Guest Speaker

Matthew Reader

2年前から玉川学園小学部で英語を教えていらっしゃるMatthew先生をゲスト・スピーカーにお迎えしました。Matthew先生はバーモント州出身のアメリカ人ですが、スペイン語もご堪能で様々な英語教育に関わられてきました。南米コロンビアの幼稚園では、Immersion programの幼稚園の先生として教えられたり、コロンビアの先生達に英語を教えられた経験もお持ちです。アメリカではESL (English as Second Language)プログラムのコーディネータ兼インストラクターとして教えられました。更に、みなさんも驚ろいていましたが、アメリカの刑務所の囚人の人達(ほとんど教育を受けてない人達ばかりで、アメリカ人でも読み書きができない)にも英語を教えた経験をお持ちです。このように様々なTeaching Experienceを経て、現在玉川学園小学部で教えていらっしゃいます。

レジメにあるMatthew先生のTeaching Experienceを話していただきながら、色々な英語教育に関わるお話(ESL, EFL, Immersion program, teaching method, etc.)やマシュ−先生の教育観や教育哲学などについて伺うことができました。英語での講議でしたが、Matthew先生がおっしゃっていたように、何でも完璧に聞き取れなくてもいいのです。Native Speaker同士でも全て聞き取れないことはよくあります。わからないところで止まってしまわずに、前後の内容で推測しながら会話を進めたり、確認しながら話していきます。つまり、いくつかのキーワードを聞き取って、前後の文で推測しながら聞いていくことも英語を聞きとる時のコツです。

皆さんの感想を読ませていただいたら、色々と聞き違えている人や聞き取りきれなかった人もいるので、いくつか確認しておきます。

 補足説明:

配付されたプリントのレジメにそって彼の教えた経験について話してくださいました。マシュ−先生をスペイン人と勘違いをしていた人もいますが、アメリカ人です。スペイン語もできるのでコロンビア(南米)の幼稚園で先生として教えられました。そのコロンビアの幼稚園が、「イマ−ジョンプログラム(Immersion program)」という英語を獲得するために、段階的に教科学習で母国語のスペイン語を減らし、英語での教科学習を増やしていくプログラムを持っていました。はじめは、1日に2教科(言葉があまり重要でない体育や図工など)だけ英語の授業が入り、2年くらいすると1日に4教科、6教科と増え、最終的には全教科を英語で行います。

 

「なぜ刑務所の人達にも英語を教えるのですか?」と書いていた人がいますが、マシュ−先生が教えた刑務所の人達は麻薬や窃盗などの比較的軽い犯罪に関わった人達なので、いずれ刑期が終れば社会復帰しなくてはなりません。読み書きがまともにできなくては、きちんと仕事ができず、また麻薬や犯罪に走ってしまうからです。まともに生きていくためには、教育は不可欠だからです。 そして、地域の安全を守っていくためにも犯罪者を増やさないように教育していくことが大切なのです。「教育」には時間とお金がかかるとよく言われますが、犯罪者を増やさないように教育を充実していくことのほうが、犯罪者が増えてしまってから警察官や刑務所にお金をかけるよりも安上がりです。

 

Entertainer

「先生はエンターテイナー(Entertainer)のようでもある」とおっしゃっていましたが、誤解のないよう少し説明を加えておきます。「先生」には、子供達を楽しませながら教えていける「エンターテイナー」の側面も大切ですが、学習は「エンターテイメント(Entertainment)」ではないということだけは覚えておいてください。前に皆さんに書いてもらったアンケート結果についてもコメントしましたが、Entertainmentは、みんなを飽きさせないように、手をかえ、品をかえ、次々色々なものを見せ、聞かせていきます(テレビや映画、ゲームなど)。Entertainmentは、受け身で楽しめますが、終わったら「もう一度同じものを見たい!」と、ずっと思い続けることはあまりないでしょう。学習は、同じことを取り上げても子供の年令や興味で色々なことに発展させていくことができます。奥が深いのです。導入でEntertainment的な要素があってもいいですが、ずっとそのままでは子供達に本当の学習の楽しさは残りません。

英語の「楽しむ」という言葉は、皆さんも知っているように"Enjoy"という動詞です。子供達が主体的に学んでこそEnjoyできるのです。受け身で楽しむ「エンターテイメント」ではありません。つまり、授業を受ける生徒/学生が楽しく学べるように工夫することは大切ですが、特に皆さんのような大学生(学びたいから大学に来た人達)が授業にEntertainmentを求めるようになったら本物の学問には出会えません。学習は、受け身で見たり、聞いたりするだけでは飽きてしまいます。受け身では得られない「努力して得られる楽しさ」があります。「学ぶことの楽しさ」や「努力して達成した時の楽しさ」を知らない人が先生になっても、子供達に「学ぶ楽しさ」は伝えられません。ちなみに、アメリカの大学は教科書以外にもたくさんの本を課題(宿題)で読んでこないと授業について行けません。大学生は教師に頼るというよりは、自分でどんどん勉強して行く、先生はそのサポートをしていくといった感じです。

 

Intuitive teacher

マシュー先生がおっしゃっていたintuitive teacher(直感型の先生)であることの大切さに触れている人が大勢いましたが、決して教科書を否定されているわけではありません。教科書だけに頼っていくのではなく、生徒の年令や興味に合わせて、必要な教材を色々な活動とおりまぜていくことが大切です。Intuitive teacherになるには、色々としっかり勉強しておかないと、生徒が何をいつ必要としているのか読みとれません。

 

質問などあれば、同じ玉川学園の丘にいらっしゃるので、色々質問してください。また、英語コミュニケーションのクラスにMetthew先生が2回目の講話をしてくださいましたので、よければ読んでください。