ダブルフィールド制

Society Field

他者との関わりを考察する

社会現象・社会問題に対して、グローバル化、多様性、持続可能性、批判的思考という観点からアプローチし、理論・実証の両面からそれを分析することを通じて、問題解決を目指します。

Society Fieldの学び

Societyフィールドでは、人間がどのように他者と関わるか、人間の集団である社会をどのように捉えるかを学ぶ科目が開講されます。社会学、国際関係論、法哲学、異文化について学ぶ地域研究科目など、社会現象・社会問題に対して、グローバル化やSDGsに代表される持続可能な社会づくりといった観点から学べるようになっています。

研究分野

  • 社会学
  • 国際関係論
  • 移民研究
  • 国際協力学
  • 法哲学 など

主な開講科目

科目(科目名称や開講するセメスターは、変更されることがあります)
1年次 US社会学 US国際関係論
US市民社会と法 US統計学入門
2年次 社会調査法 社会分析基礎論
現代社会と倫理 国際社会基礎論
3年次 多文化共生論 グローバル・ネットワーク論
社会理論総説 法哲学
4年次 現代社会分析 国際社会研究
持続可能社会論

Pickupリベラルアーツの授業を誌上体験

国際社会基礎論

「国際社会基礎論」で行う“ディベート”

担当 太田 美帆先生

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国際協力か、国内の貧困問題か。
議論を通して、複眼的な視点を養う

学んできた知識を総動員して、議論に臨む

グローバル化する世界の中での日本の現状を多角的に学び、“Think globally, act locally”の姿勢で私たちが果たすべき責任について考えていく「国際社会基礎論」。私たちにとって身近な国内での多文化共生課題に目を向けることから始め、そこから環境問題、紛争、感染症など世界が直面する課題へと視野を広げていきます。そうした問題をより複眼的に捉えるための手法の一つが、ディベート。ディベートでは、与えられた論題についてさまざまな視点で掘り下げることができます。また、論理的・批判的な思考力を養うと同時に、短時間で意見をまとめ発信するといったスキルも養うことができます。この日の授業では「日本は国際協力よりも国内の貧困問題を優先すべきである」をテーマに、肯定派・否定派の2グループが自分たちの主張を行い議論を展開。その様子を残りの学生がジャッジをするという流れで授業が進められました。

肯定派・否定派が主張を展開、議論もヒートアップ

この日のディベートでは、肯定派の立論からスタート。近年問題となっている資源・食糧価格の高騰、それらの輸入への依存といった現状をベースに、必要となる外貨を獲得するためには第二次・第三次産業を牽引する優秀な人材の育成が必須。そのために高等教育の無償化が必要であるという論旨で主張。一方の否定派は、SDGsの観点から日本と途上国を比較。まだまだ支援が必要な国が多く、そうした国が直面している絶対的貧困への対策を優先すべきといった主張を行いました。

双方立論が終わった後の反論では、相手の主張の矛盾点や弱い部分を突いていきます。たとえば否定派からは「高等教育を無償化するだけで貧困は解消されないのでは?」といった意見が出されました。また肯定派からは「日本もかつてはアメリカなどから支援を受け、発展した。現在の途上国にも国際的支援は有効である」といった意見も。この反論を踏まえた上で、両チームが最終弁論に臨みます。肯定派からは「学費の無償化が進めば低所得家庭でも教育を受けられ、貧困の連鎖を止めることができる」と、反論への反論が。また否定派からも「絶対的貧困はテロや紛争の元凶にもなっているので、その解消のためにも支援は不可欠」といった意見がありました。

ディベートを通して、複雑な国際関係を紐解く思考力を養う

こうした両チームの立論を、聞いていた学生たちはさまざまな視点からジャッジ。「重要なポイントが取り上げられ、分析されていたか」、「相手への質疑、反論は適切だったか」など、五つの項目で採点すると同時に、両チームを細かく評価していきます。中には相手チームも気付かなかった統計結果の不一致に言及する学生も。そして五つの評価ポイントの総計で、今回は否定派チームの勝利となりました。太田先生も、両チームの質疑応答がかみ合っていたことを評価した上で、両チームの修正すべき点についてアドバイスを行いました。より複雑になる国際社会において、さまざまな観点から課題を考えることは非常に重要です。相手の主張を聞いた上で自身の主張を行うディベートは、こうした視点を養う絶好の学びといえます。

太田美帆先生に聞く、授業のポイント

この授業では前半に難民の受け入れなど国内における国際問題に目を向け、後半は世界のさまざまな社会問題を取り上げます。本年度はウクライナ関係者をゲスト講師にお呼びし、紛争前と今のウクライナ情勢についても学びました。別の日のディベートでは「日本は軍備増強すべきか」をテーマに行う予定です。学生には毎回、授業の終わりにコメントシートを書いてもらいます。当初は遠い国の他人事のような感想が多かったのですが、授業を進めるうちにさまざまな問題に対して「自分がどのように関わることができるか」という自分事としての感想が増えており、そこに一番手応えを感じています。今回のディベートは二回目ですが、議論をする側も評価をする側も、他者の意見を傾聴しつつ自分の意見をしっかりと表現できるようになってきたなど、成長が見られますね。

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