教員紹介

小金丸 倫隆 講師KOGANEMARU Michitaka

専攻分野
英語教育学、教育心理学、言語教師認知
研究課題
英語学習への動機づけ・エンゲージメントに関する研究、英語学習における学習者ビリーフの役割に関する研究、英語教師の動機づけ・ウェルビーイングに関する研究、小学校における英語学習による情意面への影響に関する研究

Q & A

主な著書・論文は?
著書
  • 『エンゲージメント×英語授業 「やる気」と「意欲」を引き出す授業のつくり方』(編著, 明治図書出版)
  • 『エンゲージメントを促す英語授業-やる気と行動をつなぐ新しい動機づけ概念』(分担執筆,大修館書店)
  • 文部科学省検定済教科書 高等学校外国語科用『APPLAUSE ENGLISH COMMUNICATION Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』(分担執筆,開隆堂出版)
  • 文部科学省検定済教科書 高等学校外国語科用『Amity English Communication Ⅰ・Ⅱ』(分担執筆,開隆堂出版)
論文
  • 小金丸倫隆 (2019). 「普通科高校におけるCLILの試み-学習観(ビリーフ)に注目して-」『英語授業研究学会紀要』27, 32-42.
  • 小金丸倫隆 (2014). 「定時制高校における英語学習にかかわる学習者要因-ビリーフと動機づけに注目して-」『EIKEN BULLETIN』26, 178-190.
担当授業は?
一年次セミナー 101・102、玉川の教育、Basic Academic English Skills A、Introduction to Language Studies、人文科学アカデミックスキルス(リーディング)、人文科学アカデミックスキルス(ライティング)、英語科指導法 I、英語科指導法 III、教職実践演習、Research Seminar A

研究紹介

英語学習の心理的側面:情意要因

英語学習を成功に導く要因とは何でしょうか。「教材の質の高さ」「先生の教え方の上手さ」「学習する環境の良さ」「先生の英語力の高さ」など、様々な要因が考えられます。それらの要因はいずれも重要ですが、私は特に、学習者の心理的側面である「情意要因」に焦点を当てて研究を行っています。情意要因の代表的な概念は「動機づけ(モチベーション)」です。学習者が口にする英語学習動機は、「外国の人々とコミュニケーションを取りたいから」「資格試験や入学試験のために英語力をつけたいから」「勉強しないといけない決まりだから」など様々です。しかし、そのように学習者が自らで認識できている動機は、その学習者が抱いている英語学習動機全体のほんの一部かもしれません。英語学習者は、意識的に、あるいは無意識的に、我々が想像する以上に複雑な形で動機づけられている可能性があります。

エンゲージメントを促す英語授業

「動機づけ」に関連する概念として近年注目を集めているのが、学習者による積極的な関与,参加,取り組みを表す「エンゲージメント」です。英語授業でタスクを完成させることに熱中したり、興味深い英文を読むことに集中したり、外国人と英語でコミュニケーションすることに夢中になったり、という経験はないでしょうか。このような「熱中・集中・夢中」こそ、エンゲージメントが高まっている状態と言えます。具体的に私の研究では、学習者のエンゲージメントの形成に関わる先行要因にはどのようなものがあるのか、英語授業において学習者のエンゲージメントを促すためにはどのような支援が必要なのか、そして学習者のエンゲージメントはどのようなアウトカムを生み出すのか、などのテーマを扱っています。

英語教師の動機づけ・ウェルビーイング

近年、教師の「働き方改革」として、様々な形で教師の業務効率化が進んでいます。多忙な教師の負担を軽減することは急務です。このような業務効率化により、多くの教師がより動機づけられて勤務できるようになることを期待します。一方で、業務効率化されることが常に教員を動機づけているのかと、疑問に思う時もあります。例えば現在、多くの英語授業でICTを活用した試験の採点が進んでおり、児童生徒のライティング回答も生成AIを用いて採点する方法が開発されつつあります。確かに試験の採点は英語教師にとって大きな負担であったことは間違いありません。一方で、児童生徒の答案を1枚1枚採点・添削しながら個々の学習状況を把握することで、教師は自らの実践の是非を詳細に振り返ることができました。このような教師の省察的実践が教師の成長を促し、教師を中長期的に動機づけていた面もあるかもしれません。
果たして、英語教師は何によって動機づけられているのでしょうか。そして、動機づけられた先にある英語教師の幸福(ウェルビーング)とは何なのでしょうか。これは、公立高校で英語教員を19年間務めた私にとって、ライフワークとも言うべき研究課題です。

ゼミガイド

ゼミの内容を一言でいうと?
  • 「英語教育学と教育心理学のブレンド」がテーマです。学習者の「情意要因」に注目しながら、より良い英語授業・英語学習とは何かを追求していきます。英語教育学や教育心理学の研究で扱われている、各種量的調査・質的調査の手法を学びながら、各自の興味関心に応じて研究を進め、卒業論文をまとめます。