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お知らせ

多摩産材が学生たちの学びの場へ ― Student COMMONS 木構造体製品検査を実施しました ―

木を活用する

Student COMMONSを支える木造建築

2026年5月18日、埼玉県本庄市にある株式会社篠原商店 本庄児玉工場にて、建設が進む「Student COMMONS」の木構造体製品検査を実施しました。

Student COMMONSは、学生たちが集い、交流し、新たな学びや活動が生まれる拠点として整備が進められている施設です。学生同士のコミュニケーションや自主的な活動を促進する空間として計画されており、玉川大学における新たな学びの象徴となる建物です。

この建物は、設計を(株)久米設計、施工を西松建設(株)が担当し、木構造部分については木造建築を専門とする(株)シェルターが担当しています。また、今回工場検査を実施した(株)篠原商店 本庄児玉工場では、多摩産材をレシプロカル構造として活用できるよう、高精度な木材加工が行われています。

屋根部分には、木材同士が互いに支え合う「レシプロカル構造」が採用されています。レシプロカル構造とは、大きな梁や柱だけに頼らず、木材を組み合わせながら広い空間をつくる構造形式です。木材が放射状に組み合わさることで、木造ならではの温かみとダイナミックな空間を両立できる点が特徴です。

木材の品質を確認する工場検査

今回の工場検査では、実際に加工された構造材について、含水率検査、ヤング係数確認、外観検査、寸法検査を実施し、設計図通りに製作されているかを確認しました。

木材は自然素材であり、一つとして同じものはありません。そのため、同じ樹種であっても、乾燥状態や木目、節の位置、反り方などが異なります。木造建築では、それらの特性を理解しながら加工や品質管理を行う必要があります。特に今回のようなレシプロカル構造では、木材同士が複雑に組み合わさるため、高い加工精度が求められます。


本学の木材加工をするドイツ製の加工機(フンデガー製)

工場内では、大型加工機による高精度なプレカット加工が行われていました。加工前には一本一本の木材状態を確認し、加工後も寸法や孔位置などを細かくチェックしながら製作が進められていました。現場では、担当者の方々が図面を確認しながら丁寧に作業を進めており、安全で高品質な木造建築を支える技術力の高さを感じることができました。


寸法検査中の様子

ボルト穴の検査

木材含水率検査

接続金物取付確認

東京の森林から生まれる「多摩産材」

今回使用されている構造用製材には、東京都産材である「多摩産材」のスギ材が使用されています。多摩産材とは、東京都の多摩地域で育った木材のことで、東京の森林資源を活用した国産材です。東京というと都市のイメージが強いですが、東京都の約4割は森林であり、多摩地域には豊かな森林が広がっています。

多摩産材の特徴は、「都市に近い木材」であることです。森林から建築までの距離が比較的近く、地域の森林資源を都市部で活用できる点が大きな特徴です。輸送距離を抑えることができるため、環境負荷低減にもつながります。また、多摩産材を利用することは、地域の林業や森林整備を支えることにもつながっています。

スギ材は比較的軽く、加工しやすい特徴があり、木造建築に幅広く利用されています。さらに、木目や香りなど、木ならではの温かみを感じられる点も魅力です。今回のようなレシプロカル構造では、スギ材の加工性や軽さが活かされており、木材同士を組み合わせながら大空間をつくり出しています。

森から建築へつながる木材の循環

木材利用というと、「どこの山の木なのか」という点に注目されることがあります。しかし実際の木材流通では、安定供給や品質確保のために、原木市場を経由して流通するケースが一般的です。今回のStudent COMMONSでも、多摩地域を中心とした国産スギ材が調達され、製材、乾燥、加工という多くの工程を経て建築材料となっています。

Tamagawa Mokurin Projectでは、単に木を使った建築をつくるだけではなく、森林で育った木が、人の手や技術によって建築へと生まれ変わり、学生たちの学びや交流を支える空間となっていく“木の循環”そのものを大切にしています。

木材は、植えて終わりではありません。森林を健全に維持するためには、適切な時期に木を伐採し、使い、そして再び植えて育てる循環が必要になります。木を使うことは森林を減らすことではなく、適切な森林循環を支えることにもつながっています。

木造建築とCO2固定

木は成長する過程で空気中のCO2を吸収しており、木造建築はその炭素を建物内に長期間固定する役割も持っています。Student COMMONSでは22㎥のスギ材を構造材として使用しており、約13tのCO2を建物内に固定していることになります

これは、木造建築が単なる建築材料ではなく、環境負荷低減にも貢献する建築であることを示しています。近年では、脱炭素社会の実現に向けて木造建築への注目が高まっていますが、Student COMMONSもまた、国産材を活用しながら環境と共生する建築の一つとなっています。

多くの人の技術と想いがつながる建築

今回の工場検査を通じて、木造建築が多くの人々の技術や想いによって支えられていることを改めて実感しました。森林で木を育てる人、木を伐採する人、製材する人、乾燥や加工を行う人、設計する人、施工する人など、多くの人の仕事がつながることで、一つの建築が完成していきます。

Student COMMONSは、学生たちが利用する施設であると同時に、森林資源や木材利用、地域循環、環境共生について学ぶことができる“生きた教材”としての役割も担っています。建物を利用する学生たちが、普段何気なく触れている木材が、どこで育ち、どのような工程を経て建築となっているのかを知ることは、環境や地域社会について考えるきっかけにもなります。

Tamagawa Mokurin Projectでは、今後も多摩産材や国産材を活用した取り組みを通じて、「森から学びへ」つながる木材循環の活動を発信していきます。