【3月のトピック:21世紀の予言】
99年3月のトピックは,「21世紀の予言」を取り上げました.このトピックは毎月アップデイトしていく予定です.取り上げて欲しいテーマがありましたら,遠慮なくお申し出でください.また,過去のトピックを読みたい方は,文末の一覧から選択して読むことができます.
1.プロローグ
伝統あるイギリスの貨幣単位であるポンド(pound)が消え,ユーロに変わるそうです.米国のドルが今の地位を得る以前は,国際通貨として確固たる地位を占めていたポンドです.ポンドは重さの単位であり,1ポンドは約453.6グラムです.銀の重さがそのまま貨幣の単位として使われていたのです.
日本においても江戸時代には金・銀・銭の3貨が流通していました.金貨の単位は両・分・朱があり,4進法を採用していたので1両は4分で,16朱でした.銀貨は銀の重さが金額の単位で丁銀が30〜40匁,豆板銀は5匁(17g前後)でした.銭貨は銅銭で,1文で通用していました.この交換率は変動していましたが,文政年間では金1両が銀65匁で,銭6000文が普通でした.
この江戸時代は西暦では1600年頃で,1603年(慶長8年)に徳川家康が征夷大将軍になっています.この後約100年後の1702年(元禄15年)に赤穂浪士が吉良義央を討っています.そして,この約100年後の1804年(文化1年)にレザノフが長崎に来航しています.さらに,この約100年後の1902年(明治35年)には日英同盟が締結されています.
この日英同盟に関係して,2年後の1904年に日露戦争が起こるのですが,日本の国会ができたのは1890年(明治23年)で,日本に鉄道が敷かれたのは1871年(明治4年)のことです.1868年が明治元年で,前の年の1867年に大政奉還がなされています.このような時代を背景にして,1901年に今月のトピックである「20世紀の予言」が新聞に掲載されたのです.21世紀が始まる2001年まで,後2年弱ありますが,2001年に21世紀をどの程度予言できるのでしょうか.予言というよりも,ありたい姿を表すことが必要なのかもしれません.
2.20世紀の予言
ここで紹介する20世紀の予言は日科技連が発行している「ENGINEERS」という月刊雑誌の1990年5月号に掲載されたもので,タイトルは「二十世紀の豫言〜90年前の夢が現実となる日〜」です.ここに掲載されているのは,明治34年1月2日,3日に報知新聞の記事だそうです.予言という字も「豫言」という字で,内容も明治時代の表現で書かれています.ここでは,現代かなづかいで抜粋して記述します.興味のある方は,是非「ENGINEERS」を見てください.
「二十世紀の豫言」は2日間の掲載ですから,(一)と(二)の2つあります.番号はふってありませんが,通し番号を付けて書くことにします.また,前書きもありますが,これらは省略し,私が理解した範囲で記述します.
「二十世紀の豫言(一)」
(1)無線電信及び電話:無線電話が世界に連絡し,東京の人がロンドンやニューヨークの友人と話すことができる.
(2)遠距離の写真:写真が天然色で海外の事件を東京に居ながら電力で得ることができる.
(3)野獣の滅亡:アフリカの原野においてもライオン・虎・ワニなどの野獣を見ることができず,大都会の博物館に余命がつながれる.
(4)サハラ砂漠:サハラの大砂漠は段々と「よくこえた平野」になり,東半球の文明は中国・日本・アフリカにおいて発達する.
(5)七日間世界一周:19世紀の末には80日間必要としていた世界一周は7日で可能となり,世界の文明国の人民は男女を問わず必ず一回以上世界漫遊をする.
(6)空中軍艦空中砲台:空中船が発達して空中に軍艦が漂い,空中に砲台が浮かんで空中に修羅場ができる.
(7)蚊及び蚤の滅亡:衛生事業が進歩し,結果的に蚊及び蚤が滅亡する.
(8)暑寒知らず:新しい器械が発明されて暑さ寒さを調和するために適宜空気を送り出すことができる.
(9)植物と電気:電力で野菜を成長させることができ,北寒帯のグリーンランドで熱帯の植物を成長させられる.
(10)人声十里に達す:伝声器が改良されて十里(約40km)離れた男女が情話することができる.
(11)写真電話:電話口に対話者の肖像が出る装置ができる.
