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ベルリン・フィルのメンバーの来園
児童・生徒・学生との音楽交流・レッスン
「心のあり方」を今一度見つめ直すことが求められている今、豊かな人間性の育成を目指す玉川学園では、感 性や協調性を培う音楽教育に力を注いでいます。今回来園されたベルリンフィル・バイオリン奏者アマデウス・ホィトリング氏は、その教育理念に共感し、玉川 との10年以上に渡る交流が続いています。
この取り組みは、ベルリン・フィルのメンバーによる「アウトリーチ」活動のひとつです。アウトリーチとは本来「手を伸ばす」という意味で、芸術活動におい ては、芸術家・団体が、芸術への興味と関心を高めるためにさまざまな場所へ出向きワークショップやパフォーマンスを行うこととされています。
今回は同氏に加え、ビオラ奏者マシュー・ハンター氏、チェロ奏者ニコラス・ローミッシュ氏も一緒に来園し、11月24日(木)に4回目の音楽交流と公開レッスンが実現しました。
「眼に見えない世界」を言葉と絵で表現
―共に彩る世界―
今回ベルリン・フィルのメンバーが3年星組の児童とともに行ったアウトリーチの活動は、真に「心と心の対話」でした。メンバーの演奏を子供たちが聴き、眼 には見えない形無きものを自分の声や言葉に置き換えたり、絵を描いて色や形で表現したり。このような「感じる体験」により、子供たちの想像力を掻き立て心 を養うことを目標としています。
 
交流は、音楽室から和やかな雰囲気で始まりました。子供たちは、シューベルトの「野ばら」をドイツ語で合唱し、メンバーを迎えました。予想外の歓迎の歌声 を、メンバー一同微笑みながら聴いていました。メンバーからは、「今歌ってもらった曲を作ったのは誰ですか」「詩を書いたのはだれですか」「シューベルト が作曲し、作詞はゲーテです。二人ともドイツの大切な人です」とコメントがありました。
 
この後、シューベルトの「弦楽三重奏曲第1番」の演奏を聴き終えた子供たちは、「演奏中はブレス(息づかい)や、目を使って会話みたいに合図をしていた」 「お花畑で3人が演奏している姿が思い浮かんだ」「ピンクや水色、黄色や明るい色を感じた」と意欲的に発言しました。メンバーからは、「とても良いイメー ジですね。僕たちもお花畑で演奏した気持ちだよ。曲そのものがこういう気持ちにさせてくれるんだね」と子供たちを包み込むような優しい言葉を頂きました。
 
次に美術室に移り、モーツァルト等の弦楽三重奏曲の数曲の演奏を聴きながら、同時に子供たちが絵筆を持ちキャンパスに感じるままのイメージを描いていきま した。選んでいるのは柔らかく優しいタッチの色。そして描いた絵には各自「めばえ」「うれしいさけび」「やさしい朝」などイメージにマッチしたタイトルを 名付けました。ベルリン・フィルのメンバーは、子供たちの描いた絵を一枚一枚丁寧に観て、一人ひとりにコメントを贈ってくれました。
授業が終わった後は、メンバーと子供たちが一緒にランチタイムを満喫。音楽で培った心と笑顔は世界共通であると実感できました。
「耳と眼、そして心へ」
―情熱・身体を使った表現を―

 
同じメンバーによるレッスンが中学年講堂で行われました。受講対象者は、8年生200名の合唱とオーケストラの生徒。曲は、ヘンデルの「メサイア」より最終楽章『Worthy is the lamb -Amen Chorus-』を取り挙げました。
生徒の演奏を一聴したメンバーからは、「美しい歌声をありがとうございます」と丁寧な言葉を頂きました。アマデウス氏は、「この曲は教会の響きも要素とし て計算され作曲されています。ですから言葉も演奏も一音一音はっきり分けて発声しましょう」と、より一層の高峰を目指すためのアドバイスをしてくれまし た。 アマデウス氏の演奏も交えながら、生徒達は手直しをしていきます。オーケストラの生徒達に対しては、アマデウス氏より
 
「音を長く伸ばしている箇所や、フレイジングなどもっと自由に身体を使って情熱を表現してみてください」と、聴衆の目に映る印象と表現方法について、実践 的なレッスンがなされました。生徒達は、一流の音色の響きを真剣な眼差しで心に刻んでいきます。映像ではなく、世界レベルで一流の音楽家から、実際に言葉 と演奏を直接聞くことが出来たこの時間は、生徒達にとって貴重な経験であり人生の財産となりました。
「心の解釈と表現」
―尊重・情景・気持ちの表現を―
 
各種メディアでも活躍している芸術学部メディア・アーツ学科の野本由紀夫教授による司会と、教育学部の大谷千恵准教授の通訳の下、アマデウス氏による公開 レッスンが講堂で行われました。レッスン対象者は芸術学部「パフォーマンス(弦楽合奏)」受講生14名、聴講学生は芸術学部1年生です。レッスン曲目に は、グリーグの「ホルベルク組曲」作品40を選びました。5つの楽章からなるこの曲をすべて聴き終えたアマデウス氏から、「美しく、感動しました」と心温 まる言葉を頂戴したときには、緊張の糸がホッと緩んだ学生の顔に笑みがこぼれていました。
 
その後は、第4楽章の「アリア」を中心として、レッスンしていただきました。「太陽の日差しが低いノルウェーの情景に静けさを重ね合わせたグリーグの世界 観を、自分が語りかけるように表現しましょう。」「苦しみの中であっても生きるんだ、という魂の叫びを音で伝えてください。」と、技術的なこと以外に気持 ちのあり方を指導するアマデウス氏。その言葉に多くの学生が、音楽を奏でる際の心の大切さに気付かされた瞬間でした。最後に聴講学生からの「心の大切さを 知りました。でもご自身が辛い時に明るい曲を演奏する時は、どのように立ち向かっていますか?」という質問に対して、アマデウス氏は「役者と同じで、演奏 家は曲の世界観に没頭し“音で伝える”という役目を果たします。これは音楽以外の人にも通ずるものがあると思います」と語りました。とてつもなく大きな世 界を持ったアマデウス氏の人生観と音楽性に触れ、参加した全ての学生達は勇気づけられ、忘れられない一日となりました。

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