玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
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館蔵資料の紹介 1999年

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蝋管蓄音機

蝋管蓄音機

縦14.5×横24.0×高14.5cm


「貴方の趣味は何ですか」と聞かれると「音楽鑑賞」と答える人が多い。このように現代社会において音楽が教育現場および日常生活に定着したのも、明治になって西洋との交流が盛んになり、蓄音機が輸入されたことが一つの要因で、その発端が「蝋管蓄音機」(ろうかんちくおんき)であると言える。

1877年、米国人のエジソンによって錫箔を円筒に巻いたレコードを使用する錫箔蓄音機が発明され、1885年エジソンとベルによって錫箔に変わって蝋を使用したのが「蝋管蓄音機」である。日本では1896年頃より輸入が盛んになり、蓄音機は今日まで手回し式から時計のゼソマイ式、そして電動式へと約一世紀の歴史がある。

本館が収蔵している蝋管蓄音機の使用は不可能であるが、構造は木製の台座に録音・再生部分とその上部にラッパ(径20cm)が取り付けてある。動力は手回し式で録音・再生時に回転にバラツキが生じないよう回転部分に3個の錘が付けられ、蝋管を回転させる動力を伝えるのにゴムが使われている。普段使用しない時は木製の蒲鉾形をしたケースを上から被せてボルトで台座に固定し、上部には持ち運ぶための把手が取り付けてある。

ケースには「The GRAPHOPHONE」と蝋管を用いる録音・再生機の商標と、コロムビア・フォノグラフ社の製品であることの文字が大きく印刷されている。また専売特許の申請が1886-97年までに6回行われたことの小さな文字も判読できる。1907年頃になると日本では平円盤を使用した蓄音機が主流となり、このことから百年くらい前に製造輸入されたものと思われる。付属の「蝋管」三点は蝋で包装した円筒形(径7cm、高さ12cm)で、そのうちの一点はコロムビア・フォノグラフ社製であることの文字を僅かに読み取ることができる。文献によるとコロムビア社は音楽録音の蝋管を製作したとあるが、何が録音されているか聴くことは出来ない。

「全人」1999年2月号(No.608)より

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