
玉川大学農学部 先端食農学科 システム農学領域・園芸植物学領域 〜田淵ゼミ で栽培管理しているハナショウブの紹介 全面改訂しました!(2026年4月1日)
本学における花菖蒲の研究は1986年に開始し、40年にわたり継続してきました。 その間、収集・保存した品種群の調査、野生ノハナショウブの分布と形質の記録、古品種の真正性の検証など、多岐にわたる成果を蓄積してきました。
本ページは、これらの長期研究の成果を整理し、最新の知見とともに公開するものです。 2000年に作成を開始して以来、20年以上にわたり更新を続けてきました。
研究の進展やデジタル撮影技術の向上により、品種の特徴をより明確に示すことが可能となり、図鑑としての精度も高まっています。
花菖蒲は、江戸時代に野生ノハナショウブから育成された、日本固有の伝統園芸植物であり、「花の文化財」とも称されます。
育成地に基づき、
の三系が体系的に成立しています。
戦後、各地から集められ交雑を繰り返して育成された品種群で、交配記録が残っていないため育成地による分類が困難です。 そのため、作者名を付し、花容(花の形状)によって分類するのが慣例です。
大正〜昭和初期に外貨獲得や地域振興、個人の趣味などを目的に育成された品種群は、 「大船」「アメリカ」「外国」「長井」「野生」などの分類で表記しています。
歴史的・遺伝的な根拠資料については、下図(田淵原図)をご参照ください(無断転載不可)。

花菖蒲は、品種・気候・栽培地によって姿が大きく変化し、日々刻々と表情を変えます。
一般的には、
という変化を示します。
1枚の写真だけでは特徴を十分に表現できないため、 本ページでは花蕾・開きかけ・満開など、複数の角度と段階の写真を掲載し、花の魅力を多面的に伝えることを目指しています。
花菖蒲の品種研究では、真正性の確認が最も重要です。 同一条件下で複数株を長期間比較し、花形・花色・草姿が安定して再現されるかを観察する必要があります。
本学では、長年にわたり同一圃場で多数の株を栽培し、品種鑑定を繰り返すことで、混在のない真正性の高い材料を確保してきました。 これにより、分子生物学的手法による解析結果にも高い信頼性を持たせることができます。
片岡様と並行して、明治神宮・林苑とも共同研究を締結し、江戸時代に堀切一帯で育成された古花品種の分譲を受けています。
これらの株も片岡様に鑑定を依頼し、真正性を確認したうえで研究に活用しています。 本学は、林苑と連携しながら、文化財的価値を有する花菖蒲の保存と次世代への継承に取り組んでいます。
本学で研究に用いた株の多くは、片岡花しょうぶ園・片岡文男様より分譲いただいたものです。
片岡様は、
本学の研究に不可欠な協力者です。
片岡様から頂いた株は、すべての品種で花が揃い、最新技術による解析でも正しいデータが得られた、極めて信頼性の高い材料でした。 本学では30年以上保存し、今後も大切に維持してまいります。 ここに深く御礼申し上げます。
古品種や野生株の減少が進む現在、真正性の高い材料を長期にわたり維持できる環境は極めて得がたいものです。
本学では幸いにも適切な株の分譲と長期保存の機会に恵まれ、 三好学以降ほとんど進展のなかった領域について、可能な範囲で科学的な再検討を行うことができました。
本ページにまとめた知見は、 伝統的な花菖蒲を科学的に理解するための“最後の包括的記録のひとつ”となる可能性があります。 これは悲観ではなく、次世代の研究者が「伝統的な花菖蒲とは何か」を正しく理解するための出発点となることを願って記すものです。
本ページは、2000年から20年以上にわたり、学生たちが栽培・管理・研究に携わってきた成果の結晶でもあります。
本学の精神「子弟同行」に基づき、
を目標に教育を行っています。
その成果は、2004〜2026年に98本の論文・著書として結実し、卒業生は各分野で活躍しています。
蓄積したデータと知見をもとに、研究成果を論文として発表し、本ページも随時更新していく予定です。
なお、本学で保存している品種株は、学術研究目的に限り、所定の手続きを経た共同研究の枠組みでのみ取り扱っております。 個別のご要望にはお応えいたしかねますので、あらかじめご了承ください。
2004年:伊藤誠一・大山貴義・鳥羽啓子
2005年:鈴木和子
2006年:平松渚・渡邊千春・松下芳恵・鈴木和子・富塚裕美
2007年:伊藤和希子・市川祐介
2008年:忠将人・坂本瑛恵・中村泰基
2009年:小熊拓・波多腰拓朗・榎倉麻美・吉田祐
2010年:大坂律子・矢口雅希・萬代有紀
2011年:鳥居保邦
2012年:定延葉子
2013〜2025年:小林孝至
2017年:唐澤健太・人見明佳
2022年:日高慶士
2023年:赤坂ひのき
2024年:榎本萌子・高橋雅