人類はその瞬間を平和に迎えられるか
2001年の瞬間を心おきなく迎えるためには、個人のレベルを超えた問題も考えておく必要がある。とくに怖いのは、戦争、テロ、伝染病の3つだ。
§戦争と民族紛争§
2001年1月1日のスタートが、暗澹としたものになるとしたら、その最も大きな不安材料は戦争だ。NATO軍によるユーゴ空爆の傷跡はまだ生々しい。コソボ問題を始め
めとするバルカン半島の民族問題はどのように動いていくのか。イラクに対するアメリカの攻撃は再発するのかどうか。朝鮮半島をめぐる情勢は、このまま順調に南北統
一に向けて突き進むのか。21世紀にかけて、局地的な戦争が勃発し、エスカレートしていく可能性は全くないのだろうか。戦火を抱えたままでは、新世紀開幕の祝賀気
分どころではなくなる。
§テロは防げるか§
この瞬間をねらったテロについても、十分注意しておく必要がある。「まさかこの時期に」という気の緩みが警備のスキにつながる。ペルーの日
本大使公邸人質事件のような、大規模なテロが起きないという保証は何もないのだ。むしろ、この時だからこそあり得る、と考えておいた方がいい。とくに政財界のトップ
クラスや皇族の身辺警護には万全の構えが必要だ。また人出が集中する場所での無差別大量テロも、2001年1月1日を大混乱に陥れるのは必至だ。各国の公安・
警備当局が最も警戒すべき瞬間が、この時だといってもいい。
現在、とりわけ警戒されているのが、バチカンが1999年12月24日から2001年1月6日までをカトリックの「大聖年」として世界的に祝祭を繰り広げることへの、
イスラム原理主義過激派によるテロの危険だ。とりわけカトリックの総本山バチカンは格好の標的とされていて、過激派がすでにイタリア入りしているとの情報をイタリア情報
機関はつかんでいるといわれ、宿泊ホテルを洗うなど警戒を強めている。
また米連邦捜査局(FBI)は、右翼組織や宗教カルト教団によるミレニアムテロの可能性もあるとして、全米の取り締まり当局に警戒態勢を取るよう要請した。
§伝染病§
O-157の不気味さは、尾を引いている。2001年1月1日を、人類が恐怖のるつぼの中で迎える要因の中でも、伝染病の大感染の可能性を小さく見てはいけない。ラ
ッサ熱やエボラ出血熱のような最強の伝染病が、世界各国の発達した都市部に蔓延したら、まさに「12モンキーズ」の世界が現実のものになるだろう。ワクチンのない新
種の強力インフルエンザも脅威だ。人類の、伝染病や感染症への抵抗力が弱くなっているのが、大いに気になるところだ。
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