談話会報告

第81回 談話会 (2012年6月20日/グローバルCOE 第49回 若手の会談話会)

ひとの知覚における意識と無意識

四本 裕子 氏
(東京大学広域科学専攻生命環境科学系認知行動科学大講座・准教授)

第81回の若手の会の講演者として、東京大学の四本裕子先生に「ひとの知覚における意識と無意識」という演題でご講演いただいた。四本先生は心理物理をご専門とされ、これまで数多くの一流誌にそのご研究を論文として発表してこられた新進気鋭の若手研究者である。その業績の数々を知っていた自分は、とても厳格な先生がいらっしゃるのではないかとお会いする前にはとても戦々恐々していたのだが、実際にお会いした先生はとても優しく、気さくで、周りを明るくするエネルギーに溢れた魅力的な先生であった。目を輝かせながら玉川大学にあるセグウェイを初めてとは思えないハンドルさばきで飛ばされている姿が大変印象的であった。

先生の研究のご講演もわくわくするような最新のデータを惜しげも無く次々と発表してくださるまさに旬のトークで、大勢の若手の聴衆が参加し大変盛り上がるものとなった。先生の具体的な講演の内容は、 Shape from Motionにおける形状の知覚に、MTにおける運動の知覚が必要なのかという意識・無意識の解明につながる深遠なテーマを、TMSとfMRIを用いた実験により明らかにしようというチャレンジングなものであった(発表された内容があまりにも最新すぎるため、詳細な発表内容については近日中に刊行される先生の論文を読んで頂けたらと思います)。先生の講演のさらに魅力的だった点として、綺麗にまとまった研究をただパッケージとしてお話になるのではなく、若手研究者を対象とした講演会ということもあり、実際に研究を行う上で重要となる裏話をいっぱいトーク(さらに懇親会)に盛り込んで下さったところであった。このような話は直接には研究内容とは関係ないが、実際に研究を行う上で非常に苦労する点であり、これから研究業界の海に飛び込んでいこうという若手研究者にとっては大変貴重で参考になる話であった。

今回ご講演を聞いた印象として、先生がこれまでに魅力的な研究を次々と行うことができたのは、先生の研究者としての高いスキルに加えて、溢れんばかりの好奇心と行動力、そして先生の明るいお人柄にあるのだという印象を強く受けた。自由に研究する上での制約が数多くある日本のアカデミアにおいて、明るく真摯に日々研究に取り組まれている先生のご講演を今回聞くことができたのは、我々若手研究者の大きな励みになるものであった。

日時 2012年6月20日(水)17:00〜19:00
場所 玉川大学研究センター棟 1階101演習室
報告者 高橋 英之(玉川大学グローバルCOE研究員)

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