ダブルフィールド制

Human Field

人間を丸ごと探求する

人間の根本的な「哲学的問い」や、人間の成長や発達・行動の仕組みについて、批判的・論理的・実証的に検討を行いながら、過去、現在、未来の社会や人間のあり方について考えます。

Human Fieldの学び

Humanフィールドには、ずばり人間そのものにアプローチする多彩な科目が開講されます。主に心理学と哲学を核として、講義と演習・実習科目によって個々の人間の成長・発達について探求したり、社会や文化と関わりながら生きていく人間という豊かな存在を様々な角度から考えていく学びがこのフィールドの特色です。

研究分野

  • 哲学
  • 倫理学
  • 心理学
  • 応用言語学 など

主な開講科目

科目(科目名称や開講するセメスターは、変更されることがあります)
1年次 US心理学 US哲学
こどもと心の科学 US倫理学
2年次 社会心理学 心理学研究法Ⅰ
倫理学の諸問題 哲学の諸問題
3年次 Communication Strategies 死生論
青年・成人・老年期の心の科学 心の哲学
産業・組織心理学 哲学特殊研究
4年次 健康心理学 社会問題の心理学

Pickupリベラルアーツの授業を誌上体験

心理学研究法Ⅰ

「心理学研究法Ⅰ」で行う“実験”

担当 宇井 美代子先生

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実験に失敗することも、
心理学を学ぶ上での大切な過程

実験を通して、心理学の知識を身に付ける

コミュニケーションや教育、ビジネスなど、多くの分野で活かすことができる心理学。そんな心理学の分野で学ぶ知識は、さまざまな研究を通じて培われたものです。そこで「心理学研究法Ⅰ」では主要な研究方法の中から実験法を中心に取り上げ、学生自身が実験者、実験協力者となり体験的に学んでいきます。たとえば「両側転移の実験」では、鏡に映った図形をなぞっていくのですが、右手で何度も練習すると、左手でも正確になぞれるようになるという転移が生じるかを実験。また「記憶の実験」では無作為に選ばれた12個の数字を、2秒間隔で示された場合と10秒間隔の場合とで、どちらがより覚えられるのかを検討。どちらも調査結果を統計ソフトを用いて分析していきます。この日の授業では、他者に侵入されると不快に感じる「パーソナルスペース」が、さまざまな条件の下でどのように変化するのかについて、学生同士で実験を行いました。

条件を設定し、その人のパーソナルスペースを探す

学生は5名程度のグループに分かれ、他の学生に協力者となってもらい実験を進めていきます。あるグループでは実験者が実験協力者に向かって近づいていき、協力者が「これ以上近づかれると不快」という感じる距離を測定。この実験を、ただ立っている場合と、イヤホンを装着してスマートホンを見ている場合とで、どのような違いがあるのかを調べていきます。実験者がまっすぐ歩いて行くと、「これ以上は近づいてほしくない」という距離でパッと手を上げる協力者の学生たち。実験者グループの学生は、その距離をメジャーで正確に測っていきます。また別のグループでは電車内という設定で、実験協力者が足を組んだ態度の悪い人と香水の匂いが強い人のどちらの横を選ぶのかを調査。できるだけ等しい条件の下で実験協力者が参加できるよう、事前に説明する内容も各グループでしっかりと考えます。

実験で失敗することも、学ぶ上での大切な経験に

この日の実験結果を基に、学生たちは研究レポートを作成。このレポートの内容はもちろん、統計を理解しているかどうか、引用文献を適切に引用できているかどうかなどで評価が行われます。「学生たちはこれまでいくつかの実験を、仮説を立てながら行ってきました。ただ、思った通りの結果が毎回出るわけではありません。むしろ最初の頃は失敗することのほうが多いですね」と語る宇井先生。「ただし、そこで何が悪かったのかを皆で考えていきます。実験環境に問題があったのか、最初の条件設定が甘かったのか。そこを突き詰めることで、実験の精度を高めていく。今回はそうしたこれまでの『失敗』を教訓にした、いわば学生にとっての集大成のような実験です」。心理学では実験が非常に重要な意味をもちますが、その枠組みを正しく構築することの大切さを、学生たちは授業を通して学んでいきます。

宇井美代子先生に聞く、授業のポイント

この授業を通して、心理学研究の枠組みを覚えてもらいたいと思っています。それは「結論に向かって、自分の考えを上手く形にしていく」ということ。心理学の場合、「これはこうではないだろうか?」という事象を言葉だけで語るのではなく、データを通して表さなければなりません。自分自身が考えていることを、どのようにデータを使って伝えていくのか。データは何を語っているのか。学生にとってそれを身に付けるのは決して簡単なことではないので、自分の考えと客観的なデータをどのように上手くつないでいくのかを、この授業を通して学んでもらいたいですね。

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