談話会報告

第5回 談話会 (2005年6月7日/21世紀COE 第5回 若手の会談話会)

予期あるいは連合によって活性化された表象について

澤 幸祐 氏(玉川大学)


強化子、報酬の予期といった概念は、生活体は合目的的に行動すると考えるのであれば必要

「動物がある事象の到来を予期する」といったときには、考えなければならない点が数多くあります。なにかを予期する際には当該事象は生起しておらず、過去に経験したことのあるものであることが一般的なので、これは動物が過去の経験を記憶し、さらに現在の刺激状況から記憶を検索するといった過程が必要となります。今回の発表では、“予期”を過去の経験によって形成された連合によって活性化された表象として考え、学習心理学の分野での過去の理論的・実験的蓄積に関して概観し、さらに人間の記憶検索との関連についても考察してみたいと思います。


海馬CA1錐体細胞の
膜電位θ波周期振動の位相変化

渡辺 秀典 氏(玉川大学)


膜電位振動の振幅の増加に応じて振動の位相はシフトする

哺乳動物を対象とした行動実験において、シータ波と呼ばれる4−10[Hz]の脳波の発生が古くから知られている。特に記憶機能について重大な役割を担うと考えられている海馬において、対象の特徴的な行動に応じてシータ波が計測される事実から海馬シータ波については盛んに研究されている。しかしながらシータ波発生中の海馬神経細胞の振る舞いについてはいまだ詳細には解明されていない。

シータ発生中において海馬CA1領域に位置する錐体細胞は複数の独立な入力を受ける示唆に基づき、本研究はin vitro実験において2種のシータ周期の刺激を用意し、それら刺激に対する海馬CA1錐体細胞の閾値下膜電位応答をパッチクランプ法で計測した。まず各周期刺激に対する膜応答を調べ、次にこれら2種の刺激の同時入力に対する膜電位の振動応答を明らかにした。本研究では異なる位相を持つ2入力刺激を用いた場合、入力の効果に依存した膜振動の位相シフトを示す。

日時 2005年6月7日(火)

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