Guest Speaker


Darren先生2
 

 

春学期の総合英語2Aと3の授業で、Darren先生にまた来ていただきました。今回は、天気もいいので気分をかえて外で授業をしてみました。昨年、「英語コミュニケーション」の授業で話された内容は、前の報告を参照してください。Darren先生は、南米のコロンビアで教えられた後、サウジアラビアで教員養成大学の学生達に英語を教えた経験をお持ちです。玉川学園の小学部で教えた後、今は高等部で教えてらっしゃいます。

日本とコロンビア、サウジアラビアの教育システムの違いに触れられながら、それぞれの国で経験したことを面白くお話くださいました。学生達は、自分達がとても恵まれた環境で学んでいることを再確認しました。Darren先生が苦労されたことの1つに、サウジアラビアで教科書を注文しても届くまでに7週間もかかってしまうなど、色々なことがスムーズに準備できないことをあげられました。また、日本の生徒とコロンビアの生徒との違いでは、コロンビアでは英語学習を受けるには、そのための授業料を多く払わなくてはいけないため、生徒の学ぶ意欲が高いそうです。それに対し、サウジアラビアは近代化を目指すために教育に力を入れてはいるものの、大学入学試験に合格したものには政府が補助金を出すため、また、一度入学してしまえば卒業がや仕事が保証されるシステムのために、学生達の成績についての関心はあまり高くない印象を受けたとのことです。もちろん、一生懸命勉強する学生もいますが、10%くらいだったそうです。また、サウジアラビアは、近代化を進める一方、昔からの価値観やイスラム教が重要な位置をしめるため、近代化がなかなか進まない一面もあるそうです。ただし、"Personally I think..."とDarren先生が何度もおっしゃっていたように、Darren先生のいた環境、立場からの印象であって、決してサウジアラビア全体のことを言っているわけではありません。

学生から「日本の登校拒否児童/生徒は13万人を超えるといいますが、そのことについてどう思われますか?」という質問があがった。Darren先生は、「僕の印象では、日本では子供はいつまでも子供として扱われるため、なかなか自立できないのではないかと思う。」とアメリカの親や自立に対する考え方を比較されました。例えば、日本では高校生になっても、子供扱いされ、いつも守られた中で育てられている印象を受けるそうです。(ただ、一言補足させてもらうと、アメリカはドロップ・アウトする者も非常に多いので、日本のように学校に在籍しているが学校には来ない「登校拒否」としてカウントできないことも忘れないでください。---大谷)

また、アメリカの教育改革の動き("No Child Left Behind" Education Law)と日本の教育改革、特に「ゆとり教育」との比較をしました。学生が日本のゆとり教育について簡単に説明し、現在の問題としてあげられている教科書の内容3割削減や週5日制、総合的な学習などを取り上げました。Darren先生は、読み、書き、計算は非常に大切だと思うが、そのような国全体の基準がアメリカにはないため、州や地区によって差が生じてしまうことについて話されました。そして、集った学生がみんな将来教員を目指していたため、「どうして教師になりたいのか?」と学生に質問を投げかけられました。そして、基礎も大切だけど、How to learnとDifferent learning styleが尊重されると、もっと教育の質が高まるのではないかとおっしゃっていました。

また、別の学生は、「アメリカのマサチュセッツ州でゲイのカップルの結婚を認めたが、それに対してブッシュ大統領が認めないということで論争している。」という内容の新聞記事を持って来て、アメリカ社会でのゲイの受け入れとそれに対する抵抗について質問しました。そこで、Darren先生はアメリカの60年代からの社会的な動き(公民権運動など)に触れながら、アメリカという国は新しいもの(価値観なども含めて)を作ろうとする基盤があることについて話されました。そして、個人的にはゲイのカップルがいても別にいいと思うとおしゃりました。それは、ゲイの人々がストレートの人々をリクルートしてゲイを増やそうとしているわけでも、押し付けているわけでもないからだそうです。彼らは彼らの幸せのためにしいているだけで、なんら他の人に何かを押し付けているわけではありません。なのに、ブッシュ大統領が、「結婚は、男と女しかダメだ」と全ての人々に自分の価値観を押し付けることはおかしいと思うとのことです。

授業後にも色々な質問があがり、いつもより30分以上もオーバーした授業となりました。