玉川大学出版部の本


マルチメディアと教育

加藤潤(名古屋女子大学短期大学部助教授)著

四六判上製・208頁
定価 :2,730円(税込)
発行年月 :1999年6月
ISBN :ISBN4-472-30151-2 C0037
ジャンル :初等・中等教育

社会がマルチメディア化しているなかで、あらゆる教育問題はマルチメディアというテクノロジーで解決されるという過大な期待に囚われていないだろうか。本書はマルチメディアと教育の関係を、活字文化とマルチメディア社会、ライフスタイルとアイデンティティ、ネットワーク社会と学校の変容等をテーマに教育社会学的に考察。

主な目次

まえがき
1章 失われたリアリティ−コンピュータがリアリティ教育を担う?
  四本足のニワトリを描く子供たち
  救済としてのコンピュータ
  コンピュータがニワトリを教えてくれる?
  コンピュータ・アンチとコンピュータ・オタク
  おじいさんのランプ
  コンピュータ・オタクの生産者
  四本足のニワトリとマルチメディア
2章 教室の危機とマルチメディア
  修羅場と化した教室
  プロ教師をめざして
  プログラム学習とマルチメディア
  リアリティ教育の流行
  二つの喪失と回復−共同体と自然
  細密なスズムシ−自然環境の回復
  実体験から疑似体験、そして仮想体験へ
  学校教育の大転換が起きる
3章 マルチメディア教育と脱学校社会
  学校化された社会
  脱環境−本物が要らなくなる時
  近代学校における時間と空間
  脱時空−サイバー教育の可能性
  脱関係−教師と生徒は何で結ばれるのか
  学歴社会の終焉−試験がなくなる日
  サイバー・スペース上の立身出世
  他者への視界ゼロ社会−眼差しの喪失
4章 マルチメディアで教室が変わる−CAIの可能性と限界
  浸透するCAI
  画面に釘づけになる子供たち
  遊びと学習の境界消滅
  教育の大転換
  CAIの限界−隠される知の構造
  文化的再生産装置としてのCAI
  電子教科書で学校が不要になる?
5章 歪められたアイデンティティ−近代学校教育の病理
  長い青年期を学校で過ごす近代青年
  自分らしさはどこに?
  二〇歳の原点−アイデンティティ拡散に陥る近代青年
  アイデンティティ、イデオロギー、宗教
  学歴とアイデンティティ
6章 再定義されるアイデンティティと学校教育
  ポスト・モダン的自我とマルチメディア社会
  ネットワーク上のアイデンティティ
  映像のなかの人生
  自己と他者
  ポスト・モダン的アイデンティティと学校教育
  サイバー・スペース上の受験指導
  公教育の空洞化−棲み分け欲求の表面化
  葛藤の場としての学校
7章 マルチメディア・エピキュリアンとマゾヒズム−「生きる力」と「死」
  それでもテクノロジーは進歩する
  マルチメディア批判のアキレス腱
  マルチメディア教育への懐疑論
  サイバー・スペースの生と死
  「生きる力」という空論
終章 マルチメディアの虚無
  人工生命の「いのち」とは
  不死思想としてのマルチメディア
  情報マゾヒズムのすすめ
  メンソレータムの効能書
  四本足のニワトリのゆくえ

あとがき

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