コーネルフォト日記−28(11月25日)

冬になってからミツバチネタが続きます.今日,コーネル大の自慢のひとつ,全米最大規模の養蜂書コレクションを見てきました.農学生命科学系の図書館Albert R Mann Libraryは,普段オンラインでの利用が多く,実は足を踏み入れたのは今回が初めてでした.
 


http://www.mannlib.cornell.edu/

いつもお世話になるのはメニューのこの部分.抄録検索や,主要雑誌のpdf版へのアクセスができるので,本を借り出してコピーという作業は,新しい雑誌類についてはほとんど不要.コンピュータさえあれば用は済んでしまいます.
 
Mann Libraryはアメリカの農学系図書館としても大きな方ですが,ここに実は養蜂書のコレクションがあるという話があり,ホームページをのぞいたら,トムが献辞を捧げているではないですか.じゃあ,連れて行ってくれと,中村の論文原稿添削?で忙しいところを一緒に行ってもらいました.
このコレクションは,コーネル大学のフィリップ教授(1878-1951)が生前集めていたもので,18世紀の出版物からの6000冊ほどあるというコレクションです.アメリカでの刊行物はほとんどあるのでしょうが,やはりラングストロスのHive and Honeybeeの初刊本などは気になる存在です.
一番上の写真がラングストロスの初版本など.左はスイスの盲目の養蜂研究者でラングストロスも相当入れ込んでいたらしいユベールの書籍類.かなり古い物もあり,ケースに入れられたりしています.また時代が下がると紙質が悪くなり,複製作業が進められています.
 

ところがこの書庫は厳重に守られていて直接入ることはできません.見たい本は書類を書いて借り出して,しかも衆人環境の指定されたデスクの上で,IDカードとコート類を取りあげられ,先の尖ったボールペンは別の机の上に見えるように置けといわれ,素手でさわってもだめで綿の手袋の着用が義務づけられ,本は大きさに合わせたスポンジ製の台の上にのせ必要以上に開かないこととか,鉛筆と紙は図書館で用意した物以外は使わないとか,しおりに使う紙も非酸性紙の専用のものを使うことなどなど...大変厳しい利用規程があるのでした.
 
これは書架が見たいという要求は叶わないかなと思い始めた頃,実はトムは「ミツバチの知恵」の著者なのではという話が図書館員の間で広がり,一人が確かめに来て,そこから事態は一転,無事に書庫を見せてもらうことができたのでした.
 

左は複製版らしいけれどラングストロスの直筆のノート(説明ではhandwriting journalとなっていたが,日誌風).図も随所にあり.巣箱開発への苦心の日々が綴られている?

 
ところでトムのコレクションへの献辞?
"When I recently wrote The Wisdom of the Hive (Harvard University Press, 1995) I decided not to leave Ithaca because I realized that I could not write this book without access to the superb collections of Mann Library."
ここまで書いておきながら,図書館の建物が変わったこともあり,コレクションへの道は思ったよりも遠かったのでした.
 

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