第32回
経営情報工学研究室 ゼミの風景

来年の4月には、組織の一員として活躍する4年生が「忠誠心の間隔尺度(??)」を作成を試みました。ここでは、尺度がうまく正規分布しないようなときに「忠誠心の尺度」に対する考え方を数量化するための間隔尺度をつくり、その尺度によって自分たちの「忠誠心」を数値で表します。

対象となる尺度を等間隔に11区間の目盛を刻み、一番左端の目盛には「自己中心的」、中央の目盛には「中立」と「どちらでもない」、一番右端の目盛には「企業中心的」と設定した。この名称は参加者が決めましたが、偏った表現のようです。

次に対称の尺度に関係がありそうな(組織への忠誠心)いろいろな意見をカードに書きだしました。一部、新聞や雑誌からも採取しました。さらに、プレーストーミングをしながら各人が思いついたものを件数にし、合計55件集めました。

たとえば、「残業代はいりません」、「最低限のルールは守ります」というような直接的表現や間接的表現で表わされています。

評価者の各人ごとに集めたカードをその内容にしたがって、0から10までの目盛に分けた結果が、

1) 会社のためなら家族を捨てる 10、10、8、・・・、10、10
2) 地球上ならどこでも転勤します 8、10、8、・・・、9、9
3) 自分の身体に影響がない程度ならやります 4、6、5、・・・、4、4
4) 顧客満足度120%を目指し、日々努力する 6、8、8、・・・、9、7

などチョッと信じられないような勇ましさです。

データがどのくらいばらついているかを点検するために四分偏差を求め、(四分偏差は、データのばらつきの大きさを表す値のひとつで、データを大きさの順にならべ、4分の1のところにある値と4分の3のところにある値との差の2分の1で表します) いくつかのカードは、ばらつきが大きく取り除かれることになりました。

「最低限のルールは守ります」や「休まない」などは何と除かれることとなったのです。点数が近い意見は、一番わかりやすい意見を残して後は取り除きました。整理した結果、12個の意見が残りました。できる限り等間隔になるようにしました。リストを作り、自分が賛成するものに○印をつけます。さらに、賛成した意見の点数を足し、数で割って平均を求めてみました。

結果は、皆さん大きく変わらず「前向きでいること:3.8」や「会社から与えられた仕事はそつなくこなします:4.8」、「犯罪にならないのであれば基本的に会社に従う:5.9」当たりに収まってしまいました。平均値は、4.8や5.2、大きい方でも6.3と、実施した本人たちもびっくり。

来年4月からの大いなる活躍を期待することにしました。

2010年8月5日 小野道照教授