自然環境の現状

自然環境保全基礎調査

○自然自然環境保全基礎調査開始までの主な経緯

 我が国では、国レベルの施策として自然環境や野生生物を保全するために、「自然環境保全法」が昭和48年より施行されています。昭和40年代の高度経済成長に伴う公害の深刻化と自然破壊の加速により環境問題に国民の関心が寄せられ、「自然環境の保護及び整備その他環境の保全」などの主管官庁として「環境庁」が発足したのが昭和46年、自然環境保全法は昭和47年に制定されました。この「自然環境保全法」に基づき、日本の河川、海岸、動植物など、自然環境の現状を総合的に把握するために、「自然環境保全基礎調査」を実施しています。平成6年からは生物多様性を対象とした調査も開始しています。

○自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)

 自然環境保全基礎調査は、一般に、「緑の国勢調査」と呼ばれ、自然環境保全法第4条の規定に基づきおおむね5年ごとに実施しています。本調査では、陸域、陸水域、海域の各々の領域について調査項目を分類し国土全体の状況を調査しています。調査結果は報告書及び地図等にとりまとめられたうえ公表されており、これらの報告書等は、自然環境保全の施策を推進するための基礎資料として、自然公園等の指定・計画をはじめとする自然保護行政の他、 環境アセスメント等の各方面において活用されています。

自然環境保全の取り組み

すぐれた自然の保全

○原生自然環境保全地域等の指定

 人の手が加わっておらず、原生の状態が保たれている自然環境の保全を図るため、自然環境保全法に基づき、遠音別岳、十勝川源流部、大井川源流部、南硫黄島及び屋久島の5地域を原生自然環境地域として指定して保全しています。また、原生自然環境保全地域以外の区域で、自然的社会的条件から見て自然環境を保全することが特に必要な区域を自然環境保全地域として指定しています。さらに身近な自然環境を保全するため、都道府県自然環境保全地域の指定制度があります。

原生自然環境保全地域

-自然環境保全地域

自然公園

 次の自然公園については、適正な保護及び利用の増進を図るため、国あるいは都道府県が公園計画などを定めて保全を行っています。

○国立公園

 我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地を指定する国立公園が、28か所あります。

○国定公園

 国立公園に準ずる優れた自然の風景地を指定する国定公園が、55か所あります。

○都道府県立自然公園

 国立公園、国定公園以外に、都道府県の風景を代表する風景地を指定する都道府県立自然公園があります。

国民公園等

 皇居外苑、新宿御苑、京都御苑は、戦前は旧皇室苑地でしたが、昭和22年の閣議決定によって、「国民公園」として位置づけられ、国の管理のもとに広く国民一般に開放され、利用されています。また、千鳥が淵戦没者墓苑は、先の大戦による戦没者の遺骨のうち、遺族に引き渡すことのできない遺骨を納めるための施設として、昭和34年に竣工し、国民公園と同様に墓地公園として一般に開放されています。

世界自然遺産地域

 日本では、世界自然遺産として、平成7年に屋久島(鹿児島)、白神山地(青森県、秋田県)が登録されています。この地域は、国が管理計画を策定して保全を行っています。

生物多様性の保全

 生物多様性条約は、1992年5月ケニアのナイロビで採択され、6月の地球サミットで、我が国も署名し、1993年12月に発効しました。本条約は、地球上の野生生物の多様さをそれらの生息環境とともに最大限に保存し、その持続的な利用を実現、さらに生物の持つ遺伝資源から得られる利益の公平な分配を目的としています。生物多様性条約の第6条には、各締約国が、生物多様性の保全及び持続可能な利用を目的とする国家的な戦略を策定することが規定されています。我が国はこれを受け1995年10月地球環境の保全に関する関係閣僚会議において「生物多様性国家戦略」を決定しました。この国家戦略は、生物多様性という観点から各省庁の関連施策を体系化し、長期的な目標と今後の取組の方向を明らかにしたものであり、各種施策の推進と有機的な連携を促すことが期待されています。

