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箱根湿生花園で野生のノハナショウブの開花調査を行いました
日本伝統の園芸植物、花菖蒲は江戸時代に育成されて現在では各地の花菖蒲園を彩っています。ところで、これらの栽培種の元になった花はいったい何なのでしょうか?栽培種の花菖蒲は、日本の高層湿原などに自生する野生のノハナショウブから作られたといわれています。しかし、現在では、開発や地球温暖化によって、全国でもごく限られた地域にしか見られなくなりました。栽培種の花菖蒲と比べると、非常に素朴な花ですが花色、形が非常に様々で、塩類の多い地域でも成育可能なもの、病害虫にも強い性質を持つものがあるので、新品種育成のための育種素材として大変貴重な遺伝資源です。
植物機能開発科学領域では、栽培種の花菖蒲の研究と並行して、野生のノハナショウブの探索・研究にも力を入れています。神奈川県箱根町の箱根湿生花園は、野生のノハナショウブを身近に見ることができる数少ない地域の一つです。昨年から、箱根湿生花園に自生する野生のノハナショウブについて、同園と共同研究の提携を結んで花色や形態、土壌の分析を行って自生地の保護にあたっています。開花時期は梅雨に当たるので学生さんは大忙しですが日々、研究に熱中しています。近いうちに、今までになかったような新しい花色(スカイブルー)や、不良環境に強い品種が生まれるかもしれません。
![]() 調査風景 |
![]() 花の色を調べています |
![]() 近くの山麓で見られたモリアオガエルの卵塊 |
![]() 野生のノハナショウブには様々な花色の変異がある |