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お知らせ

木に触れ、木から考え、木を表現する 芸術学部「彫刻基礎」で生まれた、TWSSの木材を活用したモビール作品

木を活用する

玉川大学芸術学部で開講された春セメスターの授業「彫刻基礎」(担当:林三雄先生)で、キャンパスの木材を活用したモビール制作が行われました。

今回の授業では、「Tamagawa Mokurin Project」と、キャンパス内で伐採・管理された木材を低温乾燥し、教育・研究・創作などさまざまな用途への活用につなげている「Tamagawa Wood Seasoning Station(TWSS)」が連携しました。
「彫刻基礎」は、立体表現の基本素材や技法(粘土、木、石など)に触れ、造形における形や空間のとらえ方を実践的に学ぶ科目です。

彫刻というと、石や木を削り、ひとつの形をつくり上げていくことをイメージするかもしれません。しかし、立体表現には、素材の選択、形、重さ、動き、空間との関係など、さまざまな要素があります。
今回の課題では、そうした立体表現の一つとして「モビール」を題材にしました。
モビールは、重力や風、素材の重さやバランスによって動きが生まれる作品です。
「何をつくるか」だけでなく、「素材がどのように動くのか」「空間の中でどのように見えるのか」「光や音とどのような関係をつくるのか」。
学生たちは、こうしたことを考えながら、それぞれの作品を制作しました。

TWSSで「木に触れる」ことから制作が始まりました

制作に先立ち、学生たちはTWSSを訪問しました。
実際に木材を手に取り、木の表情や質感、重さ、形などを確かめながら、作品のイメージを膨らませていきました。

木材が保管されているTWSSの様子

林先生からは、「TWSSをお訪ねして実際に木を触ることで、学生たちの制作意欲の大きな刺激になりました」とのコメントをいただいています。
今回の課題では、モビールの材料として「木を使う」ことを基本としながらも、学生によって木材の使い方はさまざま。
木材を積極的に作品の中心に据えた学生もいれば、他の素材と組み合わせたり、TWSS以外から材料を入手した学生もいました。
制作を進める中で「木という素材のおもしろさ」に気づいた学生もいたそうです。素材を知ることから、表現が生まれる。実際に木に触れた経験が、それぞれの作品づくりにつながりました。


最終回の授業で展示・撮影・講評会の様子

学生作品紹介

今回制作された作品の中から、10作品をご紹介します。

01 『騒々(じゃんがらじゃんがら)』

宇都宮 空良(1年)

⽊材、針⾦、ロープを使⽤し針⾦の⾳で祭り特有の騒がしさを表現しました。モチーフは提灯ですが、⽊の素材そのものを全⾯に押し出して荒々しさを出すことで神輿や⼈々の動きも表現しています。

02 『浮遊するものたち(ふわふわ)』

原田 悠叶(1年)

全体的に軽量な素材を使⽤し、雲の軽さとUFOが浮遊していることを表現しました。UFOに加えて雲を吊り下げることでUFOが上空で浮いている⾵に⾒えるようにしています。さらに、雲はUFOよりも動きやすい構造にすることで実際の雲の軽さが感じられるようなっています。
UFOを回転させるために、⽷を使⽤してモビールを回転させやすいようにしました。飾ることで周囲の空気に柔らか、穏やかな空気をもたらすモビールとなっています。

03 『アロサウルスの化石(カタカタ・コトカタカタコト)』

原 広太朗(1年)

彫刻と針金で恐竜の化石を表現した。
恐ろしい恐竜ではなく、愛おしい恐竜を作成した。
頭蓋骨や足、骨盤はバルサの木を、表面を荒く彫り、化石を表現した。肋骨や尾椎は頭蓋骨の明るい色と反対に、暗い黒色の針金にした。また、肋骨や尾椎は、インパクトを与えるためにカラフルな輪ゴムで固定した。動きは顔が左右に揺れると体も後を付いてくるように、また、尻尾の上の針金を下に引っ張ると体が上下に動くように設計した。

04 『雨のしずく(しとしと)』

讃井 麻亜咲(1年)