野生生物の保護・管理

 貴重な野生生物を保護するためには、その生息地を保護し、乱獲を防ぎ、絶滅のおそれのある種の保護や増殖を行うなどさまざまな取り組みが必要です。生物多様性条約以外に、日本の野生生物保護・管理の取組は、「鳥獣保護及狩猟二関スル法律」(鳥獣保護法)及び「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)により推進されています。また、環境庁は、渡り鳥保護についての近隣諸国との国際協力、途上国での野生生物保護等に取り組んでいます。

○鳥獣保護及狩猟二関スル法律(鳥獣保護法)

 本法律は、鳥獣保護繁殖と有害鳥獣の駆除などを図るため、大正8年に施行されました。鳥獣保護繁殖の面では、鳥獣保護区の設定、狩猟の規制、狩猟鳥獣以外の鳥獣の捕獲(卵の採取を含む)規制等を行っています。 鳥獣保護区の区域内では鳥獣の捕獲等原則として禁止されるほか、特に必要のある場合には鳥獣保護区の区域内に特別保護地区を指定して、木竹の伐採、水面の埋め立て等は、許可を必要とするなどにより、鳥獣保護を図っています。

国設鳥獣保護区設定状況

○絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)

 本法律は、絶滅の危機に瀕している野生動植物の種の保存を総合的に推進するため、平成4年に制定され、我が国に生息する絶滅のおそれのある野生動植物の種は、順次、「国内希少野生動植物種」として指定し、捕獲及び譲渡等の規制、生息地等保護区の指定、保護増殖事業、調査研究等が行われています。

国内希少野生動植物種一覧表

○国際協力

・特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)
 1971年、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地、及び湿地に生息する野生生物の保護を目的に「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)がイランのラムサールで採択されました。 我が国は、1980年に加盟し、タンチョウの主要な生息地、北海道・釧路湿原などを「ラムサール条約登録湿地」として登録を行い、保全を図っています。

日本のラムサール条約登録湿地

・絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)
 絶滅のおそれのある動植物の保護とこの動植物の国際取引を規制するための条約です。
 1972年の国連人間環境会議の決議において、野生動植物の特定の種が過度の国際取引によって絶滅の危機に瀕しているとの認識が示され、これを受けて1973年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)がアメリカのワシントンで採択されました。我が国は1980年に加盟しました。

・二国間渡り鳥等保護条約・協定
 我が国には、500種以上の野生の鳥類が生息していますが、その3/4は渡り鳥です。これらの鳥類の保護のためには、国際的に捕獲禁止などの措置を講じる必要があり、我が国は、米国・豪州・ロシア・中国との間でそれぞれ二国間の渡り鳥等保護条約・協定を締結しています。条約は、渡り鳥とその卵の捕獲、採取あるいは販売などをそれぞれの国の法令により規制することなどを内容としています。

○ナショナル・トラスト活動

 身近な動植物の生息地や都市近郊に残された緑地などを、寄付金などをもとに住民自らの手で買い取って保全していこうとする自然保護活動です。この活動はイギリスがその発祥の地とされ、現在は世界各国にも広がり、オーストラリア、オランダ、アメリカ、カナダなどの国にも独自のナショナル・トラスト団体が設立されています。我が国でも、この活動が自然保護の上で重要なものとして認識されるようになり、この活動に係る税制上の優遇措置が講じられています。

どうすればいいの

 自然とのふれあいは、自然環境の大切さを感じ、豊かな人間性を育むためにとても重要な行動です。たくさんの自然と積極的にふれあう機会を持つようにしましょう。例えば、公園をおとずれたり、身近な生き物を観察してみてはどうでしょうか。

また、次のような行事に参加しましょう。
・みどりの日「自然とふれあうみどりの日の集い」行事
・環境の日及び環境月間
・自然に親しむ運動
・身近な生きもの調査「ツバメの巣調査」「ひっつきむし調査」等