(12)買物便法:写真電話によって遠距離にある品物を鑑定し,かつ売買の契約が結べ,品物は地中の鉄管の装置で瞬時に得ることができる.
(13)電気の世界:薪(たきぎ)・炭・石炭などが無くなり,電気がこれに変わって燃料となる.
「二十世紀の豫言(二)」
(14)鉄道の速力:機関車が発達し,冬は暖房,夏は冷房を完備し,速力は東京−神戸間を二時間半で,当時4日半を要したニューヨーク−サンフランシスコ間を一昼夜で移動できる.動力は石炭ではなく,煤煙や汚水もなくなり,給水のための停車もなくなる.
(15)市街鉄道:馬車鉄道は昔の話となり,電気車や圧搾空気車が改良されて,車輪がゴム製となり,大都会においては街路上から空中及び地中を走る.
(16)鉄道の連絡:鉄道は五大洲を貫通して自由に通行できる.
(17)暴風を防ぐ:気象観測が進歩して,天災は一ヶ月以前に予測可能となり,暴風が発生しそうであれば大砲を空中に放って雨に変えることができる.
(18)人の身幹:運動術及び外科手術が発達し,人の身体は六尺(約180cm)以上になる.
(19)医術の進歩:薬剤の飲用が無くなり,電気針で苦痛なく局部に薬を注射するようになる.また顕微鏡やエックス線の発達によって病原を摘発し応急処置が可能となる.肺結核も肺臓を摘出して腐敗を防ぎ,切開術も電気によるため苦痛がなくなる.
(20)自動車の世:馬車がなくなり,これに変わる自動車は廉価で,軍用にも馬に変わって自転車や自動車が使用される.
(21)人と獣の会話自在:獣語の研究が進歩して小学校に獣語科ができ,人と犬・猫・猿とは自由に会話できる.
(22)幼稚園の廃止:人知が遺伝によって発達し,家庭に無教育の人がいなくなり,幼稚園の必要がなくなり,男女ともに大学を卒業すれば一人前とみなされる.
(23)電気の輸送:日本は琵琶湖の水を利用し,アメリカはナイアガラの瀑布によって水力発電が行われ全国に輸送される.
3.エピローグ
日本が明治時代になり,諸外国とのさまざまな問題を抱えていた時代に20世紀を迎えた時の予言です.現在の携帯電話の普及やFAX,インターネット,TV,テレビ電話,テンホン・ショッピング,通販などの通信に関する予言は現実のものとなっています.そして,交通手段である鉄道や自動車の発達も現実のものとなっています.
23の予言の中で(3)野獣の滅亡,(4)サハラ砂漠,(17)暴風を防ぐ,(21)人と獣の会話自在,(22)幼稚園の廃止の5つは現実のものとはなっていませんが,このように考えると的中率は78%です.少子化という現実を考えると(22)幼稚園の廃止は現実的な話です.(12)買物便法については品物の地中鉄管装置による瞬時輸送は実現していないともいえます.絵や写真,文字など二次元のものについては瞬時の伝送がかなり可能になっていますが,三次元のものの瞬間転送は夢なのかもしれません.
交通手段については,かなり実現化されていますが,テレビ映画の「ナイト・ライダー」に出てくるコンピュータを搭載して音声認識によって自動に走る本当の自動車が出現するのは間近な気がします.今の自動車は自動車といっても人間が運転しなければ走らず,自動に走る車ではありません.映画の「フィフス・エレメント」に出てくるような空中走行の自動車も現実のものとなるでしょう.
リニア・モーター・カーや超伝導素材の研究が進めば,クリーンなエネルギーによって,排気ガスの問題も解決された環境での快適な交通が実現すると思います.現在進んでいる廃棄物の有効利用研究が進めば,地球環境を破壊することなく住みやすい地球になると思います.科学技術の発展によって,人類にとって便利な社会が実現していく一方で,オゾン層の破壊や,酸性雨,地球温暖化などの問題も引き起こしています.
海洋エネルギーのコントロールや気象のコントロールなどの実現は,人類にとっては快適になるかもしれませんが,母体である地球自身にとって本当に良いことなのかどうかは大いに疑問が残ります.本来の地球の生態系に影響を及ぼさないような科学技術の発展が望まれるのではないでしょうか.
皆さんはこの予言を読んでどのような感想を持ちますか??
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