古座川町の高池保育所で玉川大学と保育士が保育について意見交換を実施しました
2026年3月9日・10日、玉川大学教育学部乳幼児発達学科の 岩田恵子教授、宮﨑豊教授、仁藤喜久子准教授が和歌山県の古座川町を訪問しました。
古座川町は和歌山県南部に位置し、日本有数の清流として知られる古座川が流れる自然豊かな地域です。町の多くを森林が占め、川と山が織りなす美しい景観が広がっています。
こうした環境は、子どもたちが日常の中で自然と触れ合いながら成長することができる貴重な学びの場となっています。
学校法人玉川学園と古座川町は2015年6月29日に包括連携に関する協定を締結しており、教育や地域交流などさまざまな分野で連携を進めています。今回の訪問は、今後さらなる連携強化の方法を模索することを目的として実施されました。
保育について意見交換
3月9日には、高池保育所の保育士6名と、岩田恵子教授、宮﨑豊教授、仁藤喜久子准教授による意見交換の場が設けられ、古座川町における保育について話し合いが行われました。
話し合いは、岩田教授が中心となって進められ、現場の保育士が日頃感じている課題や子どもたちの様子、地域ならではの保育環境について意見が出されました。また、宮﨑教授がさらに別の視点から問いかけや意見を加えることで議論が広がり、参加者同士の話題も活性化していきました。
話し合いの中では、地域の子どもの数が減少していることにより、子ども同士が集団で遊ぶ機会が少なくなり、遊びの広がりや経験の共有が難しくなっている現状などが紹介されました。一方で、保育士からは、子どもの人数が少ない状況であっても、子どもたち一人ひとりの興味や「やってみたい」という気持ちを大切にしながら、できる限り遊びを実現していきたいという思いも語られました。
参加者はそれぞれの考えや事例を用紙に「ウェブ」の形で書き出しながら整理し、古座川町の保育の現状や可能性について意見を交わしました。大学教員と現場の保育士が互いの視点を共有することで、地域の自然環境や子どもたちの生活に根ざした保育のあり方について理解を深める機会となりました。
ネイチャーゲームを実施
3月10日には高池保育所の園児13名を対象に、仁藤喜久子准教授によるネイチャーゲーム「森のがっこう」が実施されました。
室内での導入 ― 木の音や香りで五感をひらく
ネイチャーゲームは、まず保育所の建物内での説明から始まりました。その後、いつも子どもたちが歩いている散歩コースに出かけ、最後に再び保育所に戻って活動をまとめるという流れで行われます。
仁藤准教授が自己紹介をすると、少し緊張した様子の子どもたちに向けて、30センチほどの木の角棒を4本取り出しました。これは、玉川大学キャンパスに生えている木から作られたもので、樹種はカシ、ケヤキ、ヒマラヤスギ、サクラの4種類です。
「形や大きさは同じだけど、叩いてみると音が違うよ」
仁藤准教授が木を叩いて音を聞かせると、子どもたちは興味津々で耳を傾けます。
「このあたりにたくさん生えている杉はどの音かな?」、「重さはどうかな?」「匂いはするかな?」と問いかけると、子どもたちは木を持ってみたり、顔を近づけたりしながら違いを感じ取ろうとしていました。
さらに、カラスやアヒルの鳴き声のする笛を吹くと、子どもたちは一斉に笑顔になり、場の空気がやわらいでいきました。
また、仁藤准教授は町田市の生き物カルタを見せながら、「玉川大学のある町田市では、このカルタに描かれているバッタなどの生き物がたくさんいます。みんなの周りにはどんな生き物がいるかな?あとで教えてね」と話し、子どもたちが身近な自然に目を向けるきっかけを作りました。
散歩コースで「フィールドビンゴ」
その後、子どもたちは靴に履き替え、いつもの散歩コースへ出かけました。
普段歩いている道も、注意して見てみるとどんな発見があるのか、子どもたちはわくわくした様子です。
一人ひとりに配られたのは「フィールドビンゴ」というカードです。カードには
- きのこ
- あり
- きのみ
- いいにおい
- ふわふわするもの
- たべあと
- くものす
- ちくちくするもの
- とりのこえ
などの項目が書かれており、これらを見つけていくゲームです。
外に出るとすぐに鳥のさえずりが聞こえてきました。子どもたちは耳を澄ませて、どこから声が聞こえるのか探します。



八坂神社で形探しゲーム
散歩を続けると、近くにある八坂神社に到着しました。
ここでは次のゲームが始まりました。
「丸、四角、ハートの形をしたものを探して集めてください。石でも葉っぱでも、なんでもいいですよ」
はじめは「ハートの形なんてあるのかな?」と探していた子どもたちですが、やがてハート型の葉っぱや丸い石などを見つけると大喜びです。
見つけたものを友達同士で見せ合ったり、先生に見せに行ったりしながら楽しんでいました。
草原で「長いもの」を探す
八坂神社を出て広い草むらに出ると、仁藤准教授は赤、黄色、肌色の3枚の紙を掲げて「どの色がいいですか?」と質問しました。
保育所の先生が「肌色」と答えると、折り畳まれていた紙を広げると中には「長いもの」と書かれていました。
「それでは長いものを見つけてきてください!」と仁藤准教授が言います。
その言葉と同時に、子どもたちは広い草むらを勢いよく走り出しました。そして長い木の枝を見つけては、仁藤准教授のところへ持ってきます。集まった枝を並べて、「どれが一番長いかな?」とみんなで比べました。とてもシンプルな遊びですが、子どもたちは夢中になって取り組んでいました。
保育所に戻って葉っぱアート
保育所に戻ると、今度は制作活動の時間です。
散歩の途中で集めた葉っぱを使って、猫の形のカードを作ります。
配られたカードは猫の形に切り抜かれており、下には黒い紙が貼られているため、最初は全員が黒猫です。
切り抜かれた部分に、拾ってきた葉っぱをテープで貼っていくことで、猫を変身させていきます。
作業が始まると、子どもたちは拾った葉っぱを何枚も重ねながら工夫して貼っていきました。緑、赤、黄色、茶色など、葉っぱの色を活かしてグラデーションのように仕上げる子もいました。「かっこいい猫」「かわいい猫」など、それぞれ個性のある作品が完成しました。
このころには、はじめは緊張していた子どもたちもすっかり打ち解け、自分の作品を自信満々に見せてくれました。



子どもたちの感想
最後に年長の子どもたち3人に感想を聞くと、
- 「葉っぱ集めがたのしかった」
- 「歩くのが楽しかった」
- 「長いものを探すのが楽しかった」
と話してくれました。
ネイチャーゲーム終了後には、持参したカシ、ケヤキ、ヒマラヤスギ、サクラの木の角棒を交代で叩き、木によって音が違うことを改めて体験しました。
自然豊かな 古座川町 の環境の中で行われた今回のネイチャーゲームは、子どもたちが五感を使って身近な自然に親しむ貴重な機会となりました。
玉川大学では、今後も地域との連携を通して、自然環境を活かした体験的な学びや保育活動を進めていく予定です。

出典:日本シェアリングネイチャー協会
「フィールドビンゴKカード」
「着せ替え猫」
