ダブルフィールド制
Culture Field
分野横断的に文化をカバーする
グローバル社会における日本をはじめとする様々な地域の文化と宗教について、客観的かつ複眼的な視点から理解し、そこで培った批判的思考力を活かして、自らの意見の発信と問題解決への貢献を目指します。

Culture Fieldの学び

Cultureフィールドは、文学、宗教学、日本語学、暮らしや習俗、伝承などを研究する民俗学などを分野横断的に学びます。さらに現代社会の具体的な課題についてグローバルな視点から解決するために必要な知識と思考法、必要なスキルなどを体験や実践を通して学びます。映画やキャラクターなどサブカルチャーを扱うのもこのフィールドの特長です。
研究分野
- 民俗学
- 宗教学
- カルチュラル・スタディーズ
- 文学
- 日本語学
- 日本語教育学 など
主な開講科目
科目(科目名称や開講するセメスターは、変更されることがあります) | ||
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1年次 | US民俗学入門 | US宗教学 |
US日本文学 | US日本語学 | |
2年次 | カルチュラル・スタディーズ | キリスト教思想史 |
文学と社会 | 日本語学研究法 | |
3年次 | 民俗文化研究 | 日本文学演習 |
宗教的文化研究 | 民俗芸能論 | |
4年次 | 平和学 | 日本文化と文学 |
日本語教育現場研究 |
Pickupリベラルアーツの授業を誌上体験
Japanology
日本文化を世界の視点から紐解く
担当 ゴッダルド・マルコ先生

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世界の視点で日本を学び直し、
国際社会で通じる人になる
江戸時代は「鎖国」というよりは「海禁」だった

17世紀半ばから19世紀半ばにかけて江戸幕府は鎖国を行い外国との交流を絶っていた……そう理解している人は少なくないかもしれません。実は幕府は海外との交流を絶っていたわけではなく、長崎ではオランダと外交を行っていました。さらに、東南アジアには朱印船が渡航し、中国・オランダの2国以外の往来もありました。つまり「鎖国」というと「封印された国」という印象を持ちますが、これらの事実から、そうではないことに気づくのです。幕府は、キリスト教の布教を禁止するなどの方針をもとに、日本人の渡航を禁じ、外交、貿易のすべてを政府の統治下に置くことで、国内の支配体勢を整えて行ったのです。一方で、幕府は「唐船風説書」や「オランダ風説書」などを手に海外の情報を常に把握し、外交を進めていたとされています。「鎖国=閉ざされた国」というステレオタイプから解放されたとき、真の日本の姿が見えてくるのです。
日本独自の発展を遂げた宗教観を哲学につなげる

日本には古くから、日本列島に土着した民族の自然崇拝である「神信仰」がありました。紀元前5世紀頃に実在したゴータマ・シッダールタ(仏陀)を開祖として説かれた教えである「仏教」が6世紀半ばに日本に伝えられると、すぐに神信仰がとり入れられ、「神仏習合」という価値観が生み出されました。明治時代、明治政府は神仏分離令を発布し仏教と神道の分離を図りました。仏教はそれまで日本社会の一部であると認められていましたが、外来の教えと見做されてしまい、仏教にまつわる様々なものを破壊する廃仏毀釈運動が全国で広まります。寺院や僧侶の生活などに強大な打撃を与えました。これによって、日本仏教は、時代に適合した再構築を迫られました。禅宗では、悟りを哲学的に捉えてアピールしたり、社会との連帯を強めたりする試みがなされました。それによって、西洋人にとって謎めいていた東洋思想や仏教解釈がしやすくなったのです。これが、「禅」と「西洋」が出会うきっかけになりました。
仏教学者で禅を欧米に伝えた鈴木大拙

ここで、仏教学者である鈴木大拙について学んでいきましょう。本名は鈴木貞太郎。世界では、D. T. Suzukiという名前で知られています。明治3年に石川県に生まれ、学問を志して上京し、帝国大学選科に入学。中国語、サンスクリット語などの語学と古典仏教と哲学を学び、在学中の21歳のときに禅師として知られる釈宗演に参禅。「大拙」という居士号を得ました。東洋と西洋をひとつにしたいという夢を持っていた鈴木大拙は渡米し、『禅と日本文化』や『禅仏教入門』などを著し、禅文化ならびに仏教文化を海外に伝えました。仏教の教えや考え方を、哲学として捉えることで西洋人にも解釈しやすくなり「禅」が、西洋に広まりました。座禅は禅宗では修行ですが、西洋では哲学的な方法論として捉えられました。1920~30年代には、海外にも禅寺ができ、世界的禅ブームが起こりました。
ゴッダルド・マルコ先生に聞く、
授業のポイント

授業では、日本の学生が今まで学んできた「日本」の歴史や文化を、再認識、再定義していきます。授業はすべて英語で行われ、江戸時代を皮切りに明治時代を色濃く分析しながら、現代まで進めます。自国の文化を他国からの視点で見直し、日本が世界に果たした役割や海外で受け止められた日本文化を知ることで、知らなかった自国の姿が見えてきます。そして今まで学んだり身につけてきた「日本人」というステレオタイプを改めて見直す機会になるはずです。また、これらを総合して学ぶことによって、多様性を受け入れることが求められる時代を生きるための新たな価値観を持つことができるでしょう。
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