静止膜電位


☆静止膜電位とは・・・

まず、膜電位とは神経細胞の内外で生じている電位差のことである。これは、内外で作られるイオンの分布の差である。 また、このイオンはタンパク質などの作用によって、内外を常に移動しているが、電荷はある条件の膜電位の時は見かけ上安定する(移動しない)。その条件の時の膜電位の状態 を、静止膜電位と呼ぶ。



☆静止膜電位(約ー70mV)のメカニズム

神経細胞の内側と外側でイオンの分布に差がある。両側にカリウムイオンとナトリウムイオンが存在するが、 図1のように内側はカリウムイオン(K+)が多く、外側はナトリウムイオン(Na+)が多い。



                        図1  
  

この時、それぞれのイオンは濃度の高い方から低い方に細胞膜を通して移動させようとする。 その通る道をそれぞれ、カリウムチャネル・ナトリウムチャネルと呼んでいる。


※これ以降の説明はカリウムにもナトリウムにも共通して言えることなので、カリウムを例に挙げて説明する。

K+が内側から外側に移動しようとする時、元々外側にいるK+とカリウムチャネルの出口で反発する。 これは、+と+が衝突するためである。(磁石の同じ極同士が 反発するようなもの)これを、電気的反発力という。 その影響で、最終的に外側は少し+になり、内側が少し-になる。 この時に両側で生じる電位差が、約-70mVである。(図2)


                       図2

以上に述べてきたことから、外側に移動しすぎたK+を内側に戻す(内側に移動しすぎたNa+を外側に戻す) ナトリウム・カリウムポンプ(図3)というタンパク質があり、それが静止膜電位を作っているのである。 また、ナトリウムチャネルは普段は閉じているため、Na+はあまり内側に移動しないが、神経細胞に刺激が 入ってきた場合にナトリウムチャネルを開き電気信号を作るため、Na+を外側に移動させる作業は ナトリウム・カリウムポンプにより常に行われる。



                          図3


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