教員紹介

村越 亮治 准教授MURAKOSHI Ryoji

専攻分野
英語教育学、英語授業学、英語教材論、英語教育評価論
研究課題
アクション・リサーチによる授業改善とその効果、日本の中学校・高等学校におけるシラバス・授業デザインと効果的な指導法・言語活動・教材・評価法、学校現場での若手教師へのメンタリングの効果、英語到達度指標CEFR-Jの授業への応用

Q & A

担当授業は?
英文法、英語科指導法Ⅱ、英語科指導法Ⅲ、英語科指導法Ⅳ、言語評価論、教職実践演習(中・高)、地域創生プロジェクトA・B

研究紹介

私の専門は英語教育学です。特に中学校・高等学校の英語授業について、様々な側面から研究をしてきました。また、学習者の現状やニーズに基づいて、論理的に授業を改善していくための現場型リサーチ(アクション・リサーチ)について、長年にわたり、自分自身で実践したり、リサーチ実践者に対する指導・助言を行ったりしてきました。さらに、日本人学習者のための英語能力到達度指標 CEFR-Jに基づくタスク・テスト開発、授業への応用方法などの研究にも携わっています。

マクロの視点・ミクロの視点でとらえた英語授業

英語授業では、まず、最終的に生徒たちは、それぞれの英語力を発揮してどのようなことができるようになるのか、すなわちどのような技能を身に付けることができるのかを明確にしておくことが大切です。そのような学習到達目標(CAN-DO)、それに基づくシラバス・単元指導計画といった、英語授業のマクロ面のあり方について研究を続けています。同時に、効果的な指導方法、言語活動、それらの流れや組み合わせ方、教材の作り方、支援のしかた、評価方法(定期テストの作成法、パフォーマンステストの作成・実施方法)といった、ミクロの視点での英語授業のあり方、授業デザインも研究対象としています。このような英語授業の進め方について、機会があるごとに、中学校・高等学校の先生方に助言をさせていただいたりしています。

アクション・リサーチの手法を用いた授業改善

自分の授業をより良いものにしたいという志は、プロの英語教師ならば誰もが持っていると思います。「今日の授業ではここがうまくいかなかったから、次のクラスではこうしてみよう」という工夫は、自然に行っていることでしょう。そのような授業改善を、より論理的に、システマティックに行っていくのがアクション・リサーチです。それぞれの英語教師が、自分の授業を振り返って生徒の課題を発見し、その課題に関する現状を事前調査によって把握し、指導期間内に到達可能な目標を設定したうえで、課題の解決のための手だてを考えて実行し、事後調査でその成果を検証して、達成度が低ければ新たな手だてを講じていく、というのがアクション・リサーチの基本的な流れです。さらに、リサーチの結果は、報告の形でまとめられ、何らかの方法で共有されることで、英語教師のコミュニティーの経験知として集積されることが望ましいとされています。「授業がどうもうまくいかない」「生徒の力が伸びていることを感じられない」という状況は、多かれ少なかれ、すべての英語教師がいつか直面するものだと思います。その時に、授業改善の方法を知っていれば、自分の力で道を切り開いていけますし、その取組が自分だけでなく、他の教師との共有財産にもなりうるのです。アクション・リサーチによる授業改善の過程で手だてを考える際に、文献研究や実践事例の参照を行うことで、英語教師としての「引き出し」が増えていくことも期待できます。これまで多くの先生方のアクション・リサーチを支援してきましたが、過去に行った研究では、リサーチのテーマと授業観察による授業評価、実践者による自己評価の間にポジティブな関連性が見られました。

長年、このようなアクション・リサーチに携わってきましたが、近年特に関心を持っているのは、アクション・リサーチの助言者=メンター(mentor)の育成です。初めて取り組むアクション・リサーチは孤独な作業です。正しいルートがわからないこともあります。また「引き出し」に何も入っていなければ、効果的な手だてを捻りだすことは難しいでしょう。そこでカギになるのは、メンターの存在です。リサーチの各ステージで助言を行って、実践者が授業改善のレールから外れないようにするのがメンターの役割ですが、特に、最も重要な「手だて」について、課題解決に寄与するものになっているかを客観的にチェックできるスキルが求められます。若手教師の授業改善を支えるメンター的教師が学校現場にいれば、初めは個々の取組であるリサーチが英語科全体の授業改善につながることも可能でしょう。そのようなメンター育成のためには、どのような介入が効果的であるかを研究することで、組織的授業改善のためのメンタリング・モデルを提案できることを目指しています。

英語能力到達度指標CEFR-Jにかかわる研究

CEFR-Jは、文部科学省の外国語教育施策の大きな礎となっており、様々な言語テストや教材開発にも活用されています。そのCEFR-Jの各レベルでの指導タスク・テストの開発、CEFR-Jに基づくCAN-DOタスク中心の指導・評価の研究に携わってきました。また、関連する研究として、生徒によるCEFR-Jを使った英語能力の自己評価にかかわる調査、CEFR-Jの元となっているCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)の基準特性に基づく学習者産出言語の分析なども行っています。

ゼミガイド

真のプロ教師を目指して、英語の授業を徹底分析します

Keyword
  • 英語教授法
  • 授業デザイン
  • 授業改善
ゼミの内容を一言でいうと?
  • 英語の授業を徹底的に解剖し、そのさまざまな要素について研究します。例えば、学習到達目標、指導計画、指導方法、言語活動、教材、テスト、データの分析、学習動機、教師のbelief、授業における教師の言動 生徒のニーズ・達成感、授業改善の方法…などなどです。
ゼミの自慢は?

英語教師(中学校・高等学校、小学校、英会話学校など)を目指す人たちが集まっています。学校現場や教育行政機関とのつながりによって、教師・生徒への調査や授業見学など様々な面での研究協力が得られます。授業分析や授業改善の方法、統計学的データ分析の手法なども学修できます。

PICK UP

裏目標は、「授業の課題を認識し、客観的分析と的確な改善策によって、より良い授業実践を追い求める、 “Teacher as a Researcher”としての第一歩を踏み出すこと」です。