玉川大学出版部の本


他者のロゴスとパトス

三井善止編著

四六判上製・304頁
定価 :4,410円(税込)
発行年月 :2006年10月
ISBN :ISBN4-472-30295-0 C3010
ジャンル :哲学・思想

自分を明らかにしようとすれば、そこには必ず他者の存在がある。現代社会において、他者は親しく身近な存在であるとともに、近よりがたく疎遠な存在でもある。人間や社会を考える上でキーとなる他者という存在に、哲学・倫理学などロゴスの観点や、また宗教・文化・文学・演劇・音楽などのパトス的な視点から重層的に迫る。

主な目次

 はじめに  三井善止
第一章 他者の本来性とその成立基盤  三井善止
  1 自己の成立と他者
  2 他者の台頭
  3 汝としての他者
  4 「交わり」における他者
  5 自覚における自己と他者の関係
第二章 他者との対話としての哲学  納富信留
  1 「他者」についての哲学史的反省
  2 「言葉」を語りかける哲学
  3 ゴルギアスの「弁論術」
  4 ソクラテスの「対話」
  5 プラトンの「対話篇」
  6 「言葉」の強さと弱さ
第三章 カント哲学における他者の問題  山口修二
  1 問題の所在
  2 多元主義の存在論(前批判期)
  3 世界市民の論理学(『純粋理性批判』)
第四章 「他なるもの」としての近代  岡本裕一朗
  1 ハイデガーにおける「近代との対決」
  2 ハーバマスのコミュニケーション理論
  3 「他なるもの」は超克されたか
第五章 他者問題とクオリア  河野哲也
  1 他者問題とクオリア
  2 クオリアと認知科学
  3 クオリアは脳が生み出したものではない
  4 内的な質と観察に基づかない知識
  5 クオリアは存在するか
第六章 他者論としてのフィランスロピア 土井健司
  1 フィランスロピアと他者の問題
  2 古典期ギリシアにおけるフィランスロピア
  3 フィランスロピアと古典期の哲学
  4 ヘレニズム期・帝政期におけるフィランスロピア
  5 ユダヤ教思想におけるフィランスロピア
  6 古代キリスト教におけるフィランスロピア―偽クレメンス『講和集』
第七章 ルターの神学思想と他者  小田部進一
  1 『キリスト者の自由』について
  2 他者としての神との関係性
  3 他者としての隣人との関係性
  4 宗教改革的神学の社会的帰結
第八章 移民をめぐる文化多元主義と他者 池田 智
  1 多民族社会における他者と他者化
  2 日本のさらなる多民族化はありえるか
  3 文化多元主義とは
  4 文化多元主義の二分化
  5 他者化なき文化多元主義への懸念
第九章 他者としてのユダヤ人  今井夏彦
  1 途方にくれる主人公
  2 群集の誕生
  3 国民国家の形成
  4 『旧約聖書』
第十章 「他者」とハーヴァード  森 良和
  1 アメリカ大陸の「他者」
  2 植民地とハーヴァード
  3 「他者」の教化に向けて
  4 インディアン・カレッジの成立
  5 ジェイムズとササモン
  6 カレブとジョエル
  7 ウォムポスとエリーザー
  8 衰退と廃止、および最後の学生
第十一章 演劇芸術における「他者」  法月敏彦
  1 演劇における「他者」の所在
  2 登場人物としての他者 [戯曲]
  3 他者を演じる [演技]
  4 他者に同化する [観客]
  5 現代演劇における「他者」の本質
  6 レアリア(言語外現実・背後文化)
第十二章 他者との融合としての「演奏」  笹川骼i
  1 「音楽演奏」の美学
  2 「他者」との対峙と同化
  3 即興的演奏と時間

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