細工程分析表の作成.

Step5.必要な展開表の検討.

Step6.必要な展開表の作成.

Step7.必要なハードウエアの検討.

Step8.必要なハードウエアの整備.

Step9.ソフトウエアの整備.

Step10.データベースの構築.

Step11.データベース活用による運用.

Rdb−QFDを実施すると,日常の管理項目が整備され,企業で実施している日常管理が推進され, 方針管理への移行が迅速に行えるようになります.そして,TQCに関する知識や経験も共有化され,生産活動の全体像が描けるようになり,事前に問題点の発見できるようになります.

また,社内に散財している生産活動に必要なIE関連の知識である工程分析や作業分析,ABC分析,運搬分析,MRP,JITなどの方法論が社内で体系化され,実務経験の共有化ができるようになります.さらに,一般的なQFDで作成される要求品質展開表や品質特性展開表,品質表などが必然的に構築されます.

先進的なQFDに関連して,製品の機能展開表や素材展開表,工法展開表,技術展開表,シーズ展開表などが自ずと整備されていきます.市場クレームや工場内不良が無くなることはいうまでもありませんが,本来人間が実施すべき判断業務に十分時間をかけられるようになります.

 

【過去のトピック一覧】

1998年6月のトピック:暗黙知と形式知

1998年7月のトピック:Total Quality

1998年8月のトピック:変化の時代

1998年9月のトピック:やさしいQFDの進め方

1998年10月のトピック:Market-in と Product-out

1998年11月のトピック:新しいTQM