玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
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館蔵資料の紹介 1995年

玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 1995年 >コールダ ハンモック

アレクサンダー・カルダー ハンモック

コールダ ハンモック

木綿・マニラ麻・木・金具
1975年製作 2点
338×112cm
藤沢武夫氏寄贈資料

米国の彫刻家アレクサンダー・コールダ(Alexander Calder, 1898-1976)の作品といえば、「モビル」(Mobile)と名付けられた一連の作品が有名であろう。色塗られた鉄板を太い針金で大きな弥次郎兵衛(やじろべえ)風につなぎ合わせて吊るし、風のまにまに様々に動く作品である。彫刻は伝統的に不動性を特色としてきたが、未来派が運動の美を称賛して以来、動く彫刻が現われだした。コールダは1932年からこの種の作品を発表しており、キネテック・アートの先駆者・代表者と目されている。

ところで本博物館ではそのコールダ晩年の珍しい作品、ハンモックを2点所蔵している。これは吊床として実用品であるが、同時に「軟かい彫刻」(soft sculpture)の作品でもある。彫刻にかかわる基本的感覚は触覚であるということは、18世紀後半のドイツの哲学者ヘルダーによって主張されていたが、実際に触覚的満足を与えるような軟かい作品が現われたのは今世紀の60年代であり、このハンモックはそれに連なるものと言えよう。ただしこのハンモック自体をコールダが作ったわけではなく、彼は全体のデザインと抽象絵画の下絵を描いたのであり、それをもとに太い木綿糸を多彩に染色して編み上げたのは中米ニカラグアの職人であった。そこでこの作品は壁に掛けて、抽象絵画の一種のタピストリーとして観照することもできよう。けれども本当のところは初夏か初秋のそよ風のもと、樹間にこのハンモックを吊して午睡でも楽しむならば、動く彫刻と軟かい彫刻を同時に体感できるはずのものであり、これは一度試みたいと考えているが、いまだその機会を得ていない。

「全人」1995年10月号(No.568)より

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