Chie's Study

私の専門は、異文化間教育(一般的に国際理解教育と呼ば れ ています)で、「多様な子どもが参加できる授業」や「教室の多文化共生」をテーマに研究を進めています。2002年9月より、玉川大学教育学部で大学生に 教えていますが、それま では、玉川学 園全人教育研究所の研究員として個人研究・共同研究を進めながら、玉川学園中学部で英語を週6時間教えていました。

大学2年生の時に第29回高松宮杯争奪全国学生英語弁論 大 会で優勝(アメリカの統合教育と日本の教育を比較したスピーチ)した際、副賞として英国やヨーロッパを2ヶ月間旅行する機会をいただきました。興味を持っ ていた英国の障害のある子供の施設、NGO、学校などに見学のお願いをすると、どこも気持ちよく見学させてくださいました。「見たい!知りたい!」という 見ず知らずの外国人の大学生に対して、「どうぞ見てください!」と気持ちよく受け入れるオープンな姿勢に当時、感銘を受けました。この旅行をきっかけに、 「大学生のうちに色々なことをしなくては!色々な人と知り合わなくては!」という強い思いが湧き、国際会議やExchange Programにも積極的に参加するようになりました。そして、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアに多くの友人ができ、友人を訪ねて様々な国に行きまし た。また、それらの友人を通して、1つのことでも視点や立場が変わると様々な解釈があるということを学びました。

このような経験を通して、大学生の頃から異文化に対する 好 奇心と「どうしたら異なる者どうしが共に生きていけるのか?」というテーマを持って今日にいたっています。今、私が考える「異文化」とは外国や外国の文 化、人々の生活などだけにとどまりません。男女、世代の違い、生活環境、考え方の違い、ハンディキャップを経験した人と経験したことのない人、etc.と 私達の身近にある異文化を含みます。ですから、「国境」という枠組みをもった「国際理解」という言葉には疑問を感じ、あえて「異文化理解」という言葉を 使っています。

玉川学園中学部で教えていた時は、通常の授業と組み合わ せ ながら定期的にOn-line授業を実践し、「人・人との関わり」に焦点を置いた異文化理解の機会をつくってきました。そして、中学生の英語学習と異文化 理解のプロセスやテクノロジーを活用した異文化理解などに関心を持ち研究してきました。現在は、玉川大学教育学部で英語の授業を多く担当していますが、英 語を通しての異文化理解を目指し、ゲスト・スピーカーを招いたり、身近なトピックで大学生として考える機会を設けています。2003年の秋学期より、国際 理解教育(2008年度より、授業名は「異文化理解と教育」に変更しました。これも私が考えていた「国際」にとらわれない異文化を扱っていけるようにな り、嬉しく思っています。)を1コマ担当することができるようになり、大学時代からやりたかったことが1つ実現しました。今は、将来教員を目指す学生の授 業を通して、学校における多文化共生や異文化 理解などについて教えています。そのような多様な子ども・保護者が増える学校の現実と学校・教員の持っている「当たり前」とのズレなど、異なる文化背景の あるところに生ずるズレが現場の課題であり、そして乗り越えていくチャンスの鍵があると思っています。

私生活では、娘を2人授かったことをきっかけに、子育て と 仕事を両立することの大変さと楽しさを実感しています。子育てしながらの仕事をすることを通して、子育て中の女性教員のことについて、もっと研究&支援が 必要なのではないかと考えるようになり、子育ての経験を通して、子育て中の女性教員が働きやすい支援や政策も必要と考えています。なぜならば、そのような 子育て中の女性教員は、たいてい教員経 験が10年以上の方が多く、子育てという経験を通して、子供に対する理解はもちろん、保護者としての視点も持ち合わせている非常に質の高い教員達だからです。そのような質の高い先生達こそ が、学校や教育の質の一部であることは間違いありません。ですから、「教師の資質」という視点から、子育て中の女性教員についての研究についても2008年から2009年にかけて取り組みました。現在は、教室の中の多文化共生や「学び合い」を活性化したいと思い、先生方のお助け教材"Group Me !"のシリーズ制作に力を入れていま す。一見、色々なことに手を出 し ているように見えるかもしれませんが、異なる文化背景のあるところに生ずるズレに焦点を当てて 研 究しています。

ここでいくつかの研究や論文を紹介しますが2014年以 降 は研究者情報などが発展してきたので、省略し ています。その他の論文などは、大学HPにある「研究者情報」をご参照ください。