ダブルフィールド制

STEAM Field

Science,Technology,Engineering,the Arts,Mathematics

科学とアートが交錯する場で
実践力と発想力を養う

情報技術を礎に学際的な視野や見識を獲得した上で、学術と芸術を融合した斬新な視点から現代社会の課題と向き合い、倫理性と創造的実行力をもってその解決を目指します。

STEAM Fieldの学び

STEAMとは、21世紀の教育システムと言われるSTEM教育(Science, Technology, Engineering and Mathematics)に、the Arts(芸術 / 学術)のクリエイティビティを加えた統合的な教育のことです。このフィールドでは、科学技術やITスキルといった工学的スキル、数学、環境学等の自然科学的知識や手法、アート、パフォーマンス、マンガ・アニメ・音楽等に対する学術的・俯瞰的視点を講義や演習・実習系の授業を通して学びながら、フィールドを超えた行動力、提案力、発信力などを養います。

研究分野

  • 情報学
  • 環境学
  • 芸術心理学
  • ポピュラー音楽研究
  • ポップカルチャー研究
  • 芸術史 など

主な開講科目

科目(科目名称や開講するセメスターは、変更されることがあります)
1年次 USコミュニケーション論 US日本学入門
芸術学概論 US科学入門
2年次 漫画・アニメ論 大衆音楽史
生態系と人間 STEAMフィールド演習
3年次 文化史・芸術史 認知行動科学
ビジュアル情報論 芸術心理学
4年次 自然共生システム論 クリティカル・セオリー

Pickupリベラルアーツの授業を誌上体験

日本学入門(USLA)

アニメ作品からわかる社会の価値観の変容

担当 田中 素子先生

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アニメに代表される
ポップカルチャー史から
文化的価値観の変遷を学ぶ

アニメや漫画の実作品と文化的価値観の変遷

現代日本の文化状況、特にアニメーションに着目して、「歴史・理論・実作品理解」という3つの点からアプローチする「日本学入門(USLA)」。授業では、現代文化の抱える性質を社会的・理論的について大まかに把握。合わせて戦後以降のポップカルチャー史の歴史的変遷を学び、その関連性について考察していきます。アニメや漫画などの実際の作品を通じて、現代社会がどのような文化的な価値観を作り出してきたのか。文化産業そのものに、どのような社会的期待が投影されてきたのか。グループワークでの議論を交えつつ、理解を深めていきます。

世界で3000万部突破した『DEATH NOTE』の世界観

今回の授業の題材は、漫画、映画、アニメ、小説、ミュージカル、ドラマなど幅広いメディア展開を見せ、原作漫画の世界累計発行部数(全12巻)は3000万部を突破している『DEATH NOTE』です。最初に『DEATH NOTE』のアニメやドラマの一部を見ながら、あらすじや登場人物、世界観について理解。そのうえで、「これまでの授業で学んできたアニメとの世界観の違い」「『DEATH NOTE』の特徴とセカイ系作品との違い」について、少人数のグループで議論しながら意見をまとめました。学生たちのコメントでは、その世界観について「暗黒系」「正義が歪んでいる」「ダークヒーロー的な世界観」というようなキーワードが続々と並びます。

「セカイ系」の次に登場した「サバイブ系」とは?

ここで田中教授から、1990年代以降登場するアニメ作品の「セカイ系」「サバイブ系」の系譜について解説が行われます。

セカイ系とは、東浩紀が著書『波状言論 美少女ゲームの臨界点』で使われている言葉で、1990年代から2000年前後に登場するアニメ作品に多く見られる特徴です。セカイ系では、主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性の問題が、「世界の危機」「この世の終わり」といった抽象的な大問題に直結します。セカイ系を代表する作品には、『新世紀エヴァンゲリオン』『涼宮ハルヒ』シリーズがあります。

一方、サバイブ系は、宇野常寛が『ゼロ年代の想像力』で命名し、90年代のセカイ系(引きこもり)から2000年代(ゼロ年代)のサバイブ系(決断主義)という流れを指摘しました。サバイブ系の特徴は、たとえ無根拠であっても特定の価値を選択する「決断主義」です。今回、取り上げている『DEATH NOTE』も、サバイブ系を代表する作品のひとつです。

生き残るには「サバイブするか、あきらめるしかない」

サバイブ系作品の根底には、過酷な現実を生き残るには「サバイブするか、あきらめるしかない」という想像力があります。それらの想像力は、若者のリアルな意識にも大きくシンクロしていることが、格差問題の当事者である若者が労働問題や貧困問題に対して想像力が欠如していることからもうかがえます。

このように、漫画やアニメーションの世界における「セカイ系」から「サバイブ系」への変遷は、文化的背景・価値観に大きく影響していることが、改めて理解できる授業となりました。

田中素子先生に聞く、授業のポイント

この授業では、戦後から現代までの時代の変遷とその空気を映し出すアニメーションについて学んでいきます。アニメーション作品は時代を色濃く映す鏡のように進化しています。特に2010年以降の作品について、どのような社会情勢やカルチャーを反映しているのか、この授業をきっかけに、学生のみなさんにぜひ考えてみてもらいたいと考えています。時代とリンクさせてアニメーションの歴史を考える視点を持つことで、さまざまな発見や気づきがあるでしょう。

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