本COEプログラムの各部門では、分子レベル、シナプス・神経細胞レベル、局所回路レベル、領野レベル、行動レベルなど、様々なレベルで脳機能に関わる現象の観測や操作が行われています。そして、異なるレベルの現象の間の関係が調べられています。例えば、分子レベルに影響を及ぼす遺伝子操作をして、シナプスの可塑性や神経細胞の発火特性への影響や、行動を観察して行動に顕れる変化を調べたり、神経細胞の発火と行動との相関を調べたり、fMRIなどによって顕著に活動する脳領域と行動との相関を調べたりしています。
しかし脳機能を実現している脳のシステム全体の中では、極めて断片的な情報と言わざるを得ません。直接観測することができないこれらのレベルの間をつなぐためには、数理的アプローチが必要であります。我々のグループは計算論や工学的手法を含む数理的アプローチでこれらのレベルの現象の間を結びつけ、脳機能の理解につなげようとしています。
また、得られた部分的な理解を社会に還元するために、工学的な応用を行うと共に、工学的技術を開発して新たな脳計測技術の可能性を探求しています。