玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
全人掲載年

玉川大学教育博物館
〒194-8610
東京都町田市玉川学園6-1-1
Tel:042-739-8656
Fax:042-739-8654
mail:museum@tamagawa.ac.jp

館蔵資料の紹介 2005年

玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2005年 > 子供あそび さつきの戯

子供あそび さつきの戯

子供あそび さつきの戯

大判錦絵2枚続
作者不詳(3代歌川広重?)
1868(明治元)年頃発行
縦35.6×横46.8cm


端午(たんご)の節供(せっく)といえば、菖蒲(しょうぶ)がつきものである。これは古来、菖蒲が薬草、転じて魔除けとして用いられたと同時に、音が「尚武」に通じるとして、近世の武家社会に好まれたためでもある。この作品では、子どもたちがふた手に分かれ、菖蒲打ちに興じている。菖蒲打ちとは、菖蒲の葉を三つ編みにして綱状のものをつくり、これを地面に打ちつけて、音の大きさや強さを競った、節供にともなう江戸時代の子どもの遊びである。

本資料は題名の通り、端午の節供に子どもたちが賑(にぎ)やかに遊ぶ姿と思いきや、その実、明治維新の戊辰戦争で、新政府軍と旧幕府軍とが争う様子を示している。前方中央付近が旧幕府側の勢力である奥羽列藩であり、それを取り囲むように新政府側の諸藩が配されている。右前方で対戦中の3人は、着物の柄から会津藩(鐶(わ)つなぎ)と薩摩藩(籠目(かごめ)=かご島)、長州藩(蝶=長)の諷刺であることがわかる。

「全人」2005年5月号(No.682)より

前の記事を見る  次の記事を見る

玉川大学教育博物館

このページの一番上に戻る