談話会報告

第45回 談話会 (2009年4月24日/グローバルCOE 第13回 若手の会談話会)

ロボットによる言語と動作による
コミュニケーションの学習

岩橋 直人 氏(情報通信研究機構・専攻研究員)

講演者の岩橋直人氏は言語獲得を通したコミュニケーションロボット研究の第一人者であり、本学ロボットチームと合同でロボカップ@ホームに出場している。

本講演では、日常生活での共有経験を反映するコミュニケーションは、対話者による環境の理解と、対話者間の相互理解を基盤として成立する仮定し、ロボットが、このようなコミュニケーション能力を、実世界における人間とのインタラクションを通して学習するための計算機構について述べた。

岩橋氏の提案によると、本計算機構により、ロボットは、音韻、単語、文法、物体のカテゴリー、動作、タスクに関する知識、語用論的知識など、コミュニケーション能力を構成する要素(信念)をインクリメンタルに獲得し、それらを一つの信念システムとして統合してゆく。この信念システムはダイナミックグラフィカルモデルで表現される。

さらに、ロボットは、この信念システムに基づいた発話の生成と理解のプロセスを通して、対話者の信念システムの状態を推測し、自らの信念システムを修正する。ロボットと対話者は、互いにこのような調整を続けること―信念システム間のダイナミックな結合―により、状況に応じて適切に発話を生成・理解し、行動できるようになることをシミュレーションで示した。

岩橋氏が述べる相互信念の共有に基づくコミュニケーションは玉川大学グローバルCOEの主要テーマである社会性というテーマを追求するうえで非常に多くの示唆を与えるテーマであり、グローバルCOE全体の研究の活性化にも非常に有益であったと考えられる講演会であった。

日時 2009年4月24日(金)13:00〜14:30
場所 玉川大学大学8号館326教室
報告者 岡田 浩之(玉川大学工学部・教授)

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