玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
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館蔵資料の紹介 2007年

玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2007年 > 能面「大飛出」

大飛出

大飛出

髙津紘一 作
髙津紘一氏寄贈資料
撮影/斉藤雄致


金泥で全面に彩色を施した顔、突き出した眼球、大きく開いた口が豪快で迫力に満ちた異相の男面である。雷神など、天から下界を見下ろす神としての威厳と猛々しさをも表現し、口からは光る稲妻がほとばしるようである。

能の演目『嵐山(あらしやま)』では、大飛出(おおとびで)は後シテの蔵王権現(ざおうごんげん)の面として用いられる。

桜の咲き誇る京の嵐山の地を舞台に、吉野の山から移された千本桜を守る木守明神(こもりみょうじん)・勝手明神(かってみょうじん)の二神が花をめで、祝言の舞を舞う。やがて蔵王権現がその威容を現し、迷える衆生を救う誓いをする。三神は天下泰平の世を喜び、豪壮で華やかな舞を繰り広げるのである。蔵王権現は山岳宗教の修験道(しゅげんどう)で篤く信仰された神。

飛出(とびで)の面には、大飛出のほか小飛出(ことびで)があり、小飛出は地上を駆け巡る敏捷性、軽快さを強調し、キツネの化身の役などに用いられる。 神能物と言われる大飛出は、神の化身が主役となる能で用いられ、『嵐山』のほかに『賀茂(かも)』『国栖(くず)』などの演目に登場する。

「全人」2007年7/8月号(No.708)より

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