Primary Division 1年生による聖山労作
― 森を守り、森を活かし、未来へつなぐ学び ―
午前の部 森で学んだことを、言葉と手で確かめる
はじまり 学びをふり返る時間
午前の部は、K-12経塚校舎東ホールに全員が集まることから始まりました。
ここで廻谷先生から、みんなをサポートしてくれる、農学部山﨑旬教授と農学部生と教育学部市川直子教授と教育学部生が紹介されました。その後、1年生が積み重ねてきた学びについて、子どもたちへの語りかけがありました。
「1学期、みんなは森を守るためにヒノキの剥皮間伐をしましたね。
その森を活かすために、ヒノキの皮を使って草木染めもしました。
そして、2学期のある秋の日、今度は森を守るために落ちている枝を拾い集めました。
細い枝は、森を活かすためにリースの土台にすることにしました。
使わなかった太い枝は炭にして、森を元気にするために使ってもらいます。
これが、今までみんながやってきたことだよね?」
子どもたちはうなずきながら、丘めぐりから始まった自分たちの体験を思い返していました。
続いて廻谷先生は、この日の特別な意味について語りかけました。
「今日は、みんながずっと楽しみにしていた日ですね。12月12日。“1・2・1・2(いち・に・いち・に)の日”です。みんなは、この日に聖山労作があることを、『1・2・1・2の日だよ』って覚えていましたね。」
そして、今日一日の流れが伝えられました。
「今日は、午前中にリースを仕上げましょう。そして、未来の森のために、市川ゼミの学生と一緒にドングリの種を植えます。丘めぐりをした時にドングリから芽が出ていることに気づいたので、植えてみたいなと思っていましたね。今日はその夢が叶います。午後は聖山へ行き、山﨑先生に教わりながら、クラスで一本ずつ木を植えます。そのあとには、炭をまいて、木が元気に育つようにしましょう。
5月は木を減らして森を明るくするために剥皮間伐をしましたが、今日は木を増やすために植えるんですよ。」
リースづくり ── 森を「美術館」にする
午前中は、「森の美術館をつくろう」をテーマにしたリースづくりを行いました。
事前に森で拾い集めた枝で作ったリースの土台に、学内で集めたドングリや松ぼっくりなどの木の実、クラスによってはドライフラワーにした素材を使い、子どもたちは自由に飾り付けをしていきました。
当初は聖山で制作する予定でしたが、当日は風が強かったため、活動場所は教室内に変更。
それでも子どもたちは、森で感じたことを思い出しながら、集中して作品づくりに取り組んでいました。
制作には、農学部の山﨑旬教授と学生、教育学部の市川教授と学生が参加し、学部や年代を超えて学びを支えるワンキャンパスならではの学習環境が広がりました。
ドングリの種を植える 未来の森への第一歩
リースづくりと並行して、市川ゼミの学生のサポートのもと、クラスごとにドングリの種を植木鉢のポットに植える活動が行われました。
学生からは、「ドングリのなる木は22種類あり、そのうち9種類が玉川学園にあること」が紹介され、子どもたちは将来も学園に緑が残るよう願いを込めて、シラカシやクヌギなどの名前を書いた札を自分たちで作り、ポットに添えました。
リース展示 想いを込めてキャンパスへ
完成したリースは、一人ひとりが作品を手に写真撮影を行い、プリント後にパウチ加工。
礼拝堂へ上がる階段脇に飾り付けられました。
この展示には、翌日が國芳先生の命日であること、そしてクリスマス礼拝に訪れる学友会の皆さんをお迎えするという想いが込められています。
午後の部 聖山でつながる「過去・現在・未来」
聖山の歴史を知る 校歌が生まれた場所で
昼食後、Primary Division 1年生は聖山へ向かいました。
頂上で廻谷先生は、子どもたちに問いかけます。
「聖山で生まれたものって、なんだったかな?」
「玉川学園の校歌!」
元気な声が、冬の澄んだ空気の中に響きました。
先生が校歌の出だし「空高く 野路は遥けし──」と口ずさむと、子どもたちは自然と青空を見上げます。
96年の歴史をもつ聖山が、玉川教育の原点であり、世代を超えて守られてきた大切な場所であることを、子どもたちは肌で感じていました。
植樹 未来に託す4本の苗木
続いて、農学部 山﨑旬教授による植樹の指導が行われました。
この日植えたのは、モミジ、ムクロジ、トチノキ、カナダピンオークの4種類。
1クラスにつき1本ずつ、未来の聖山を形づくる苗木です。
子どもたちは土を入れて高さを調整し、苗木をそっと置き、順番に土をかぶせていきました。
「がんばっておおきくなってね」
「卒業するまでに、どれくらい伸びるかな」
苗木は、子どもたちの願いに包まれながら、聖山の一部として根を下ろしました。最後に、クラス名が刻まれた木製プレートを取り付け、植樹が完了しました。
炭まき ── 森へ還る、学びの循環
植樹の後は、農学部 友常准教授とともに炭まきを行いました。
使用した炭は、11月に1年生が拾い集めた枝と、剥皮間伐で出たヒノキの皮を農学部で炭化したものです。
「炭は土を元気にしてくれます。みんなが拾った枝も、こうして森の力になるんですよ。」
子どもたちは炭を手に、そっと土の上にまきました。自分たちの行動が、確かに森の未来につながっていることを感じる時間となりました。
校歌 森とともに声を合わせて
すべての活動を終え、子どもたちは聖山の頂上で円になり、冬の冷たい風の中、玉川学園校歌を歌いました。
5月、森の大きさに圧倒されていた1年生が、12月には森の担い手としてこの場所に立っている。
その姿からは、自然とともに学び、行動し、責任を引き受ける確かな成長が感じられました。
5月から12月へ 森とともに育ったPrimary Division 1年生
剥皮間伐で 「森を知り」、
草木染めで 「森を感じ」、
枝拾いと炭づくりで 「森を守り」、
聖山労作で 「森を育てた」 Primary Division 1年生。
拾い、活かし、循環させ、未来へつなぐ。
その一つひとつの体験は、
「森を守り、木を活かし、人を育てる」玉川学園の教育理念そのものです。
2025年12月12日、
“1・2・1・2”の日に行われた聖山労作は、
子どもたちと森との関係が、確かに結ばれた一日となりました。
