生命観研究グループ
生命観研究グループでは、脳科学と哲学とのインタラクションをねらいとし、〔1〕「生命観」についての哲学的・科学史的・宗教的視点からの研究、〔2〕認知科学・現象学・心の哲学にもとづく「認知」・「知覚」・「意識」についての研究という二つの方向で研究を進めてきました。海外では、脳科学と哲学との対話の試みはいくつか行われていますが、日本ではまだ少なく、本研究はその試みの一つです。それぞれの研究の詳細は下記の通りです。
1.「生命観」についての哲学的・科学史的・宗教的視点からの研究
生の哲学、解釈学、実存哲学、西田哲学、キリスト教、科学哲学などの多角的な視点から近代科学における機械論的生命観を問い直し、新たな「生命観」を探究するとともに、それらをもとに臓器移植やクローン技術などの現代的な問題を考察します。
- 近代科学における機械論的生命観を批判的に問い直すとともに、ベルグソン、ハイデガー、ヤスパースなどの生命論を手がかりに、「脳と心」の問題を考察します。
- ニーチェ、ディルタイ等の生の哲学・解釈学の「生命観」をもとに、生の全体性、生と環境との相互関係、心的生の理解、媒体としての身体などの問題を考察します。
- メルロ・ポンティの現象学、マックス・シェーラーやA・ゲーレンらの哲学的人間学などの視点をもとに、知覚の問題や生命観・人間観を哲学的に考察します。
- キリスト教の「生命観」を「関係としての生命」という観点から探究し、それをもとに脳死・臓器移植・クローン技術などの現代的問題を倫理的・宗教的に考察します。
- 近代における科学観と生命観の変遷を科学史的・科学哲学的に考察する。その一環としてダーウィンの進化論の意義を科学哲学的・倫理的視点から再検討します。
2.認知科学・現象学・心の哲学にもとづく「認知」・「知覚」・「意識」についての研究
認知科学・現象学・心の哲学・システム論などの知見をもとに、従来の「表象主義」の認知観を超えた新たな「認知」の枠組みを探究するとともに、知覚とクオリア、色彩と空間の知覚、意識と生命システムなどの問題を哲学的に考察します。
- 認知科学と「心の哲学」の観点から、従来の「表象主義」の認知観を超えた相互作用主義の新たな認知観を探究するとともに、知覚とクオリアの問題を哲学的に考察します。
- 現象学とオートポイエーシス理論の関連性について考察することを通じて、生命システムとしての「意識」の問題を哲学的に探究します。
- 現象学・生態学の視点から、「色彩と空間」をめぐる認知と知覚の問題を探究するとともに、「色彩の多次元性」について哲学的に考察します。
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