フィジカルAI特別講義(11/7)&ロボティクスラボ公開
ロボットという身体を通して、実世界で周囲を認識し、判断・行動する「フィジカルAI」。今年の工学部テクノフェスタでは、特別講義とロボティクスラボの公開を通じて、その最前線に触れていただけます。
講義でフィジカルAIの基礎や最新動向を知り、ロボットの実演を通じて理解を深めてみませんか。
【特別講義】最新 フィジカルAIの基礎と技術動向~人型ロボット・VLAが拓く産業変革~
日時:2026年11月7日(土)10:30~11:40
会場:玉川大学 University Concert Hall 2016 Marble
講師:中川友紀子氏(株式会社アールティ代表取締役社長)
主催:玉川大学工学部
共催:玉川大学・玉川学園学友会、玉川スマートキャンパス
【フィジカルAI展示】
日時:2026年11月7日(土)・8日(日)10:00~16:00
会場:玉川大学 STREAM Hall 2019 ロボティクスラボ
①特別講義でフィジカルAIを知る
今回のテーマは何ですか?
今年の特別講義のテーマは「フィジカルAI」です。今年に入ってから、ニュースなどで見聞きすることも増えたと思います。
近年、ChatGPTなど、高度な会話ができるAIサービスや、言葉の指示によってイラストや動画を作り出す生成AIが話題になっています。こうした情報世界のAIが実世界に飛び出し、ロボットという身体(フィジカル)を通して周囲を認識し、判断・行動する技術や仕組みが、フィジカルAIです。
フィジカルAIという言葉の使われ方には幅がありますが、レストランの配膳ロボットのように、人と同じ空間で働く知的なロボットが増え、AIが日常生活と直接関わり始めていることを表しています。
どのような内容ですか?
フィジカルAIは、ロボットの身体と、頭脳に当たるAI(人工知能)とを連携させたものです。とくにヒューマノイドロボットのような複雑な機械を知的に動かすために、機械学習を活用した新しい手法が研究されています。
その一つである強化学習は、動物の訓練と同じように、さまざまな動きを試す中で、よい動きができたときに「報酬」を与えることによって、目的の動作を覚える仕組みです。ヒューマノイドには多くの関節があり、それらを同時に連動させなければ、うまく歩くことができません。この連動の仕方を簡単な数式で表すことは難しく、経験を積み重ねて学習する強化学習が有効な方法の一つとなっています。
最近は、ロボットに搭載されたカメラの情報(Vision)、言葉による指示(Language)、行動(Action)を結び付ける「VLA」という方法の研究も進んでいます。これによって、言葉による指示を理解し、周囲の視覚情報を踏まえて、ロボットが自律的に動くことを目指しています。
はじめはうまく動けなくても、経験を積むことで徐々に関節の連動の仕方を学び、最終的には驚くような歩行や動作が実現します。ただし、学習には大量の経験が必要です。実際のロボットで何度も立ったり転んだりさせることは難しいため、コンピュータ内のシミュレーションで膨大な回数の試行を重ね、学習した成果を実際のロボットに移して動かす「Sim2Real(シムトゥーリアル)」という手法が盛んに使われています。この計算には、NVIDIA社などのGPUが活用されています。
こうしたフィジカルAIによって、身の回りの複雑な仕事、たとえば皿洗い、洗濯、衣服を畳む作業、部屋全体の掃除など、さまざまな場面で人を支援するための研究開発が進んでいます。
今回の特別講義では、フィジカルAIの最先端と、それを実現する仕組み、実世界への適応と課題についてお話しいただきます。将来のものづくりや私たちの働き方、AI時代のエンジニアの役割を考える機会にもなります。
講演者について教えてください
中川友紀子さんは株式会社アールティ代表取締役社長です。アールティは生活支援サービスロボットの研究開発や大学の研究教育用ロボットの販売をしています。中川さんは、大学や日本科学未来館で研究者としての経験を経て、生活に近いロボットをつくる会社を創業されました。学生時代から一貫して人工知能とロボットにかかわり、2009年には世界に先駆けて等身大の着ぐるみヒューマノイドロボット ネコ店長をリリースし、2015年には、ロボット業界で知っておくべき世界の女性の一人に選出されました。
現在は、日本ロボット学会フェローのほか、公益財団法人NTF、ROSConJP、Open Roboticsの理事を務めています。また以前は日本知能情報ファジィ学会の副会長も務められました。フィジカルAIに必要なロボットとAI技術を開発し、今年は本学を含め様々なところから依頼されてフィジカルAIについての解説講演をされています。
聴講される皆さまへ
「フィジカルAI」という言葉にニュースなどで触れる機会が増えていますが、その内容はなかなかイメージしにくいかもしれません。今回の特別講義では、開発の現場に携わる立場から、フィジカルAIの最先端をわかりやすくお話しいただきます。一般の方にもわかりやすい講演ですので、ぜひお越しください。
②ロボティクスラボでフィジカルAIを見る
玉川大学では、どのようなフィジカルAIの研究開発を進めていますか?
特別講義で取り上げるフィジカルAIは、玉川大学でも研究開発が進められています。その現場を見学できるのが、STREAM Hall 2階のロボティクスラボです。
ショールームのような室内には、たくさんのロボットがあり、工学部と脳科学研究所が共同で運営しています。ここを拠点に、自分たちで開発・改良したロボットでロボカップ世界大会などに出場し、これまで優勝をはじめとする成果を挙げてきました。
これらの活動を担っているのが、「eR@sers(イレイサーズ)」です。学部1年生から大学院博士課程の学生、特別研究員、教員までが集まり、日々ロボット技術の研究開発と実践を進めています。
とくに2025年秋からは、動画などでも話題の先端ヒューマノイドロボット「Unitree G1」が導入されています。ロボット開発のためのソフトウェア基盤「ROS 2」をヒューマノイド向けに応用する開発を、玉川大学独自で進めています。2026年には日本大会(ロボカップジャパンオープン)でも成果を挙げ、世界大会(RoboCup 2026 Incheon)では「Best Humanoid Award」を受賞しました。
現在も、ヒューマノイド向けの強化学習や、生活支援ロボット「HSR」を用いたVLAの研究、搬送ロボット「カチャカ」を用いた複数のロボットの連携など、先端的なフィジカルAIの開発が続いています。
テクノフェスタでは、どのような展示を見学できますか?
テクノフェスタでは、STREAM Hall 2階の入り口近くにあるロボティクスラボ(SH220室)で、ヒューマノイドなど、ラボが所有するロボットたちの動く様子をご覧いただけます。
テクノフェスタ期間中の11月7日(土)・8日(日)は、両日とも開室し、展示時間内は自由に見学いただけます。「ロボットが動いているところを見たい!」という方は、ぜひドアをくぐって、ロボットに会いに来てください。
さまざまなロボット技術として、カメラによる人の認識・追尾や、音声認識・会話のデモ、脳科学研究所によるCREST研究プロジェクトの説明なども展示します。
会場では、日頃から活動しているeR@sersの学生たちが元気に説明します。特別講義とあわせてぜひ見学し、質問などがあれば、お気軽に声をかけてください。