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お知らせ

小学部の三本杉に見る玉川学園の「自然の尊重」

学内イベント

玉川大学 教育学部 市川ゼミがコスモス祭で「自然の循環」をテーマに展示とワークショップを開催

2025年11月8日(土)・9日(日)に開催された玉川大学コスモス祭で、教育学部 市川ゼミが「しぜんだいすき★あつまれ!」と題した展示・ワークショップをELF Study Hall 2015にて行いました。テーマは「たまがわの丘の木と人、自然の循環」。玉川学園に息づく自然の魅力を、見る・触れる・感じる体験を通して紹介しました。

玉川学園の歴史とともに歩んだヒマラヤスギ

展示の中心には、今年伐採された小学部校舎前の3本のヒマラヤスギ。断面を実寸大で印刷したタペストリーには、1921年小原國芳が「全人教育」を提要したことから始まる玉川学園の歩みが、樹齢85年以上のヒマラヤスギの年輪に重ね合わされていました。
年輪を眺めながら訪れた方々は玉川の歴史、そして自分自身の思い出を重ねるように静かに見入っていらしたのが印象的でした。

木を見て・触れて・感じる体験

展示会場の一角には、学内で間伐された様々な樹木の輪切り(断面)が解説パネルと木材サンプルと共にズラリと並べられていました。実際に手に取ることができるため、香りをかぎ、重さを感じ、色の違いや触感を確認するなど、樹種ごとの違いを五感で体験。木が生きてきた時間の重みを感じ取るひとときとなりました。

未来へつなぐ「ドングリの苗」

視線を転じてみると、植木鉢とズラリと並んだ苗木のポットが目に飛び込みます。市川ゼミでは、日本に自生するドングリ、全22種類を玉川の丘に植樹することを目標に、玉川の丘をはじめ、全国からドングリを集め、種から苗を育てています。集めたドングリがすべてうまく発芽し、苗に成長する訳ではなく、また自然を相手にしていることから、その活動は年単位で進められています。市川直子教授は、「玉川の丘に日本で生息する全22種類のドングリを玉川っ子達が拾い、集め、学べる環境を整えることで、子どもたちが大好きな存在であるドングリを通して、「自然の尊重」を自ら学ぶことができたらと考えています。大好きな学校に、玉川学園で種から育てた日本に自生するドングリ22種類すべてあるなんて、ワクワクしませんか。きっともっと楽しい玉川の丘になると思いますし、先人たちから受け継いだ玉川の丘を未来へ継ぐ取り組みとして使命感を持って長い目で取り組んでいきたいと考えています」と話します。

三本杉の思い出を「木の年輪はんこ」に

ワークショップでは、「木の年輪はんこ」を使った体験が人気を集めました。 一昨年に好評だったこのワークショップで今年使用されたのは、2025年初夏に伐採された小学部のシンボルツリーである三本杉。三本杉をはんこ用に加工した木材を金属ブラシを使って夏目の柔らかい部分を削り、冬目を残して浮かび上がらせた年輪の「手作りはんこ」を作り、参加者は自分だけのオリジナル・エコバッグを制作。木のぬくもりと時間の流れを感じる作品づくりとなりました。

命の循環 ― カブトムシの幼虫観察

展示の中央には黒土の入った大きなボックスが設置され、その中にはカブトムシの幼虫がたくさん棲んでいました。
子どもたちは軍手をはめ、土を掘りながら幼虫の姿を観察。「木が土に還り、虫たちの命を育む」という、自然の循環を体感できる貴重な学びの場となりました。

自然とともに生きる学びの循環

ヒマラヤスギの年輪を通して玉川学園の歴史を見つめ、ドングリを育てて今を未来へ繋ぎ、カブトムシの命に自然の尊さを感じ、伐採された木は大切に活用しています。
木を育てること、切ること、そして見守ること。すべてが「循環」の中にあり、玉川学園の「自然の尊重」に繋がります。
市川ゼミの活動は、こうした自然と人の共生の学びを実体験を通して次の世代へと受け継いでいます。