Guest Speaker

Matthew Reader Part 2

2年前から玉川学園小学部で英語を教えていらっしゃるMatthew先生が英語コミュニケーションのクラスにゲスト・スピーカーとして来て下さいました。今学期では2回目です。前回よりも受講生の人数が少ないので、ずいぶん親しく、色々なお話を伺うことができました。また、小学部の小川先生も来てくださり、小学部での英語授業に興味のある学生は見学に来てもいいとおっしゃってくださいました。素晴らしいチャンスをいただけたことに感謝し、小学部の先生方のオープンな受け入れに応えられるように、しっかり準備をしてから見学に行きましょう。

Matthew先生の簡単な自己紹介の後は、学生達が準備してきた質問にMatthew先生が答えていく形式で進めて行きました。Matthew先生のバックグラウンドについては、前回の内容を確認してください。ここには、前回出なかった話題だけ、掲載します。

 

What was the most scary experience in Colombia?

コロンビア(南米)で一番恐かった経験は何ですか?

ある日、幼稚園の子供達と校庭で遊んでいると、子供達が「マシュー先生、覆面した男がバイクに乗って、銃を持ってるよ」と言ってきました。いつも「恐竜が来たぞ〜!」とか「宇宙人が銃を持ってきたぞ〜!」と遊んでいるので、また子供達の遊びの1つと考えて聞き流していました。すると、また別の子供が「先生、ゲリラが来たよ。マスクして、バイクに乗って、銃を持ってるよ。」と言うのです。大慌てで子供達を教室に入れ、避難しました。本当にゲリラだったのです。ゲリラは、幼稚園のオーナーを誘拐していったそうです。もちろん、オーナーはすぐに解放されたそうですが、誘拐されたのはこれで3度目でした。Matthew先生は身の危険を感じ、この数日後に幼稚園を辞めたそうですが、なかなかその辞めた理由をコロンビアの人達に理解してもらえなかったそうです。誘拐や殺人が日常茶飯事のところ(特に治安の悪い地域)なので、「いつものことじゃないか。」となかなか理解してもらえなかったのだそうです。何せ、誘拐保険というものが普通の保険にあるくらいのところです。

コロンビアの日常は、とにかく日本では考えられないことばかり。何せ、教室には60人の子供達がひしめき、でも教科書は前列の10人分しかない状況。黒板があってもチョークがなかったり、チョークがあっても黒板がなかったり、学校で授業を受けるということは当たり前のことではないところなんです。多くの人々は小学校までしか出ていません。大学まで行くことは、本当に贅沢なことなんです。だから、大学で勉強できることを「当たり前」なんて思わないでください。

 

What do you think you would have been if you didn't become a teacher?

もし、先生という仕事をしてなかったら、どんな仕事をしていたと思いますか?

パン屋さんで、パンを作っていると思います。実際、学生時代はパン屋でアルバイトをしていました。朝早くに起きてパンの下準備をして焼き、その後大学に通っていました。パンを作るのは楽しいし、すごくCreativeな仕事だと思います。(ちなみにMatthew先生はキッシュもお上手です。お料理がとても上手です。)

 

I was the only person in my family who had a passport until last year!

昨年まで、家族でパスポートを持っていたのは僕だけなんだ!

昨年、お姉さんがパスポートを取るまでは、家族でパスポートを持っているのはMatthew先生だけだったそうです。実家は、オハイオ州の小さな町なので、町には映画館もコンビニもなかったそうです。教会が2つとガソリンスタンドが1つ、それにスーパーのような少し大きな店が1つの本当に小さな町だったそうです。だからこそ、ずっと色々な国に行ってみたいと思われていたそうです。14才の時からスーパーの袋づめのアルバイトをしてお金をため、大学生の時にはヨーロッパをはじめ、色々な国を旅行したそうです。当時のアルバイト代は、時給たったの3ドル10セント(350〜60円)。それでも、せっせと貯金をし、自分の夢を叶えたそうです。

 

What kind of students were the most difficult to teach?

どんな生徒が一番教えるのに苦労しましたか?

色々な国によって、学習スタイルや特徴が異なるので、一言で言いにくいですが、苦労したのは台湾の学生でした。ただし、僕がたまたま教えた台湾の学生なので、決して台湾の学生を一般化して言っているわけではありません。何に苦労をしたのかと言うと、ESLのクラスにいた台湾の学生達が成績について色々と文句を言ってくることでした。彼らに、納得いくよう説明するのですが、なかなか納得してもらえなかったことが一番大変でした。僕もきちんと成績をつけているので、譲れないところは決して譲れませんが、彼らもなかなか自分の主張を曲げないのです。彼らは、自分の成績にものすごくうるさいですが、別の視点から見れば、それだけ真剣に成績を受け止めているということです。自分が納得できるまで、先生に成績のつけかたを聞くことも、ある意味大切なことだと思いますが、先生も責任もって成績をつけているということも理解してください。

 

What is the biggest difference between Japanese students and American Students?

アメリカの学生と日本の学生の一番大きな違いは何ですか?

違いは色々とありますが、諸々の違いは1つの大きな違いから来ていると思います。それは、アメリカの学校や先生は「個人」に焦点をあてているのに対し、日本の学校や先生は「グループ」に焦点をあてていることです。それが生徒の学習スタイルや特徴などにも色々な形であらわれているんじゃないかと思います。僕は、「個人」に焦点をあてた教育も「グループ」に焦点をあてた教育も、どちらか一方では良くないと思っています。アメリカは最大でも1クラス25人なので個人に焦点をあてやすいですが、個人だけに焦点をあてていると「全体」が見えなくなってきてしまいます。全体の中でその子供達がどのような位置にいるのか把握することも大切だと思います。一方、グループにばかり焦点をあてていると、学期末に自分のクラスの生徒1人1人の好きな活動や好きな本すら知らないで終ってしまうこともあるでしょう。なので、どちらもバランスよく取り入れることが大切だと思っています。

 

質問などあれば、同じ玉川学園の丘にいらっしゃるので、色々質問してください。