自然の尊重をかたちに ― 野草園再生に挑む学生たち ―
玉川大学には、生物の調査研究等を主な活動としている文化会所属のクラブ「生物自然研究部(1967年創部)」があり、学内では通称「なまけん」の名で広く知られています。
今回、その学生たちが目を向けたのは、学内にある「野草園」でした。
「野草園」は、豊かな自然環境を活用した教育・観察の場です。創立以来掲げられている「自然の尊重」の理念に基づき、多様な野草や植物が保全されています。
かつては学生の学びの場として活用されていたこの場所も、新型コロナウイルスの影響などにより人の立ち入りが減り、次第に手入れが行き届かない状態となっていました。
「もう一度、この場所を学びの場として取り戻したい」
そんな思いを抱いた学生たちは、学生支援センターへ相談。Tamagawa Mokurin Projectとの連携のもと、自らの手で野草園の環境整備に取り組むことを決意しました。
玉川学園が創立以来大切にしてきた「自然の尊重」。その理念を、学生自身の行動で体現する挑戦が始まりました。
*野草園 労作前の状況
野草園整備の取り組み
木製階段の設置
野草園は谷戸地形に位置しており、アクセスのしづらさが課題でした。
学生たちはまず、園内へ安全に入れるよう木製階段の設置に取り組みました。使用したのは、学内で間伐されたヒマラヤスギ。支柱には単管を用い、土をならしながら、一段ずつ丁寧に形にしていきました。
慣れない作業に苦労しながらも、少しずつ形になっていく階段は、彼らにとって確かな手応えとなりました。
*階段の整備状況
木材の運搬・整理
園内には、ナラ枯れの影響で伐採された樹木が残されていました。放置すれば腐食やスズメバチの営巣といったリスクもあり、研究活動への支障が懸念されていました。
そのため、造園業者の協力を得て木材を輪切りに加工し、学生たち自身の手で運搬・整理を行いました。
重い木材を何度も運ぶ作業は決して楽ではありませんが、環境を守るための大切な一歩となりました。
園内通路の再整備
かつて整備されていた園内の通路も、支柱やロープの老朽化が進んでいました。
学生たちは新たに単管を打ち込み、ロープを設置。安全に歩ける通路を再びつくり上げました。人が通れる道が戻ることで、野草園は少しずつ本来の姿を取り戻していきます。
間伐による環境改善
園内では実生木が密集し、林床に光が届きにくい状態となっていました。
植物の成長には光が欠かせません。学生たちは樹木の間隔を整える間伐を行い、林床に光が差し込む環境づくりに取り組みました。
手を入れることで、自然の循環が再び動き出していきます。
自らの手で、未来へつなぐ
今回の野草園整備は、「自分たちの学びの場を、自分たちの手で守りたい」という思いから始まりました。
それは、現在の活動のためだけでなく、将来この学園で学ぶ後輩たちのためでもあります。自然と向き合い、その価値を守り続けていこうとする姿勢は、玉川学園の教育理念を体現するものといえるでしょう。
この取り組みは今後も生物資源研究部の中で受け継がれ、学生と学園にとって貴重な環境が維持されていくことが期待されます。
学生たちの挑戦は、まだ始まったばかりです。
写真左から
農学部 環境農学科4年 赤星 祐美さん
農学部 生産農学科2年 須田 啓太さん
農学部 生産農学科4年 守屋 大地さん
農学部 生産農学科2年 石田 桂介さん
農学部 先端食農学科3年 柴崎 森音さん
学生達の感想
- 農学部 生産農学科 3年 守屋 大地
私が初めて野草園管理に参加したのは一昨年のことでした。当時は野草園の管理が途絶えており、荒れ放題の状況でした。しかし、先輩方の尽力によって管理が再開され、私もその活動に参加することとなりました。
活動は、道を遮っていた笹を刈り取るところから始まり、柵内の整備、階段や柵の修繕へと進み、これらを3年度にわたって行ってきました。野草園を再び学びの場として活用したいという意志に共感し、その思いを引き継ぐことで、ここまで整備を進めることができました。
また、道具を貸してくださった農場棟の先生方、笹の処理を手伝ってくださった環境農学科友常ゼミの皆様、活動を支えてくださった学生支援センター、玉川学園管財課、玉川Eサポートの皆様、そして管理を手伝ってくれた部員の皆様など、多くの方々の支えによって、ここまで野草園を整備することができました。
来年度からは野草園管理を後輩たちに引き継ぐこととなります。私が先輩方から受け継いだ「学びの場として活用する」という意志が、今後の代にも受け継がれ、野草園の管理や利用を通して多くの学びが生まれることを願っています。 - 農学部 先端食農学科 2年 柴崎 森音
草刈りや重い丸太の運搬など大変な作業も多くありましたが、荒れていた野草園が自分たちの手で再生していく過程には大きな喜びと達成感がありました。この場所を未来の学びの場として繋いでいけるよう、これからも大切に管理を続けていきたいと思います。
