研究室ガイド

「科学入門」でオリジナル絵本づくり

2022.06.16

乳幼児発達学科のUS科目「科学入門」では、家庭や幼稚園、保育園等で子どもとともに科学を楽しむおもちゃや絵本を考え、作っています。図書館や本屋さんにある子ども向けの絵本なども参考にしてオリジナル絵本を作成しました。作成者のコメントと一緒にご紹介します。

「月に行きたい」澤井ちひろさん


PDFを見る

この絵本を作るにあたり、特に工夫した点が二つあります。一つ目は、子どもならではの自由な発想や発言を絵本の中に組み込むことです。「科学」から連想を広げ、「月」は子どもにとって不思議な存在ではないかと想像しました。物語では、主人公の女の子(ちぃちゃん)が月に行くための様々なアイデアを思いつく、という形で表現しています。私自身の実体験を交えてみたり、子どもならきっとこう言うかな、と考えながら物語を作るのはとてもワクワクしました。正解とはかけ離れた発想を大人がすぐに正してしまうのではなく、それを聞いて「素敵だな」と思う気持ちが伝わればいいなと思います。
二つ目は、絵を見てもお話を楽しめるようにすることです。文字がまだ読めない子どもは、読み手の声と絵を頼りに理解しようとしています。その重要な要素をできる限り丁寧に作成したいと思い、温かな印象が伝わるような絵をイメージして描きました。イラストにはかなり時間をかけました。まず、絵本のページ全てを紙に書き出し、ざっくりとした話の流れとイラストのイメージを描きました。この工程がとても大切だったと思っています。
また、構成をしっかりと考えることで、最終的にどのようなことを伝えたいのかを明確にすることができたと思います。保育内容総論の授業で学んだ「誰かに愛されたという記憶は強く残り、幼児期においてとても大切だ」ということを活かし、どこかほっとするような、安心感のある終わり方ができるよう工夫しました。

「カメさんのおねがい」浦山ひなのさん


PDFを見る

私はこのオリジナル絵本に、読んだ人が海の現象に興味を持って欲しいという思いを込めました。現在の海は、海洋プラスチックごみによって、海洋生物が被害に遭うケースが多発しています。私が作ったオリジナル絵本の中では、人体に及ぼす影響や、被害の詳細については触れることができなかったのですが、これをきっかけに海洋プラスチック問題について興味を持ってもらい、深く知ろうとしてもらいたいと思います。また、人間の不始末により、海洋生物たちをこれ以上傷つけないためにも、海洋プラスチックごみについて知ってもらい、ごみの分別などのマナーを守ってもらえるようになってほしいと願います。
絵本製作の始めに、絵や文章の大まかな流れや形を決めてから画用紙に下書きを始めたのですが、下書きを行った際に、文章が長すぎたり、多すぎたりすることに気が付きました。これには、文字を読み易いようにするために、少し太めの黒ペンで清書を行ったため、よりスペースを取ってしまい、余計に文量が多く見えてしまった点も関係していると思いました。これを解決するために、既存の文章から内容の流れに必要なものを取り出し、いらないものは削っていくという作業を行いました。

「さんそくん」森愛奈さん


PDFを見る

私はオリジナル絵本に、楽しみながら科学を学んでほしいという思いを込めた。「さんそくん」に愛着が湧くようにお話や絵を描き、自然と学びになっていることを意識して作った。授業を通して、科学を利用したおもちゃで遊ぶことは、仕組みを理解するというより、興味を持つということが最も大切だと学んだため、科学絵本でも、興味を持つきっかけになることを意識して作成した。一から自分で構成を考えて絵本を作ることを初めて行ってみて、子どもが興味を惹くような絵本を作ることの難しさに加え、完成したときの達成感や作成時の楽しさも感じることができた。
最も苦戦したのは初めのテーマ決め、構成作りである。どのような物語を通して、わかりやすく子ども達に科学に触れてもらえるのかを中心に考えた。最初は「動物」「たんぽぽ」などをテーマにすることを考えていたが、より科学に近づけ、子ども達の学びになるようなテーマにしたいと感じ、今回は「酸素」をテーマに選んだ。しかし「酸素」をそのまま絵本に取り入れてしまうと、内容が難しくなってしまい子ども達に伝わらない。そのため、「さんそくん」という主人公を作り、まずは絵をコミカルにして見た目から興味を惹くことを考えた。また、酸素の性質はそのままに、子どもにも伝わりやすくなるように内容をかみ砕き、ストーリー性を重視してお話の構成を練った。
次に壁にぶつかったことは絵本のデザインである。最初は平面の絵のみのスタンダードな絵本を作っていたのだが、デザインが常に同じでは子ども達も飽きてしまうのではないかと感じた。しかしかなりの時間を費やしてもアイデアが思いつかず、姉や母に相談したところ、「ラストの花火の部分を目立たせれば良いのではないか」とアドバイスを受け、このアドバイスによって、花火が飛び出るようにしようと決まり、絵本作成を進めることができた。私は絵を描いたり、デザインを考えることが苦手で行き詰ってしまうことが多かったため、一度途中でも周りの人に読んでもらい、感想やアドバイス、良いところも悪いところも教えてもらうことで、絵本を進めやすくなったように感じる。

授業担当者より
季節や活動に応じて保育室にある絵本は、子どもたちの活動のきっかけになったり、関心を深めたりする環境となっています。丁寧に仕上げたオリジナル絵本は、ボランティアやインターンシップなどで紹介したり読み聞かせしたりして活用しているようです。

(教育学部教授・「科学入門」担当:石井恭子)

〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
Tel:042-739-8111(代表)

玉川大学入試ナビ

ページトップへ