狂言のことだま |
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山本東次郎(大蔵流狂言方)著
四六判上製・264頁
定価 |
:2,100円(税込) |
発行年月 |
:2002年9月 |
ISBN |
:ISBN4-472-30268-3 C1074 |
ジャンル |
:演劇・芸能 |
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人間の愚かしさ、人生とはいかなるものかを慈しみをもって見つめる狂言には、観る人の心のままに見出す何ものかが必ずある。選び抜かれ磨き上げられた狂言のセリフの根底には口から発せられた言葉は生命をもつという言霊信仰が確固として存在する。ぎりぎりに切り詰められた言葉やしぐさの中に込められた狂言の神髄を語る。 |
主な目次
はじめに
I 能と狂言-「幽玄」と「上階のをかし」
口伝による芸の伝承 能と狂言の分化 「あはれ」と「をかし」 舞歌二曲-身体訓練と発声訓練 小舞による訓練 能の舞と狂言の舞の相違-基礎技術に関して 能の謡と狂言の謡の相違-基礎技術に関して 様式・型・類型 「スリカワル」演技
II 狂言という心理劇
1 附子・棒縛・樋の酒 様々な主従の形、そして日常の摩擦と葛藤
2 粟田口 確信を持てぬ不安の行き着く果て
3 入間川 念願成就が人を傲慢にさせる
4 名取川 流れ去り行くものへの執着
5 船渡聟 ささやかな見栄が誤解を生む
6 伊文字 人間社会、善意・悪意は個々の事情
7 靱 猿 価値観の違う二人の思惑は純なものをも犠牲にする
8 花 子 恋とは必ずうつろうもの、でも凡人はそれを繰り返す
III 間狂言の役割
1 姨 捨 所詮当事者の心の奥は第三者には知る由もない
2 石 橋 真の勇気を持たなければ、石橋は渡れない
3 一角仙人 己を絶対と思う自尊心を他人は理解できない
4 黒 塚 他人の秘密は何としても暴きたくなるもの
5 道成寺 思わぬ抜擢は小者を不遜にし、禁をも破る
6 夜討曾我 人はどんなときでも楽に安穏に生きていたいもの
7 烏帽子折 手柄を立てて一山当てたいが、命は惜しい
8 船弁慶 お得意様の悲劇も不幸もビジネスチャンスに
9 嵐山(替間)猿聟 純粋なものばかりが理想どおり動くとは限らない
10 賀茂(替間)御田 大自然の摂理は受け入れるしかない人間たち
IV 三番三-稲の精霊の舞
天下泰平・五穀豊穣の祈祷人 足拍子-三番三を踏む 稲の精霊の舞 豊穣への祈り
あとがき |
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