コーネルフォト日記−7(4月28日)

暑くなったと思ったら,雪が降ったり,イサカの天候は気まぐれですが,ミツバチを入手して,いよいよ実験が始まりました.昨日は,シーリー教授の指導の元,コーネル法をじっくりと拝見.今日は雨ですが,少し観察もしました.右は今回用意された蜂群の女王蜂.2年目ですが産卵は旺盛です.

実験場所は,当初のキッチンの隣から,別棟(車庫兼用)の観察室になりました.観察室(7X3.5m)の中は,5つの窓に各1基ずつ観察巣箱を設置できるようになっています.観察巣箱の架台はL字型の木製の簡単なもので,巣箱の下に足が入るので,長時間観察が楽です.壁の下部にあるヒーターで観察室を25-28度に温めることができます.

観察巣箱をのぞいているところ.観察巣箱は架台にクランプで固定されていますが,ガラスは,白いマスキングテープでとめてあるだけでちょっと不安ですね.観察巣箱自体,非常に単純な構造になっています.ほとんどが手製で,この2枚用以外に,3枚,4枚用のものもあります(3枚用のものは上の写真の背景のもの).

観察していないときは発泡スチロールを木枠にはめ込んだ蓋を両ガラス面に重ねて,サンドイッチ状にして,ガラスの保護をします.この蓋は,上部で2か所マジックテープでとめるだけになっています.このあたりもいたって簡単な構造ですね.
観察巣箱からは,窓を少し開けて設置した巣門に,通路を通して蜂を外に通わせます.いろいろ工具のそろっているリデルの工作室ですが,なぜか手鋸がなく,製材所にあるような?巨大な電動マシンで薄い合板を切っての工作になってしまいました.

観察巣箱はリデルから4kmほど離れた蜂場で「立ち上げ」ました.この観察巣箱は2枚式で,蜜巣板と蜂児巣板を各1枚入れました.働き蜂は少なめに入れ,羽化する蜂で増やすのがコーネル法のようです.

 
この日(27日)はオランダから来ているポスドクのクースのためのマーキング指導もシーリー教授直々にありました.粉絵の具をシェラックで溶いて作る独自のペイントは「ミツバチの知恵」にも詳しく書かれています.
色の調合を終えたら,今度は蜂を用意します.巣房の蓋を破って羽化してくるものや,羽化したてで,まだ毛がふさふさしていて,巣板上をぎこちなく歩いているものを手で捕まえて(茶色い洗い桶に放り込んでいます)持ち帰ります.
この日は,胸部と腹部の色の組み合わせで個体識別ができるようなマークをしました(5色なら5x5で25匹の個体識別が可能です).マークした蜂を巣箱に導入し終わったところでクースにポーズをとってもらいました(彼の観察巣箱がキッチンの隣に設置されました).
 
ところで,アメリカでは,女王蜂を何匹かの働き蜂と一緒に左上のようなケージに入れて,普通の郵便物とて送ることができます(学生の実験用にテキサスから数匹購入).

表のラベルには,生女王蜂:遮光,換気,室温,殺虫剤禁止,X線禁止と注意書きがあり,下には,州の監督局が,この業者に関する腐蛆病検査の結果(無発生)の証明をしています.病気がないことがミツバチの移動条件なのはどの国でも変わりません.

 

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