玉川大学

ELF:自分を映す鏡
By Mitsuko Imai

2019.03.05

ELFとは自分にとって何だろうと考えた時、頭を過るのはこれまで経験した様々な人との会話の断片だ。特に記憶に残るのは、自分の感情に強く訴えるような会話が行われた時だろう。それは、自分の外見を映し出すものだったり、内面が浮彫となるものだったりする。
22歳でアメリカへ渡った時、大学院で知り合ったアゼルバイジャンからの留学生に、15歳くらいかと思ったと言われたことは今でも鮮明に記憶している。今となっては、若く見られると嬉しい年齢に達しているが、その頃は、馬鹿にされたようで、何とも悔しい思いをした。様々な人種の中で、顔の骨格の違いも多様であり、その人の経験によって人は人を見極めているのだから、彼に取っての私の顔は、平均して15歳くらいだったのだろう。
また、ある会話から、アイデンティティについて意識したこともあった。日本人の両親を持ち、アメリカで生まれ育った友人と会話をしている時、彼は流暢な日本語で、「俺も日本人だから、その気持ちが良く分かるな」と私の意見に同調してくれたことがあった。しかし、別の機会に彼がアメリカ人の友人と話している時、「我々、アメリカ人はさ」と言っているのを耳にした。彼は、カメレオンのように話す相手によって「色」を変える。私は同じように日本語と英語を使うものの、カメレオンにはなれない。私にとっての英語は、ELFなのであって、いつどこで誰と会話をしても、やはり私は日本人としての私なのだと感じた瞬間だった。
またある時は、自分だけ日本人という少人数の集まりで、日本人についての軽い批判が含まれる発言があった。これには、少し憤りを感じ反論したことを覚えているが、その発言は、例えその発話者が日本語を話せたとしても、日本語でなされることはなかっただろうコメントであり、外から見ると日本人はそう思われているのだということを知るとても良い機会であったと思う。
世界からどうみられているのか、そしてそれを知ったとき、自分がどう感じるのか、を浮き彫りにするELF。これは、まさに鏡のようだと考える。日本語だけでコミュニケーションを取っていても、いろいろな気づきはあるだろう。そこに、ELFが加わるとまるで三面鏡を見ているかのように、様々な角度から自分を見つめなおすことができるだろう。自分は一体何者で、人からどう映っている人間なのかを知ることは、生きていく上で大きな役割を果たすのではないだろうか。

<< ELF Talk Top