セイヨウミツバチの巣板の菌類相

渡辺京子*奥田 徹・三川 隆** *玉川 大学農学部、**三菱化学横浜総研

セイヨウミツバチ(Apis mellifera)は、出入りが自由な巣箱で飼われ、花粉を集めて蜂蜜を生産している。彼らの集めている花粉には多くの菌類が混入しており、Bee bread(貯蔵花粉)からもAspergillus属菌やPenicillium属菌が分離される(Gilliam et al. 1989)。また、働きバチなどからAspergillus属菌やPenicillium属菌など多くの菌が分離される(Gilliam et al. 1974, 1977)。しかし、ミツバチが実際に生活し、人間が食用とする蜂蜜を貯蔵している巣房そのものの菌類相についての報告はほとんどない 。また、効率よく蜂蜜を集めるために、養蜂家が古い巣板を再利用して新しい蜂群を飼っていることから、その菌類相を明らかにしておくことは重要である。そこで我々は、ミツバチが生活している巣板と 、ミツバチを取り除き、巣門を封鎖して約3ヶ月間屋外に放置した巣箱内の巣板の菌類相を調べた 。菌の検出は、空巣房、貯蜜蓋、蜂児蓋などにわけて行った。分離培地には、PDAOAMEAM60の4種類を用いた 。その結果、全ての検体から、以下の菌種のいずれか、あるいは複数の菌種が分離された。ミツバチが生活している巣房からは、@Mucor sp.(検出源:貯蜜蓋)、AArthrinium sp.(空巣房、貯蜜蓋、蜂児蓋)、BAcremoniella verrucosa (蜂児蓋)、CCladosporium sp(空巣房)、DPenicillium variabile (空巣房、蜂児蓋 、貯蜜蓋)、ETrichoderma atroviride (空巣房、貯蜜蓋), 分蜂後の巣房からは@Mucor sp.(空巣房、貯蜜蓋、蜂児蓋)、@Eurotium rubrum(空巣房、貯蜜蓋、育児巣房、蜂児死骸)、AAsprgillus ochraceus(空巣房、貯蜜蓋、蜂児蓋、育児巣房)、BP. citrinum(空巣房、貯蜜蓋、蜂児蓋)、CP. corylophilum(空巣房、育児巣房)、が分離された。いずれも普遍的なものである。これらのうち、P. corylophilumは、セイヨウミツバチに関わる菌種として知られている

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Last update on 2001/07/19
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