木材の温もりを用いて、静かに降る雨の様子を表現した立体作品。
「くねくね」とした木棒と、先端の水滴の形が、わずかな風や空気の動きで繊細に揺れ動く。V_字のグラデーションは、空間に落ちる雨のしずくの軌跡と静けさを引き立てる。
光を受けて壁や床に映る影も作品の一部となり、空間に柔らかな表情と時間の流れをもたらす。

05 『未完成のページから~「パラパラ」~』

藤田 琉夏(1年)

絵本から飛び出した未完成の船をモチーフにしたモビールです。舵を持たない未完成の船体は、進む方向を決めきれず迷う私たち自身を表現。対となる燃えた本と正方形の紙の束は、模倣ではなく自分らしさを模索する象徴です。レジンの葉が魅せる美しさや、風や人間からの刺激を受けて静かに回り続ける姿には、未熟さや迷いを抱えながらも自由に未来へと揺れ、自分だけの航路を探して進んでいく私たちの思いを重ねてます。

06 『さまよう(そよそよ)』

水野 桜音(1年)

⽊材、シナの⽊を削り⾵が渦を巻いている動きをそのまま形に表現。
し、テグスで吊るしました。上部の輪は、全体のデザインの⾯でも、機能的な⾯でもバランスをとっています。⾵や⼿が触れるとゆっくりと回るような仕組みになっています。粘⼟は取り外し可能でバランスを取る役割です。
滑らかな⾵の動きを表現するにはもっと彫刻⼑で削ることが必要だったという点と、モビールとしての役割がなっていなかった点が反省点でもあり悔しいです。

07 『KODAMA(ざわざわ)』

佐藤 南風(4年)

森を歩きながら拾い集めた枝に毛糸を巻き、ゴッズアイの形をもとに構成したモビール。
ネアリカやモラに見られる鮮やかな色彩を取り入れ、風に揺れるたび「ざわざわ」と目に見えない精霊たちがざわめく森の気配を表した。朽ちた枝に再び命と祈りを宿すことを目指した。

08 『星の調律(ふわふわ)』

進藤 泰志(4年)

木の温もりと自然素材を用いて、宇宙に浮かぶ星や惑星を表現しました。異なる大きさや形をバランスよく吊るすことで、重力のない宇宙空間を漂うような動きを生み出しています。
風を受けるたびに「ゆらきら」と静かに揺れ、星々がゆっくりと公転しているような情景を感じられる作品です。自然素材と宇宙という対照的な要素を組み合わせ、穏やかで幻想的な世界観を目指しました。

09 『くりゅいんくる(くるくる)』

高橋 馨蓮(4年)

主に金属と土台に木材を用いて、くるくる回る仕組みを作りました。てっぺんにバレリーナを模したクラフトを取り付けて回転するバレリーナを表現しました。また、ベアリングを使用して動きをできるだけ滑らかになるよう工夫しました。回転する部分を複数個作ることで、回転と共にオブジェクト全体が開いたり閉じたりしているよう見せています。指で突くか、オブジェクト を手に持って揺らすことで不規則に回転します。

10 『行き合いの空(さらさら)』

深澤 恵奈(4年)

木材、針金、カラークリアファイル、紐を用いて、短冊が揺れる笹の葉をイメージした卓上モビールを制作した。短冊には実際に願い事や欲しいもの、やりたいことを書き込めるようにし、鑑賞者が作品と関わることができる。半透明の素材を重ねることで、光を受けて色が移り変わり、見る角度によって異なる表情を楽しめる作品を目指した。

木材との出会いが、新しい表現を生み出す

今回の授業では、同じ「木」という素材を使いながらも、学生一人ひとりが異なる表現を生み出しました。

音を生み出す木。風を受けて動く木。光と影をつくる木。宇宙や雨、森、祭り、恐竜など、さまざまなイメージを表現する木。そこには、木材そのものの性質だけでなく、学生が木に触れ、観察し、試行錯誤する中で見つけた「素材のおもしろさ」が表れています。
林先生からも、「作りながら材料の面白さに気づいた学生もいました」とのお話をいただきました。

これは、本学が大切にしている「木を活用する」ということの、ひとつの姿でもあります。これからもキャンパスの木をさまざまな教育活動につなげながら、木を通じた学びと創造の場が広げていきます。