春名教授のワンポイントセミナー


古くから女性の憧れのダイアモンドが、装飾として最初に、2000年以上の昔のインドの仏像の眼に用いられたようです。1953年、エリザベス二世の戴冠式の王笏、王冠は特にすさまじいものがあります。世界最大の530カラット、317カラットの二つのダイアモンドで飾られています。原石の大きさは、3,106カラット(長さ10cm、幅5cm、高さ6.5cm)にもなります。 ”欲望の穴”と呼ばれているキンバリー鉱山の採掘跡は直径463m、深さ1097mにも達し、人間の業の深さの象徴のように思えます。
 私がダイアモンドについて調べてきたことは、このような華々しさとは無縁です。
(1)ダイアモンドと同じ構造を持つシリコンやゲルマニウム
(2)更に次に日本人が結晶づくりに成功し、ノーベル賞を貰うのではないかと騒がれているGaN(ガリウムナイトライド)と同じ構造(基本的にはダイアモンドと同じ結晶構造)の半導体
 これらはワイドギャップ半導体と呼ばれ21世紀の電子デバイスの主役になると考えられ、盛んに研究されています。
 皆さんが健康診断でおなじみのX線を用いて、これらの物質の熱膨張を15年以上調べてきました。約-270°Cの極低温から室温まで根気よく測定しました。その結果分かったことは、ダイアモンドは-170°Cまで殆ど膨張しないことでした。更に、人工的に合成したダイアモンドの方が、天然ダイアモンドよりも結晶性では優れていることでした。
 更に、人間が珍重しているのは不純物がわずかに入っている天然ダイアモンドであることも面白いと思います。

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